「東京モーターショー2019」のトヨタブースは異色を放っていました。これまでのモーターショーのブースには、何十年か先の未来を示すコンセプトカーや、間もなく発売される近い将来のクルマがステージやフロアを埋めていました。しかし、今回のトヨタブースは大きく違っていたのです。モーターショーなのにクルマが少ないトヨタのブース。会場に華を添えるコンセプトカーの代わりに、未来を感じ、楽しむための広い空間とアトラクションが設けられました。
トヨタブースで展示されていたのは?
具体的にブースがどうだったか、簡単に振り返っていきましょう。まず、新会場となった東京ビッグサイト青海展示棟のトヨタのメインブース。「OPEN FUTURE」というタイトルの今年のモーターショーですが、トヨタブースでは「PLAY THE FUTURE!」というスローガンで、とにかくモーターショーを楽しんでもらおうという姿勢をはっきりと打ち出していました。
入り口では、トヨタブースの案内人「未来人」やヒューマノイドロボット「T-HR3」がお出迎え。様々な演出に合わせ変化するステージでは、これからのモビリティとしてのe-パレットコンセプトや魔法使いのホウキのようなe-broomが動き、お客様にもステージに上がってもらい、実際に体験してもらっていました。そう、まるでテーマパークのようです。
まるでハリーポッターの世界【e-ブルーム】
魔法のホウキをモチーフにした体験型モビリティのe-ブルームです。人はインラインスケートを履き、魔法使いのイメージでホウキにまたがります。ボタンを操作するとホウキの下のローラーが回り前進できます。ステージ上で子どもから大人まで、実際に楽しく体験することができました。実はこのe−ブルームは最もプリミティブなモビリティだといえます。ステアリング機構とサスペンションは人間の脚。ボディはホウキの柄と人の身体なのですから。こういうシンプルなデザインの中に実はモビリティの未来が詰まっているのだと感じます。
荷物配送の手助けとなる【トヨタ マイクロパレット】
小さな六輪で走るロボット的な小型モビリティ。しかし、ちょっと可愛らしさのあるデザインで親しみが持てます。このマイクロパレットが何台もe-パレットのトラックから荷物を積んで…と言うより、荷物を持って出てくるイメージです。そして荷物をそれぞれの配送先に届けて、またe-パレットに戻っていきます。6輪を上手に使い、「ご挨拶」も出来る愛嬌のある雰囲気のコミュニケーションモビリティです。
未来の可能性が広がるモビリティ【e-パレット】
2020年の東京オリンピックで選手村から選手を競技場に送るモビリティとして活躍する予定なのがこの「e-パレット」。しかし、e-パレットは単なる自動運転のバスのことではなく、モビリティのプラットホームとしていろいろな機能のユニットを組み込む事のできるメインボディを指します。バスとしての機能、物流トラックとしての機能、それだけでなく、病院へ行くまでの間に医師とコミュニケーションをとりながら問診を行ってもらえる機能など、可能性の広がるモビリティユニットと組み合わされるモビリティなのです。
一人乗りモビリティ【e-4me】
e-パレットが公共的なバスや物流トラックなどの大型モビリティなのに対し、移動をより快適に、そしてもっと個人に合ったモビリティとして提案されたのが「e-4me」です。移動空間や移動時間を意識させず、より便利に利用できる夢のようなモビリティです。
未来の競走馬となる【e-レーサー】
e-パレット、e-4meが人々の暮らしを便利にし、移動することを意識させないモビリティだとすると、「e-レーサー」は運転を積極的に楽しむためのモビリティ。かつてのアメリカで自動車に取って代わられた「馬」が現在は競走馬として残っています。そんな競走馬そして、「愛馬」のようなクルマだということです。それは、Fun to driveを具現化したモビリティであり、「愛車」と呼ばれる運転やクルマ自体を楽しむモビリティなのです。ブース内ではe-レーサーに子供が乗って写真撮影ができるコーナーが設けられており、親子で未来のモビリティを楽しむ様子が印象に残りました。