【注目!2019年⑤】踏切の事故と安全対策が注目を集めた
2019年9月5日、京浜急行の神奈川新町駅近くの神奈川新町第一踏切で、下り快特列車と大型トラックが衝突する事故があった。列車は脱線転覆、大型トラックの運転士が死亡するという痛ましい事故となった。
この事故が契機となり踏切事故、踏切トラブルへの注目度がより高まってきているように感じる。筆者もつい最近に同踏切を訪れてみた。訪ねてみると、なぜ事故がここで起ったのか、不思議に感じたことがあった。
捜査は、なぜ列車が通常のブレーキに加えて非常ブレーキをかけたのにもかかわらず、止まれなかったのか、などを中心に、検証が続けられている。しかし、大型トラックがなぜ踏切内に立ち往生せざるを得なかったのか、大型トラックの運転手の方が亡くなったせいなのか、情報が伝わってこない。
なぜ横幅の狭い細い路地を大型トラックが抜けようとしたのか。なぜ大型トラックは踏切内に立ち往生してしまったのか。ちょうど踏切付近にも京急の職員がいて、非常ボタンを押したとされる。そのあたりの時間の経過も解説されていない。
起きてしまった事故に“もし”はないが、もし下りかけた遮断かん(踏切を遮断する黄色と黒の棒のこと)が折れても良いから、大型トラックが踏切を突っ切り、抜けていれば……。所詮、第三者の推測の域を抜けないが、悔やまれるところだ。
遮断かんの先には遮断かん折損防止器が付いていて、多少の曲がりに耐えられる。突っ切れない理由があったのだろうか。ちなみに筆者が訪れた時、この踏切を渡った側の左右路肩に買い物のため、路上駐車をしているクルマが複数見られた。路上駐車しているクルマが左右に停まって、さらに対向車がいる時には、大型車が踏切を渡りにくくなるように感じた。そんなこともあり、大型トラックは踏切を突っ切ることを逡巡せざるをえなかったのだろうか。こうした大型トラック側の検証は十分にされたのだろうか。過ちを繰り返さないためにも、このあたりの検証も抜かりなく進めていただきたい。
ここまでの大事故に至る事故ではないにしろ、全国で踏切事故が絶えない。また連日のように、踏切が稼働後、遮断かんが下りているのにもかかわらず、車や人の立入りによる事故が報告されている。事故にまで至らないものの、列車が緊急停車する例も目立つ。こうした事故を防ぐ方策がないのか、本サイトでも機会を見つけて、今後も踏切の問題を追って行きたいと考えている。
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【注目!2019年⑥】春の訪れとともに静かに消えた夕張支線
2019年も長い歴史を持つ路線が1つ消えていった。北海道を走る石勝線の夕張支線(新夕張駅〜夕張駅間)が3月31日を持って廃止されたのである。この夕張支線は、元は国鉄夕張線と呼ばれていた路線で、石炭採炭のために1892(明治25)年11月1日に敷かれたもの。当時は北海道炭磺鉄道室蘭線の支線として開業した。その後に国有化されている。
開業してからなんと126年以上という長い歳月、列車が走り続けてきた。石炭産業の衰退で、貨物列車も走らなくなった。さらに1981年には石勝線が開業、夕張線の名は消え、夕張支線となっていた。消える1か月前に同支線の列車に乗車したものの、乗っている人のほとんどが鉄道ファンという状況だった。
北海道ではローカル線の廃線が進む。2020年にも札沼線(さっしょうせん)の一部区間の廃止が予定されている。ローカル線好きの筆者としては寂しい限りだ。
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