【注目その②】使われるのは日野のブルーリボン・ハイブリッド
今回、相鉄バスの実証実験に使われた車両は、日野自動車の「ブルーリボン・ハイブリッド」。日本の路線バスを走る大型バスとして、最もポピュラーな1台と言って良いだろう。発進時はモーターのみの駆動で走るEV走行が可能となり、燃費向上に結びついている。
ボディに「Hybrid」の文字と、天井部に箱形のハイブリッド用バッテリーと電動式パッケージクーラーが載せられていることが外観の特徴となっている。
通常走る同形車の客席は26席だが、今回は自動運転用のシステムを搭載するために、最前部の1席は取り外され25人定員となっているのが車内の変更点。また運転席の状態を映すモニタが車内に2か所に設置され、自動運転の様子を見ることができる。
【注目その③】自動運転のため取り付けられた装置とは?
自動運転のために既存の大型バスにどのような装置が取り付けられたのだろう。下の写真を見ていただきたい。正面の写真には○印を4つ付けたが、この部分が通常のバスとは違う装置が後付けされている。一つずつ見ていこう。
①全方位カメラ
このカメラによって、信号機の色などをチェックする(今回の実証実験のルートでは信号機がないため、使用していない)。
②LIDAR
天井部の前方と後方に設置されている。「LIDAR」という専門用語だが、要はレーザーセンサ(Laser Imaging Detection and Rangingの略)で、この装置により、走る道の情報をあらかじめ読み取り、走行コースのマッピングに活かし、また自動運転する時には自車がいる位置を確認する。
③GNSS
天井部に2つのGNSSなる装置の受信機が付いている。こちらも専門用語で分かり難いが、一般車両に多く搭載されるナビ(Global Navigation Satellite Systemの略)の受信装置だ。この装置でバスが今どこを走っているのか、位置を確認している。
④レーザーセンサ
正面中央のガラス窓下に1つ設置され、前方の車や前面にある障害物を感知する。
こうした①〜④の装置によって取り込まれた情報によって自動運転が行われている。
システムを開発し、今回の実証実験に関わるのが群馬大学 次世代モビリティ社会実装研究センター。同センターの副センター長でもある、小木津武樹(おぎつたけき)准教授は4つの装置に関しての現状を次のように話す。
レーザーセンサから得た情報が自動運転を行う際に、最も有効とした上で、「全方位カメラは、雨や雪、そして悪天候など環境に左右されがち。信頼性という面で課題があります」。またナビは「今回のコースのように並木道では課題が出るのでは、と心配しましたが、こちらは今のところ有効なようです」と話している。
自動運転はこれからの技術であり、1か月の実証実験により得られた多くの情報を、今後、技術力を高めていくために役立てようというわけである。