【水島臨海鉄道の謎④】元国鉄形車両は、以前どこを走っていたの?
水島臨海鉄道の車両をここで見ていこう。旅客営業には4タイプの車両が使われている。中には元JR東日本を走った貴重な車両も利用されている。
◆MRT300形気動車
水島臨海鉄道の主力車両で、現在は6両が在籍する。前後に運転台を持ち、1両での運転が可能だ。そのため、1両で走る日中の列車、連結して2両編成で朝夕の運転に、と活用されている。塗装は水色ベースにひまわりのイラストが入る車両と、クリームホワイトにブルーの濃淡の帯が入る車両が走る。
◆キハ37形・キハ38形気動車(元国鉄キハ37形・キハ38形)
キハ37形が3両、キハ38形が1両、使われている。キハ37形、キハ38形ともに、以前は房総半島を走るJR久留里線で使われていた車両だ。
両車両ともJRになる前の国鉄時代に誕生した車両で、製造車両数はキハ37形が全部で5両、キハ38形が8両と少ない。当時、キハ40系が大量に製造され、全国の非電化区間を走っていた。このキハ40系が、性能過多気味だったため、ローカル線用に性能を控えめに造られたのが両形式だった。
JR久留里線で30年近く走り続けたが、新型車が導入されたため、水島臨海鉄道が両形式を譲り受け、2014年5月から運行させている。
キハ37形・38形とも片運転台のため、朝夕の2両編成で運行される列車に使われている。この車両を乗ろうとしたならば、朝夕の列車が狙い目だ。
◆キハ30形気動車(元国鉄キハ30形)
水島臨海鉄道に1両のみ残るキハ30形。この車両もJR久留里線を走っていた車両だ。キハ37形や、キハ38形よりも誕生した時期は早く、1960年代に生まれ、主に大都市近郊の非電化ローカル線で利用された。車両前面を切り落としたような、いわゆる“切妻タイプ”で、今となっては個性的な顔立ちをしている。水島臨海鉄道で稼働できる車両1両は、鉄道ファン向けイベントなど、特別な催しがある日を中心に走っている。残る元国鉄キハ30形の中で、日本で唯一の現役車両だけに、鉄道ファンの注目度も高い。
車両基地にはもう1両のキハ30形が留置されているが、こちらは走ることはなく部品取り用に利用されている。
【水島臨海鉄道の謎⑤】DE70形とはどんなディーゼル機関車?
貨物輸送用の機関車も在籍、現在2タイプが使われている。
◆DE70形式ディーゼル機関車
岡山貨物ターミナル駅〜東水島駅間の貨物列車の牽引を行う主力機関車。DE70形式を名乗っているが、国鉄のDE11形式ディーゼル機関車と同形機だ。
DE70形式のほか、水島臨海鉄道の路線では、JR貨物のDE10形式も入線している。今も多くが活躍するDE10形式とDE11系ではどのような違いがあるのか確認しておこう。DE10形式とDE11形式の違いは、DE10形式が客車列車用に暖房用の蒸気発生装置を備えていること。DE11形式は、貨物輸送に特化した車両で蒸気発生装置が省略され、装着されていない。
ほかDE10形式では2両連結で列車を牽くために、重連総括制御という機能を持ち、前面下部にジャンパ栓が付いている。一方、DE11形式はこの設備を省略している。
要は一部の機能は省略しているが、DE10形式とほぼ性能上、変わりがない。さらにDE70形式にはJR西日本の路線、水島臨海鉄道の両路線を走るため用に、保安設備、無線装置などが取り付けられている。定期検査もJR貨物の工場で行う。DE70形式は名乗るものの、JR貨物の車両とほぼ同じと見て良いわけだ。
◆DD50形式ディーゼル機関車
DE70形式以外に、DD50形式というディーゼル機関車も使われている。DE70形式よりもやや小さめの機関車で、DE70形式が70t機であるのに対して、こちらは50t機であることからDD50形式を名乗っている。導入されたのは倉敷市交通局時代の1960年代のことで、以来、半世紀にわたって活用されている。
走るのは主に、倉敷貨物ターミナル駅〜水島駅〜東水島駅間で、さらに駅構内の入換えにも使われている。