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2019/10/27 18:00

日本一美しい四万十川を眺めつつ走る「予土線」の気になる12の秘密

 

【予土線の秘密⑥】人気の鉄道ホビートレインの後ろ側の顔は?

しまんトロッコと並び、予土線で人気なのが「鉄道ホビートレイン」だ。今や予土線の名物車両になっていると言って良い。母体はキハ32形。窪川側の正面を、東海道新幹線を最初に走った0系新幹線風に改造した。色は新幹線そのものずばりの白と青。“なんちゃって新幹線”、“最遅の新幹線”など外野の声が聞こえてくるが、筆者はJR四国がこの車両を仕立てた発想を好ましく思う。

 

そこには、日本の本土4島の中で、唯一、新幹線が走らない地域となった四国の意地がかいま見られるように思える。0系新幹線よりも小さい、それこそ「なんちゃって新幹線」なのであるが、かわいらしく親しみを覚える姿と形である。

↑2014年3月から運行を開始した「鉄道ホビートレイン」。窪川駅側の先頭のみ、新幹線0系の形を模したノーズが付く。走り始めて5年。予土線の人気者となっている。座席の構成はロングシートが主体で、一部がクロスシートとなっている

 

さて、先頭は新幹線風の姿であるが、宇和島側の先頭部分(要するに後ろ)はどなっているのだろう。

 

宇和島駅側の正面も新幹線風の顔立ちとなっている。0系新幹線の丸いノーズ部分がイラストで描かれている。前照灯部分は人の目のようで、良く見るとお茶目な顔立ちだ。こちらも見れば、味があり、またかわいらしい。両方、同じものにしなかったことも、この車両の魅力の一つだと思う。

 

なお、同車両への乗車の楽しみは、この姿や形だけでない。車内に設けられたガラスケース内に納められた多くの鉄道模型を見る楽しみがある。JR四国の車両を中心に展示、また車両の検査時には、展示内容が変更される。鉄道好きにとって同車両に乗車する一つの楽しみになっている。

↑橋梁上を走る鉄道ホビートレインの後ろ姿。後ろの形は平面的だが、こちらも0系新幹線を意識して造られている。窪川駅側の前面は特製のカバーで0系の形が作られている(左下写真)。この姿を造り出すために前照灯など風変わりな形となっている

 

 

【予土線の秘密⑦】奥へ走るほど下流になる四万十川の不思議

窪川駅から予土線の列車に乗車すると、若井駅に到着する前、進行方向右手に川が見えてくる。この川が四万十川だ。

 

前述した川奥信号所から最初の駅、家地川駅から先は、さらに予土線と四万十川がほぼ寄り添うように流れる。

 

2つめの打井川駅(うついがわえき)付近からは、列車のほぼ真下を四万十川流れている。見下ろす流れは澄み切っている。日本三大清流の名に恥じない美しさだ。大河なのに、川の流れがこんなに澄むものなのかと驚かされる。

↑四国南西部の山中をうねるようにカーブを描きつつ流れる四万十川。打井川駅〜江川崎駅間で、予土線にほぼ沿って流れる。流域に大きなダムがないことから、流れは非常に澄んでいる。車窓からも川底が見えるぐらいだ

 

しかし、よく見ると四万十川の流れは、窪川方面へではなく、予土線の進行方向と同じように、先へ流れていく。予土線が山中へ分け入って走っているにも関わらずだ。筆者は訪れるたびに、この流れの向きを不思議に感じていた。

 

地図を見ると窪川駅付近は四万十川の中流から上流域で、そこから四万十川は西へ流れ、予土線に沿って流れていく。さらに江川崎駅付近で、南へ向きを変えて流れていく。そして土佐くろしお鉄道の中村駅近くを通り、土佐湾へ流れ込む。

 

四万十川は蛇行して流れる箇所が多い。さらに山中をぐるりと巡って流れるため、全長196kmという四国最長の河川となっている。それこそ奥が深い魅力を秘めた川だと感じる。

 

 

【予土線の秘密⑧】予土線は四万十町と四万十市を走っている!

予土線は高知県内では主に2つの市と町を通っている。2つの市と町とは、四万十川町(しまんとちょう)と四万十市だ。若井駅は四万十町、愛媛県境に近い江川崎駅があるのが四万十市だ(川奥信号場付近でのみ、わずかに黒潮町を通過する)。

 

両方とも四万十の名が入る。市と町の違いだけなので、他所から来た人にとっては迷う自治体名だ。

 

四万十市は、土佐湾に面した中村市と内陸の西土佐村が2005年に合併して発足した。一方、四万十町は窪川町と大正村、十和村(とおわそん)が2006年に合併して生まれた。ちなみに四万十市内には、中村四万十町という町名がある。ここまで似た地名があると、郵便物の送付などで混乱が起きそうだ。

 

高知県の南西部では、これほどまでに四万十川を誇りに思う、その現れなのだろう。

↑予土線の起点駅・若井駅は四万十町内の駅。高知県内にある予土線の駅9つのうち6駅が四万十町内にある
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