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2019/9/1 19:30

パナの「64万8000円」のe-BIKEを白馬で徹底試乗! 白馬のMTBコースもアツかった!

スノーボーダーやスキーヤーにお馴染の長野県白馬町。整備されたゲレンデは初心者から上級者までを魅了するスキーリゾートして名を馳せる。オフシーズンとなる春から秋はMTBの聖地として数多くのライダーを集客していのだが、ブームの沈静化とともに利用客は減少。1990年の後半には閉鎖へと追い込まれてしまった…。

 

しかし2015年、MTBを愛する勇志が集いコース整備を始め、2017年には白馬観光開発によって「白馬岩岳MTBパーク」として復活を遂げた。メインとなる6850mのダウンヒルコースはワールドカップのコースに携わるトレイルビルダー“エヴァン・ウィントン”により設計され、ライダーたちを魅力する。

 

また、岩岳の山頂には新たなMTBフリークを集めるため、パナソニックサイクルテックとの協業により新時代のモビリティとして注目を集めるe-BIKEが体験できる全長500m(往復1㎞)の山頂コースを設置。

同コースでは8月3日からe-BIKEのレンタルサービスを開始し、パナソニック製のe-BIKE(XM2、XM1)の他ヘルメットなどの安全装備も全てレンタルすることができる。手ぶらで楽しめる「白馬岩岳MTBパーク」は白馬の山々に囲まれた最高のロケーションを楽しみながら、新時代のe-BIKEが体験できる最高のアクティビティスポットに進化しているのだ。

↑コースにはゴンドラに乗って向かう

 

↑ゴンドラには自転車を取り付けることが可能

 

気になるレンタル料金は、1時間2000円/台となり、大自然を堪能できる山頂のコースと、1周1.2㎞の「マウンテンサイクリングコース」を選ぶことができる。アップダウンの付いたコースを電動アシストのサポートで走り抜ける爽快感は、MTB初心者だけでなく脚力に自信がなくなったミドルエイジにもおすすめだ。

↑レンタルショップの様子

 

↑山頂にあるテラスからは絶景を楽しめる

 

余談になるが白馬周辺にはリゾート施設が充実し、白馬栂池にはフランス発祥のアクティビティを取り入れた「白馬つがいけWOW」、ジャグジーやサウナを設備した「八方マンテンビーチ」なども大きな話題となっている。また白馬岩岳の麓にはサイクルショップ「SPICY RENTALS」が店を構え、最新モデルの「XM-D2」をレンタルすることも可能。白馬はウインターシーズンだけでなく、年間を通して楽しめるリゾート地として新たな時代を迎えている。

【注目の周辺情報はギャラリー形式で紹介(GetNavi webのサイトでご覧いただけます】

 

【車両チェック!】e-BIKE「XM-D2」を徹底分析

パナソニック サイクルテックは2017年に国内で初となる電動アシストマウンテンバイク「XM1」を発売し、e-BIKE MTBという新たな市場を作り出した。その後、上位機種となる「XM2」をリリースし、ユーザーに対しての選択肢を拡大。そして2019年には更なる進化を遂げた「XM-D2」を発表した。

↑XM-D2。64万8000円(税込)

 

同モデルはXM2と同様、フロントに内装2段マルチスピードドライブユニットを搭載。リヤのカセットはシマノ社製の10段ギア(SLX)を採用することで、幅の広いシーンで快適な走りを楽しむことができる。

 

ダウンチューブと見事にマッチしたデザインのバッテリーは12Ahの大容量。約4.5時間の充電で最長107㎞(ECO)の距離を刻むことができる。

↑バッテリーには見えない洗練されたデザイン
↑モーター部分

 

ハンドルのセンター部分には液晶モニターを装備し、速度、走行距離、パワーアシスト量を表示。グリップ左に設えた操作ユニットによるモード切り替えではECO、AUTO、HIGHの3つ選択することができ、AUTOでは75㎞、HIGHでは61㎞の走行距離を実現。

