【気になる路線模様⑥】鉄道ファンが“萌える”新鶴見信号場
鶴見川を越えた試運転電車は、東海道本線、京浜東北線をオーバークロス。左へ大きくカーブする。そして横須賀線(湘南新宿ライン)も越えて、新鶴見信号場へ入っていく。横須賀線には新川崎駅があるが、相鉄電車が乗り入れる路線上には駅ホームが無いため、ここも通過となる。
試運転電車は、右手にJR貨物の新鶴見信号場を眺めて走る。同信号場は貨物輸送にとって、拠点となる信号場で、武蔵野線を走ってきた貨物列車が、この信号場で、東海道本線方面と、東京貨物ターミナル駅方面とに分かれ、運転される。東海道本線を上ってきた貨物列車も、ここからさらに武蔵野線、山手貨物線を経由して、北は北海道・東北地方、そして甲信越地方、常磐・鹿島方面へ走っていく。
さらに検修施設もあり、国鉄形、そしてJR形の新旧電気機関車も多く止められている。鉄道ファンにとっては“萌える”ポイントでもある。
試運転電車は、右手に新鶴見信号場の留置線が並ぶ、ちょうどその横で、信号待ちのために停車した。すると…。“あれ〜!この車両はもしかして”と、乗車している鉄道好きの人たちは驚かされたのであった。
停車していたのはJR貨物のM250系電車。JR貨物で唯一の動力分散方式の“貨物電車”で、宅配事業者向け専用列車「スーパーレールカーゴ」として東京貨物ターミナル駅と大阪の安治川口駅を結ぶ。営業運転時は最高時速130kmで走る。
予備車両は東京貨物ターミナル駅に停まっているはずなのに、どうしてここに? 先頭にはEF65形式電気機関車が付いていたことから、検査のために大宮車両センターを目指していたことが分かった。
このように運がよければ“恩恵”にも預かれるのが、この路線なのである。
【気になる路線模様⑦】御幸踏切近くで横須賀線の路線に合流
信号が青に変わるのを待っていた試運転電車。このあたりは開業後にはスムーズに走ることになるのだろうが、信号待ちをしたことでの意外な恩恵にもあずかれた。
この先で、横須賀線の路線と合流する。実は合流する路線、横須賀線、あるいは湘南新宿ラインの電車が通るので、路線名をこう呼ぶ場合が多いが、正式名ではない。東海道本線とは大きく離れているが、戸籍上は東海道本線の支線にあたる(東海道貨物支線とも呼ばれる)。新鶴見信号場と品川駅を結ぶ区間には「品鶴線(ひんかくせん)」という名も持つ。この路線名も“通称”だが、ここでは便宜上、横須賀線(品鶴線)としておこう。
試運転電車は「御幸踏切」の先で横須賀線(品鶴線)に合流した。そしてまもなく武蔵小杉駅に到着した。11月30日以降は停車することになるが、試運転電車ということもあり、ゆっくりした速度で、ホームを通過していった。
【気になる路線模様⑧】後日に訪れると試運転電車が目の前を通過
さて、前述したように相互直通運転が行われる路線は、御幸踏切という踏切の前後で、横須賀線(品鶴線)に合流、または分岐して走る。
東海道新幹線がすぐ近くを走るということもあり、気になった筆者は、試運転電車に乗った数日後に、同踏切を訪れてみた。踏切の形もユニークだったこともあり、小一時間ほど、撮影を楽しんでいたら。
あれ!緑帯の電車が目の前を通過していく。そう…、埼京線用のE233系が通過していったのだ。ということは相鉄の路線に向かう試運転電車に巡りあったわけである。相鉄の電車がJRへ乗り入れ試験を行うように、JR東日本の電車も相鉄の路線へ向けての試運転を繰り返していた。
【気になる路線模様⑨】武蔵小杉駅までノンストップで走る
だいぶ寄り道してしまったが、試運転電車の話に戻ろう。横須賀線(品鶴線)に合流した電車は、まもなく武蔵小杉駅へ。この駅が羽沢横浜国大駅を発車してからはじめて停車する駅となる。羽沢横浜国大駅から約30km。所要時間は15〜19分間で、途中駅がない区間となる。
東京や横浜の近郊区間の電車としては、これほど駅間が離れた区間も珍しい。それだけスムーズな移動が期待できそうだ。