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2019/12/29 19:30

新線開業、災害、デビューそして、引退ーー2019年の「鉄道」を9つのテーマで徹底的に振り返る

【注目!2019年⑨】時代を彩った車両たちの“引退”が目立った

新型車両が登場する一方で、さまざまな事情で“引退”していく車両も目立った。一時代を彩った車両、代表的な車両をここにあげておこう。

 

◆JR東日本189系(2019年3月28日運転終了)

↑長野総合車両センターに配置されていた189系N102編成。あさま色と呼ばれる車体色で、団体列車などで首都圏へやってくることも多かった。2019年3月28日にさよなら運転が行われた。その後の6月25日に除籍となり、189系電車という形式も消滅している

 

189系特急形電車は、信越本線の横川駅〜軽井沢駅間の急勾配区間で行われたEF63形電気機関車との協調運転が可能なように、国鉄時代の1975年から製造された。信越本線の特急「あさま」、その後には中央本線を走った特急「あずさ」や「かいじ」として長年、走り続けた。近年は中央本線の臨時列車や、富士急行線内への直通運転列車、団体列車に使われていた。しかし、誕生してから40年以上となり、毎年のように車両数が減りつつあった。

 

最後の1編成は長野総合車両センターに配置されていたN102編成で、鉄道ファンの間で人気が高い編成だった。189系の消滅で、残る国鉄形特急電車は、JR東日本の185系と、JR西日本の381系のみとなっている(485系を改造したジョイフルトレインを除く)。

 

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◆京急800形(2019年6月16日運転終了)

↑京浜急行で唯一の片開き4扉車だった800形。最盛期には132両と“大所帯”で、普通電車の顔として活躍した

 

京浜急行の800形は、1978年から1986年にかけて製造され、最盛期には132両の車両数を誇った。高加速、高減速を特徴にし、また駅の停車時間を短くするために4扉という京浜急行では希少な車両として活躍した。角が丸くカーブする正面の形、前照灯が一つで、ついた愛称が「ダルマ」。ユニークな形が鉄道ファンに愛されてきた。

 

ところが、停車時間を短くするため導入した4扉がマイナスとなった。京浜急行は相互乗り入れを行う京成と都営浅草線に合わせ、3扉車へ共通化を進めていた(2扉車の2100形を除く)。それに合わせて一部の駅にホームドアも設置された。そのために、羽田線への乗入れができなくなった。また6両固定編成のため、大師線など支線での運用が出来なかった。晩年は京急本線を中心に普通列車のみで運用となっていた。最後となった6月16日には「ありがとう800形」が品川駅から久里浜工場まで運行された。

 

◆JR貨物EF200形式直流電気機関車(2019年3月28日運用終了)

↑東海道・山陽本線の貨物列車の輸送に活躍したEF200形式。側面はライトグレー、運転台部分が濃淡ブルーに塗られた。2019年3月の運用離脱以降、11月16日からは2号機が京都鉄道博物館で特別展示され、引退セレモニーも開かれた

 

国鉄からJRに分割され、JR貨物が誕生したころ、世の中はバブル景気に沸いていた。そうした好景気もあり、貨物の輸送量は増え続けた。その輸送需要に応えるために製造されたのがEF200だった。JR貨物の貨物用機関車としては最大の6,000kWの出力を誇り、最大1600tの牽引が可能となった。

 

この高性能があだとなる。最大出力を出して走ろうとすると、変電所などの設備に負荷がかかることが分かった。そのため、出力を抑えて走ることになった。そのため、製造されたのも21両と少なめだった。

 

さらに当時のハイテク設備で造られた車両で、車両数が少なかったことから、近年は部品の調達が出来ない状態となっていた。

 

製造されたのは1992年〜93年のこと。誕生してから27年ぐらいと比較的、貨物用機関車としては若い車歴だったにもかかわらず、引退を余儀なくされた。国鉄時代に誕生した先輩格のEF64形式や、EF65形式といった直流電気機関車が頑張る中で、ちょっと残念なことになった。

 

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