【国鉄形⑧DD51形式】わずかに残るJR貨物機と旅客各社の車両
製造年 | 1962年〜1978年(残存車両数24両) |
現存車両の内訳 | JR貨物12両(愛知機関区に配置)、JR東日本4両、JR西日本8両 |
国鉄路線の非電化区間の主役だった蒸気機関車を減らし、無煙化に大きく貢献したのがDD51形式ディーゼル機関車だ。中央部に運転台を備えたスタイルの大型ディーゼル機関車で、1962年から1978年まで649両という大量の車両が製造された。
いくつかのタイプがあり、基本番台は1〜53号機まで、500番台には501〜592号機までの半重連形と、593号機以降の全重連形(593〜799号機、1001〜1193号機)の2タイプがある。さらに800番台(801〜899号機、1801〜1805号機)が造られた。
JR貨物をはじめ、JR東日本とJR西日本に引き継がれたDD51形式は、500番台の全重連形と、800番台の2タイプで、今も非電化区間の貨物列車や事業用列車の牽引に使われている。
JR貨物に引き継がれたDD51形式は、その多くが北海道の全貨物列車の牽引などで活躍したが、DF200形式の導入で、すでに道内からは撤退。現在は愛知機関区の車両が関西本線を走る貨物列車の牽引に使われるのみとなっている。ところが、こちらも北海道と同じようにDF200形式の増備で追われる状況に。2019年9月4日現在では、わずか4両が稼働しているのみとなった(857号機、1028号機、1801号機、1804号機の4両)。残る4両の引退も間近と見て良さそうだ。
昨年の8月末に大規模水害により山陽本線の貨物輸送が長期間にわたって途絶えた時期があった。その時には、山陰本線を迂回する貨物列車を、このDD51形式が牽引して、災害時の緊急輸送を支えた。JR貨物およびJR西日本が共に扱い慣れた機関車だけに可能な迂回輸送だった。さらに東日本大震災の時に磐越西線を使った石油列車の迂回輸送もDD51形式が使われた。もし、このような迂回輸送が今後に必要となった時にはどうするのだろうか、不謹慎な話で恐縮ながら、今後、JR貨物がDD51形式を維持していくかどうか、ちょっと気になるポイントでもある。
【国鉄形⑨DE10形式】入換機+支線を走る便利な存在だったが
製造年 | 1966年〜1978年(現存車両数117両) |
現存車両の内訳 | JR貨物52両、JR北海道10両、JR東日本28両、JR西日本18両、JR四国1両、JR九州8両(JRのみを記載) |
国鉄の無煙化にDD51とともに貢献したのがDE10形式ディーゼル機関車。DD51と同じように運転台は上部にあるものの、中央ではなく、前後のボンネットの長さが非対称というユニークな姿となっている。
このDE10の優れたところは駅構内での貨車の入換え作業だけでなく、ローカル線の旅客・貨物列車の運用を可能にしたところ。計708両と大量の車両が造られ、今もJR各社(JR東海を除く)と民営鉄道で使われている。JRのみでも100両以上の車両が残る状況だ。将来、最後まで残る国鉄形車両は、このDE10となるかも知れない。
とはいっても車歴は若い車両であっても40年以上となる。JR貨物では貨物駅などでの貨車の入換え作業用にHD300形式ハイブリッド機関車を製造、すでに多くの駅に配置している。このHD300形式の場合は、構内での作業のみに限られていたこともあり、本線での車両の牽引を可能にしたDD200形式の試作機を新造。2019年8月27日には量産1号機の導入が行われた。
今後、DD200形式の増産が進めば、DE10も徐々に活躍の場が減っていくことになりそうだ。