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2020/2/3 17:30

新たな発見も!「開かずの踏切」は本当に開かないのかを検証してみた

【開かずの踏切③】遮断時間は最大だったが頻繁に“開く”踏切

◆京王電鉄・京王線「芦花公園5号踏切」(東京都世田谷区南烏山)

◆最寄り駅:千歳烏山駅

今回、調べた中でもっとも遮断時間が長かったのが京王線の千歳烏山駅に隣接する「芦花公園5号踏切」。1時間の間に計4分25秒と、開いている時間の合計が最も少なかった。ところが頻繁に“開く”。さらに踏切が開くのを待っている人が少ない。

 

◇調査結果(調査日2020年1月17日)

通過列車数上り(新宿方面)24本
下り(調布方面)24本
遮断機が閉じた回数19回
遮断時間の合計55分35秒
遮断時の平均時間2分56秒
最長遮断時間6分12秒
(AM8時1分〜7分、通過列車数:上り3本、下り3本)
開いた時間の合計4分25秒
開いた時の平均時間15秒
開いた時の最長時間1分10秒(AM8時55分〜57分)

 

↑千歳烏山駅に隣接する芦花公園第5踏切には、地下自由通路が併設される(右)。エレベータもあり同通路を利用する人が多い

 

待っている人が少ないのは、踏切のすぐ横に千歳烏山駅の地下自由通路があるため。エレベータも併設されていて、自転車の利用者の中にもこのエレベータを利用している人が多い。

 

さらにこの踏切では、電車が通過して警報音が鳴り終わり、遮断機が開き、わずか1〜2秒という間隔で再度、警報音が鳴り始めることが多い。調べていて1時間中、13回は1〜2秒という間合いで再度、遮断機が閉まり始めた。

 

1〜2秒で渡り切れるのだろうか。遮断機が1〜2秒しか開かないならば、渡ることはできない。しかし、プラスアルフアの間がある。その時間を測った。

 

芦花公園5号踏切の場合に、遮断機の遮断カン(遮断機の棒)が開くのに、警報音が鳴り終わってから3秒かかる。さらに警報音がなり始めてから、左側の遮断カンが12秒で閉まり(左側通行のクルマに合わせている)、右側の遮断カンが20秒で閉まり切る。遮断機が閉まり始めたら、いち早く、踏切内から出ることが必要だが、閉まり切るまでやや間はあるということなのである。この時間は今回、調べた踏切のすべてに共通する事柄だった(各踏切で数秒の差がある)。

 

すでに京王線の笹塚駅〜仙川駅間は連続立体交差化事業の工事が始められている。2023年度には立体交差化が完了する予定で、同踏切も廃止の予定だ。

 

 

【開かずの踏切④】列車本数が多いのに意外に開く踏切の不思議

◆西武鉄道・西武新宿線「井荻第6号踏切」(東京都杉並区上井草)

◆最寄り駅:上井草駅

踏切の名は井荻第6号だが、場所は上井草駅の駅前にある。路線バスも走る上井草駅東通りが通っている。列車本数が多いのにも関わらず、意外に遮断時間が短い。遮断時間の平均は2分11秒と調べた5か所の踏切では最も短かった。

 

この上井草駅、上り西武新宿駅方面は踏切北側に、下り田無・小平駅方面は踏切南側、と駅入口が異なる場所にある。駅構内には上り下りホームを結ぶ跨線橋などの通路が無い。そのため、上井草駅近くに住み駅を利用する人は、同踏切を渡ってそれぞれのホームへ向かう。

 

◇調査結果(調査日2020年1月22日)

通過列車数上り(高田馬場方面)25本
下り(田無方面)23本
遮断機が閉じた回数19回
遮断時間の合計41分26秒
遮断時の平均時間2分11秒
最長遮断時間5分37秒
(AM8時55分〜9時1分、通過列車数:上り3本、下り2本)
開いた時間の合計18分34秒
開いた時の平均時間1分2秒
開いた時の最長時間1分43秒(AM8時40分〜42分)

 

↑上井草駅目の前にある井荻第6踏切。道路は上井草駅東通りで路線バスも通る。写真は踏切の南側から見た踏切の様子

 

この上井草駅近くの踏切は、列車本数のわりには遮断される時間の合計が予想外に短かった。速度を落とさず通過する列車の本数が多いことが、遮断時間が短くなる原因のようだ。3本に2本は上井草駅を通過する。通過による踏切が遮断される時間は約50秒強。一方、3本に1本の各駅停車が走ると踏切は1分50秒弱、遮断される。

 

開く時間が結構あるせいか、遮断中に無謀横断する人はいなかった。速度を落とさず走る通過電車も多いことから、横断は危険と判断する人が多いのかも知れない。

 

西武新宿線の井荻第6踏切は、ほかと比べて比較的、開き時間が長いものの、東京都の主導によりこの区間の都市計画が進められている。井荻駅〜西武柳沢駅(上井草駅を含む)間の事業も準備中となっている。準備の段階なので、工事完了はかなり先になると予想される。

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