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2019/11/14 16:30

電アシ操作特有の「いちいちポチポチ」をする必要がなくなった! 新世代ドライブユニット載っけたヤマハの新作に乗る

1993年、世界初の「電動アシスト自転車」として登場したヤマハの「PAS(パス)」が、2020年に向けて新型モデルを発表しました。「人間感覚を最優先した人に優しく、地球に優しいパーソナルビークル」として進化を遂げた同モデルには、新開発となるトリプルセンサーシステムを搭載した次世代ドライブユニット「スマートパワーアシスト」を採用。その進化を知るために試乗会を取材、最新モデルを試乗しました。

 

全8モデルを発表

今回、2020年モデルとして発表されたのは「PAS With(パス ウィズ)」シリーズ3機種と、「PAS un(パス アン)」シリーズの5モデル。

 

PAS Withシリーズは通勤通学、お買い物に便利なフロント26インチ×リア24インチとなり、前カゴが標準装備されているので使い勝手も抜群。PAS Withシリーズのラインナップはスタンダードな「PAS With」、質感の高いパーツで構成される「PAS With DX(パス ウィズ デラックス)」、最上位のアシストレベルで登坂性能に優れたプレミアムな「PAS with SP(パス ウィズ スーパー)」。

 

また、PAS unシリーズは快適な子乗せモデルとなり、安全かつ快適に子供を乗降できる小径の20インチを採用。「PAS Kiss mini un/ SP(パス キッス ミニ アン/スーパー)」はハードシェル型のチャイルドシートであるコクーンルームをフロントに装備、「PAS Babby unリアチャイルドシート標準装備モデル/ SP(パス バビー アン/スーパー)」はリアにチャイルドシートを備えたモデル。同シリーズの「PAS Babby un」はチャイルドシートを装備せず、シンプルな20インチモデルとして子乗せを必要としないユーザーをターゲットにしています。

 

「スマートパワーアシスト」はモードチェンジが苦手なユーザーにおすすめ

新作の注目機構である「スマートパワーアシスト」について掘り下げていきましょう。同機構は、既存の電動アシストモーター(ブラシレスDCモーター/240w)を使用しながらも、その制御部分には新開発されたトリプルセンサーシステムを搭載。快適なアシスト領域を実現しています。

 

その効果のひとつが、アシストパワー切り替え操作が不要になる“スマートパワーモード”。標準的なパワーから最大パワーまでを賢くアシスト調整してくれるので面倒な操作がいりません。もうひとつは、坂道などでのアシスト範囲をさらに広げてくれる“坂道楽々対応”。上り坂でもモードチェンジをすることなく負荷に対してモーターが自動的にアシスト量を変更してくれるので空回りなく、運転できます。右手でギアをかちゃかちゃしたあとに、左手でアシスト量をポチポチといった手元操作が不要に。運転中にモードスイッチを切り替えるのが苦手……という人にはうってつけです。

 

なお、2020年モデルは、手元の液晶モニターにも変更が加えられました。モニター画面の左には3つのアシストモードを表示。上下の矢印で切り替えを行うことができます。上下3段階の中央が「スマートパワーモード」となり、このモードを設定しておけば自動的に最適なアシストを得ることが可能。表示もアイコンタイプへと変更されています。

↑2020年モデルの手元スイッチ。スイッチをオンにすると、前回の使用時に選択していたモードが記憶され、その状態起動してくれます。スタート時に再設定する手間が省ける機能です

 

↑写真は2019年モデルの液晶モニター。モード切り替えなどのアイコンは日本語で表記されています

 

乗ってみると自然な味付けに驚き

では、スマートパワーアシストを搭載した各モデルに試乗してみましょう。新開発されたスマートパワーモードを試してみると、確かに走行中のペダルを漕ぐ力やペダルを回転させる速さ、路面の状況から快適なアシストパワーを、自動で制御してくれるのがわかります。

 

また、急な坂道や荷物の積載時にはパワフルにアシストし、アシストの必要性のない平地や下り坂では自動的にパワーをセーブ。走行中に強モードへと切り替えることなくオートマチック感覚で最適なパワーをアシストしてくれました。

