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2019/12/31 10:30

フランス流のラグジュアリーはいかが? 最新コンパクトSUV「DS 3 クロスバック」に乗ってみた

奇抜でいながら操作性、質感はハイレベル。装備も最新モデルに相応しい水準

室内は、そんな外観以上に“跳んだ”仕立てとなっています。ファブリックを大胆に使ったインパネは上質であることはもちろん、デザインはもはや奇抜と表現できるもの。特に中央のインフォテインメント系の操作部は普通のクルマでは考えられない形状、レイアウトになっていて初めて目にすると戸惑う人も多いはずです。とはいえ、これが単なるデザイナーの“お遊び”に終わっていないあたりはシトロエンを源流とするブランドの作らしいところ。戸惑うのは最初だけで、実際に使ってみれば不都合なことは一切ありません。

↑「デザイナーの仕事」を実感させるインパネ回り。グランシックのインパネは、「バスチーユ・インスピレーション」と名付けられた華やかさを感じさせる仕立て。2019年12月には、グランシックがベースとなるオフホワイト内装の限定車、「リヴォリ」も発売されました(40台、416万円)

 

↑インフォテインメント系のセレクトボタンとエアコンルーバーが菱形モチーフで統一された操作系。他には見られない造形です

 

↑最新のプジョーもそうですが、セレクターを筆頭とするスイッチ類もデザイン性の高さを感じさせる仕立てです

 

また、デジタルを基本とする視覚系グラフィックが細部に至るまで気を配ったデザインであることに加え、往年のシトロエンを彷彿とさせる表示が選べることもマニア的には嬉しいポイントといえるでしょう。その一方、パッケージング自体は常識的。SUVとしては低めな全高や絶対的サイズを思えば室内は必要にして十分な広さですし、荷室容量はむしろ大きな部類といえますが、この部分で非凡な才を見せていたかつてのシトロエンを知る人は多少の食い足りなさを感じるかもしれません。

↑メーターのグラフィックは、複数から選択が可能。その中には往年のシトロエンに採用された「ボビンメーター(レタリングされた円筒が回転して数値を表示)」を模したものも

 

とはいえ、いまや独立したブランドであるDSオートモビルズのクルマを往年のシトロエンと比較するのは無意味なことなのでしょう。実際、シトロエンを含めて目に入る部分の上質感という点ではあまり褒められなかった往年のフランス車と比較すれば、DS3クロスバックのそれは間違いなくラグジュアリーと呼べる出来栄え。最新モデルらしく装備品も充実していて、特に運転支援システムに関してはドイツ勢を筆頭とする既存のプレミアムブランドに対しても遜色のない水準にあります。その意味で、このクルマの内外装は上質なだけにとどまらず個性を重んじたいプレミアム志向のユーザーにとって十二分な説得力を持つことは間違いありません。

↑サイズ、座り心地ともにハイレベルなフロントシート。上質な乗り心地に貢献していることは間違いありません

 

↑ダイヤ状のステッチが印象的なグランシックのシート表皮はレザーが標準。後席空間は、ボディサイズ相応というところ

 

↑後席使用時の荷室容量は350L。容量だけでなく、使いやすい形状も特徴的です

 

↑凝った機能は採用されていませんが、分割可倒式の後席を完全に畳むと容量は1050Lまで拡大します
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