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2019/12/29 19:30

新線開業、災害、デビューそして、引退ーー2019年の「鉄道」を9つのテーマで徹底的に振り返る

【注目!2019年③】3月に復旧した三陸鉄道リアス線だったが

東日本大震災以来、不通となっていた旧JR山田線、釜石駅〜宮古駅間が2019年3月23日、復旧した。そして三陸鉄道へ移管された。旧山田線の復旧により、三陸鉄道の北リアス線と南リアス線が、1本の線路で結ばれることになった。

 

そして南の盛駅(さかりえき)〜北の久慈駅(くじえき)までは「リアス線」と路線名が改められた。距離は163.0kmで第三セクター鉄道が運営する路線としては国内最長の距離となった。

 

東日本大震災からの復興も、このリアス線の開業で一つの区切りと迎えたと受け取られ、地元は復興ムードに沸いた。ところが……。

↑旧山田線区間の津軽石駅を発車する三陸鉄道の列車。正面には開業を祝うヘッドマークが付けられた。現在は、この津軽石駅〜釜石駅間が不通となっている

 

東日本に大きな被害をもたらした台風19号。開業して半年ちょっとというリアス線が台風の被害を受けて全線が不通となってしまった。12月末現在でも、その影響が続き、旧北リアス線区間の田野畑駅〜久慈駅間と、釜石駅〜津軽石駅間が不通となっている。

 

今後、陸中山田駅〜津軽石駅間は1月16日に運転再開の予定。全線運行再開は2020年3月20日と発表された。

 

リアス線が全通したばかりでのこの被害は、痛手に違いない。一方で全国の人たちも応援、募金活動が続けられている(筆者もわずかばかりですが、募金させていただきました)。これからも本サイトで同社を応援していきたい。頑張れ三鉄!

 

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【注目!2019年④】災害により不通となる路線が多かった

この秋、日本列島を襲った台風や長雨による被害は全国に大きなつめ跡を残した。鉄道路線に与えた影響も大きかった。これまで自然災害による影響はあったものの、ここまで広範囲に複数の路線が影響を受けた年も記憶にない(東日本大震災を除く)。今も、複数の不通区間が残っている。

 

ここでは、この秋の台風などの災害により不通となり、現在も残る不通区間(前述の三陸鉄道を除く)と、復旧見込みを確認しておきたい。

↑箱根登山鉄道の宮ノ下駅〜小涌谷駅(こわきだにえき)間の現状。蛇骨川(じゃこつがわ)沿いの斜面が崩落、線路もその影響でずり落ちてしまっている。訪れた12月20日現在、すでに復旧工事が各所で進められていた

 

阿武隈急行阿武隈急行線富野駅〜丸森駅間が不通。全線復旧の目処は見通せず。
JR水郡線西金駅(さいがねえき)〜常陸大子駅間が不通。復旧には1年超の期間がかかるとされている。
JR吾妻線長野原草津口駅〜大前駅間が不通。2020年2月末に復旧の見込み。
箱根登山鉄道箱根湯本駅〜強羅駅間が不通。2020年秋を目指して復旧工事が進む。
小湊鐵道里見駅〜上総中野駅間が不通。里見駅〜養老渓谷駅間は近々に復旧見通し、全線復旧は2020年1月以降の見通し。
上田電鉄上田駅〜城下駅間が不通。復旧は2021年春ごろの見通し。

 

↑長野県上田市内を走る上田電鉄も大きな被害を受けた。千曲川の鉄橋が一部、崩落。現在も上田駅〜城下駅間は代行バスが運行されている

 

大変な被害を受けたものの、阿武隈急行を除く、路線が復旧の目処がたち、また復旧工事が進められている状況だ。影響を受けた路線は、山間部、そして利用者が少なめな区間が多いだけに、復旧への道筋も厳しい。

 

振り返れば、毎年のように、各地の鉄道路線が災害の影響を受けている。新たな2020年という年は、ぜひとも穏やかな年になることを祈りたい。

 

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