 

自動的に走行モードを切り替える機能も十分に体感。高回転でペダルを漕ぐ時の「空回り感」がなく、軽いギアでの安定感をアップしています。子どもや重たい荷物を載せた時、軽いギアを常用する女性ユーザーにとっては魅力的な機能といえそうです。

 

細部までデザインにこだわった「PAS with DX」

通勤や通学、買い物の相棒として多機能ぶりを発揮してくれる「PAS with DX」は安定感が抜群。車両重量は26インチが27.7㎏で、24インチは27.1㎏。約3.5時間で充電が完了し、走行距離は強モードで48km、スマートパワーモードで53km、オートエコモードプラスで78kmを実現。車両価格は12万7600円。11月29日発売予定です。

 

乗り心地とプレミアムなデザイン「PAS with SP」

容量をアップした前カゴやクッション性に優れたサドルを装備した豪華仕様のPAS with SP。メンズでも違和感のないディープバイオレットのフレームカラーは男性にもおすすめ。同ラインナップのアシストレベルは4つ星ですが、「PAS with SP」は最高アシストレベルである6つ星を獲得。走行距離は強モードで59km、スマートパワーモードで66km、オートエコモードプラスで100kmを実現する。価格は15万5100円。2020年1月31日発売予定です。

 

少ない充電回数で走行可能な「PAS babby un SPリアチャイルドシート標準装備モデル」

後ろ子乗せタイプのPAS babby un SPリアチャイルドシート標準装備モデル。小径の20インチを採用することでチャイルドシート高さを低く抑えています。コンパクトに見える同モデルだが、アシストレベルは最上位の6つ星となり、パワフルなアシストを体感することができました。走行距離は強モードで51km、スマートパワーモードで58km、オートエコモードプラスで75km。充電時間は約4時間。車両価格は15万6200円。2020年1月20日発売予定です。

 

長距離走行に対応した「PAS kiss mini un SP」

スライド式で開閉できるハードシェル型チャイルドシート「コクーンルーム」を搭載した前乗せタイプのPAS kiss mini un SP。低床のU型フレームは乗降がしやすく、スカートを履いた女性にも最適。走行距離は強モードで53km、スマートパワーモードで59km、オートエコモードプラスで78km。充電時間は約4時間。車両価格は16万600円。2020年1月20日発売予定です。

 

海外での売上が10年で10倍に

数字関連の情報も。説明会でSPV事業部長の村田さんは「2018年度は67万台の売り上げを記録し、消費税増税前の駆け込み需要はあったものの8~10%の伸び率を記録。欧州市場でも電動アシスト自転車の需要は大きな成長を遂げ、10年間で10倍もの規模へと成長し、この傾向は日本市場も同様に期待が見込めるものであり、今後もマーケットを拡大すると予想されています」とのこと。

↑ヤマハ発動機ビークル&ソリューション事業本部SPV事業部 事業部長の村田和弘さん

 

↑欧州市場では10年間で需要が10倍にも伸び、電動アシスト自転車ユーザーが爆発的に拡大。日本市場も例外ではなく、新たな市場を形成し更なるユーザーへの販拡が期待されます

 

スポーツe-Bikeの本命「YPJ」シリーズは個性的な新色を追加

ヤマハがリリースするスポーツe-Bikeとして人気急上昇中の「YPJ」シリーズには、2020年モデルとして新色が追加されました。オフロード性能に長けたMTBモデル「YPJ-XC」にはクールな雰囲気を主張するマットブラック。フラットバーロードの「YPJ-EC」にはアクアシアンとディープフォレスト。日常からツーリングまでオールラウンドに使える「YPJ-TC」はマットダークブルーとダークメタリックレッドの2色展開へと変更されています。

 

このYPJシリーズは2015年の発売以来、新感覚のスポーツバイクとして「ライドする楽しさ」を提供していますが、今回のカラーチェンジによりそのイメージをより強固なものになりました。気になる価格はYPJ-XCが38万5000円、YPJ-ECが28万6000円、YPJ-TCが33万円に設定されています。すべて2020年2月14日発売予定です。

 

撮影/中田悟

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