【注目ポイント⑧】今日一日が無事に終了「お疲れさまでした」!
朝の9時から16時近くまで、1人の脱落者もなく、さらに無事故、トラブル無しで講習は終了した。参加者全員に、修了証が配られる。
学校を卒業した後、こうした賞状をもらう機会がなくなる。参加者の人たちは、それこそ、終わったという充実感を感じているようだった。
片山佳子さんは、「参加して本当に良かったと思います。幸い50年間、無事故できましたが、これで良いのだろうかと思っていましたから。受講で得られた知識によって、これまでの運転の仕方を修正していくことができると思いますし、のちのちの運転に生きてくるのではないでしょうか」と最後に話すのだった。
参加された方々は、それこそ運転に問題意識が高い人たちのように思う。この日の体験は、今後の運転にきっと役立てていただけるに違いない。
【ポイント⑨】高齢化が進む日本社会。ではどうすればいいのだろう?
JAFの「シニアドライバーズスクール」。シニアドライバーの意識を高めるという意味で大変に有意義な催しだと思った。今回に参加された方が、今後の運転に十分に気を付けるようになり、また自分の運転が危険を招くと感じた時には、積極的に免許を自主返納する人が多いように感じた。
こうした運転に問題意識を持つかどうか、は非常に大きいことだろう。
一方で、大半のドライバーが、自分の運転に無関心で、また日常、乗っているクルマに無関心という傾向が強いように思う。それで良いのだろうか?
さらに免許返納には、住む地区の問題がつきまとう。都市部と、地方では、公共交通機関の便利さにかなりの差がある。都市部ならば、クルマを手放し、運転免許を返納しても、それほど不便にはならないという人も多い。
一方、地方さらに山間部となると、バスもなく、タクシーも呼べない地区が多い。クルマに頼らざるをえない地区で、クルマがない暮らしというのは困難が生じてしまう。こうした地区で高齢者のサポートをどうしていけば良いのか、突きつけられた難しい問題である。
東京都では、2019年7月末から「安全運転支援装置」の設置にかかる補助制度を開始した。東京都内に住む70歳以上になる人が対象で、ペダル踏み間違い等による急加速抑制装置の機能を有する安全運転支援装置を後付けする場合に、クルマの所有者が1割の負担で購入・設置できるようにする制度だ。要するに都が設置費用の残りの9割を補助しようというわけである(都が設置作業を行うカーショップや、自動車メーカーに補助費分を支払う仕組み)。残念ながら東京都以外では、大規模の補助制度を導入する動きが活発化していない(一部の市町で取り入れているのみ)のが残念だ。さらにクルマの持ち主や家族が、つけようとする意思を持たないとせっかくの制度も役に立たない。
都のホームページには、設置を行う店舗およびクルマメーカーが掲載されている。調べると大手カーショップでは、こうした安全運転支援装置は5万円前後という金額で購入できるようだ。
こうしたペダルの踏み間違いを防ぐ装置の装着を全国レベルに広げることと、前述した「先進安全自動車」といった先進的な技術で、高齢者の運転をサポートしていくことは、今後、絶対に欠かせないように思う。さらに運転免許を返納後のサポートを手厚くしていくことも大切だ。
高齢化が進む日本の社会、JAFのシニア向け講習会のような有意義な催し(強制的でないもの)が広まることと、運転する人たちの意識の向上が、何よりも大切ではないかと筆者は痛切に感じたのだった。
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