【注目ポイント②】基本のことなのに忘れた&知らないことが多い
9時から始まった講習会。どのような内容だろう。進められた順に見ていこう。
まずは教室で始められた開講式。主宰者による挨拶、そして1日のスケジュールの説明が行われた。警視庁が後援していることもあり、警視庁交通部交通総務課担当が登壇する。朝早めということで、眠そうな参加者がいたものの、大多数に人たちが真剣に聞き入っていた。
JAF関東本部事業部、永田典孝部長から、クルマの運転は「認知」→「判断」→「操作」という3つの動作の繰り返しという話がある。そして認知が遅れ始めるのが50歳代から、という指摘があった。えっ? 早くも50歳代から運転技術の衰えが始まるの? と現実を聞いてびっくりさせられる。衰えは誰にもあるとはいえ、最初からショックを受けたのだった。
開校式が終わった。次は“教室”を出て、クルマが並ぶ会場へ。まずは、軽い準備運動から始まる。
次にJAFの若手スタッフが3班に分かれ、「運転の基本」に関しての講習が行われた。クルマの点検、乗車姿勢の再確認、クルマの死角に関して具体例を示しながら丁寧に話が進められていく。
参加者の1人、久富文隆さん(62歳)。ノートを開き、熱心にメモを取っている。「せっかく参加できたのだから、学んで帰らなければ」と意気込む。
運転席内にある「オープンレバー」を引き、まずはボンネットの開け方を紹介。そしてボンネットステイ(支える棒)によって固定する、という説明を受ける。
こうした解説がある、ということは、ボンネットを開けたことない人がほとんどということなのだろう。ましてやオイル量が適正かどうか調べるということは、教習所以来やっていないという人も多いのだろうか。エンジンを長持ちさせる、またトラブルを防ぐというような理由で適正量を守る、一定距離を走行したらオイル交換を行うと良いということが大切なのだが……。
さらに適正な運転位置の説明。シートは前に出し過ぎず、後ろ過ぎずと説明が行われる。頭を支えるヘッドレストも適正な位置、高さに調整することが大切ということを説明。これまで筆者もヘッドレストの高さに関して、無頓着だったことに、はじめて気付かされる。
最後は死角の説明。周囲にパイロンが置かれ、何本が見えるか確認してみる。これが人により見える本数の差が出てくることが分かる。クルマの車高にもよるが、運転席から見える部分には、死角があることを改めて理解させられた。
参加した1人、片山佳子さん(60代)。50年運転してきて無事故を続けてきたそうだ。そうしたベテランドライバーが「1本も見えませんでした」と話す。車線変更時などに後続車がいないかどうか確認する時には、ミラーを見るだけで終わらせず、必ず死角部分を目視すること。また後続車も、前走車に死角があることを、意識する大切さが指導員から指摘された。
こうした「運転の基本」は、免許を取得するために教習所に通ったころに、多く教わるもの。しかし、それ以来、何10年にわたり“学ぶ”ことはまずない。改めて説明され、“あぁ、そうだった”というよう気付かされることが多かった。