【DMVを導入へ⑨】地元の期待を背負って“出発進行”!
2年後には線路を走ることにより、その機能が活かされるDMV。導入はどのような長所があるのだろうか。
長所にまずあげられるのが、車両代が大幅に圧縮できること。ベースとなるトヨタ自動車のコースターは車両価格が700万円ちょっと。DMV用に大きく改良を施しているものの、鉄道車両コストに比べれば、整備を含めて大幅なコスト削減につながる。鉄道車両が定員100名に対して、23名と小さくなる短所はあるが、このコスト削減の効果は魅力大だろう。
鉄道路線に沿って既存の路線バスが走っているが、そのあたり両者併存の問題はないのだろうか?
こちらは、徳島・高知両県にとって、いざという時のために交通インフラを維持しておきたいという意図が大きいようだ。四国の沿岸は、将来に起こることが懸念されている「南海トラフ地震」では震度6クラスの揺れ、そして10m前後の津波が予測されている。特に高架区間が多い阿佐海岸鉄道を維持して、そうしたいざという時のために備えておくという役割は大きい。
もちろん利用者が少ないから廃線へ、という選択肢もあったことだろう。だが、廃線にして駅が消えれば、鉄道という地方にとっての骨組み、そして駅という核が消えてしまう。さらに一度、廃線にしてしまえば、路線の復活は難しい。
DMVは徳島県と高知県にとって新たな“観光要素”として魅力にもなる。路線バスとして両終着駅から道路を走ることはもちろん、週末は臨時列車の運行も可能となり、その先にある観光スポットを巡ることもできる。DMVならではの柔軟な対応ができることも、メリットとして大きい。
線路を走り始めるのは、2年後のこと。この先、DMV導入によって、この地域にどのような未来が訪れるのか、これからも注目していきたい。
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