 

160㎜のトラベル量を持つ前後サスペンションは、追随性が高く悪路での衝撃を吸収する。市街地では前後ともにサスペンションの動きをロックできる機構を備え、ペダリング時のパワーロスを抑えることが可能。

↑フロントサスペンション

 

↑リアサスペンション

 

前後ブレーキは直径180㎜のディスクローターを備え、キャリパーはシマノ社製の油圧式4ピストン(DEORE XT)を採用。リムブレーキとは異なり泥濘や雨天時でも高い制動力を発揮してくれる。

↑フロントブレーキ
↑リアブレーキ

 

ホイールサイズは最近の主流となる27.5インチとなり、組み合わせるタイヤはMAXXIS社製のRecon+。ワイドな27.5×2.8HEは大容量のエアの恩恵により、悪路での快適性とグリップ力を合わせ持つ。

 

用意されるフレームサイズは420㎜の1タイプとなり、適応身長は163~178㎝。小柄な女性では少々持て余す大きさなのがいささか残念。ただし、ダウンスローピングのトップチューブを採用していることもあり、小柄な筆者(162㎝)でもシートポストを下げることで十分に楽しむことができた。サドルの高さを決めるシートポストは標準品が300㎜で、最低地上高は900mm~1000mmの間で調整可能。付属品のシートポストは230mmで、最低地上高を870mm~945mmの間で調整できる。

 

【その他XM-D2のディテールはギャラリーページで(GetNavi webのサイトでご覧いただけます)】

 

【走行インプレッション】電動アシストで貧脚ライダーも上級者に!

今回の「e-BIKE コース体験」では「XM-D2」を試乗することができた。この新型モデルは前後にサスペンションを与えたフルサスモデルとなり、100台限定と言うプレミアを持つ。

実際にダウンヒルコースと山頂コースで試乗したのだが、電動アシストの力強さはμの低い砂利道で威力発揮してくれた。勾配の強い上り坂ではHIGHモードに切り替えるだけで、シッティング状態でもグイグイと登ってくれる。車両重量が26.2㎏というヘヴィ級の重さにも関わらず、貧脚の中年ライダーでもパワフルに駆け上がることができたのは驚きだ。

 

ただし、アシストが強力なこともありフロントが浮き上がるような印象があるので登坂時には普段よりも少し前荷重のライディングポジションを取ることをおすすめする。

 

一方、ダウンヒルではフレームの剛性感が際立ち、前後のサスペンションもしっかりと機能してくれた。タイトなコーナーでは少しばかり車両の重さが感じられ、思ったラインよりもアウト側に膨らんでしまうことも…。個人的な感想としてはサドル高が変更できるドロッパーポストを標準装備してくれれば、より本格的なダウンヒルが楽しめるのではないだろうか。

全体的な印象として最新のXM-D2は新時代のMTBという印象が強く、高性能バッテリーと強力なマルチスピードドライブユニットの組み合わせは絶品だ。アスリートの体力や脚力を持たずしてもハイレベルなペダリングを楽しむことができるのが同モデルの魅力。

 

MX-D2を手に入れたなら本格的なダウンヒルや林道に挑戦するのも悪くないが、まずは近所の土手や河原でのポタリングを楽しむことをおすすめしたい。サイクリングロードをECOモードで走り抜け、土手や悪路ではモードをアップして異次元の登坂能力に酔いしれる。そして川面を楽しみながら水分補給をし、マンパワーではたどり着けなかった距離を走り抜けることで精神的な満足感を満たしてくれるはずだ。

 

一度、MTBから離れてしまった人や脚力に自信を失ったミドルエイジ、そして非力な女性ライダーにとってこれほど頼りになる休日の相棒は他にない。64万8000円(税込)の予算が捻出できることが、一番のハードルかもしれない。