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2020/3/22 18:30

2020年の春どう変わったのか?ダイヤ改正を経た「鉄道貨物輸送」を追う

〜〜3月14日ダイヤ改正で変わった「鉄道貨物輸送」注目のポイント〜〜

 

2020年3月14日、JRグループと、多くの私鉄各社がダイヤ改正を行った。新車両の登場、新駅開業など華やかな話題があった一方で、親しまれてきた車両が姿を消した。華やかな旅客輸送の変化につい目を奪われがちだが、JR貨物も同日にダイヤの改正を行っている。

 

この改正により鉄道貨物輸送にも、いくつかの変化が見られた。例えば長年、続けられた輸送が終了した。一方で、新型機関車が全国を走り始めていた。改正により新時代を迎えた鉄道貨物輸送。注目したいポイントを追った。

 

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【鉄道貨物新時代①】長年続けられた石炭輸送列車が廃止に

現在はコンテナを利用した輸送が主流になっている。一方で、車扱貨物(しゃあつかいかもつ)と呼ばれる貨物輸送も、少ないながら続けられてきた。かつて良く見られた無蓋(むがい)・有蓋貨車による輸送は車扱貨物の代表例である。現在は、無蓋・有蓋貨車による輸送はほとんど消え、タンク車、ホッパ車といった輸送する物品に合わせた専用の貨車を利用した輸送が大半を占める。

 

この春を前に、名物だった車扱貨物列車が消えた。消えた列車とは「石炭輸送列車」である。石炭輸送といえば、蒸気機関車が鉄道車両の中心だったころはもちろん、その後に減ってはいたものの、地道に続けられてきた輸送である。

 

最後となったのは、鶴見線扇町駅(神奈川県川崎市)と熊谷貨物ターミナル駅(埼玉県熊谷市)の間を結ぶ列車だった。同列車は扇町駅の先にある三井埠頭に陸揚げされた輸入炭を、専用の貨車・ホッパ車に積み、太平洋セメント熊谷工場へ運んでいた。石炭は石灰石の焼成用に使われた。この春に鉄道輸送からトラック輸送に切り替えるための廃止で、ダイヤ改正時に合わせて消えることがアナウンスされていた。ところが、実際には半月以上早い2月25日発が最終列車となった。

↑石炭輸送には35トン積みのホッパ車を利用。20両連ねたその姿が壮観だった。浜川崎駅〜熊谷貨物ターミナル駅間の牽引はEF65が担当した

 

ちなみに、前年の2019年3月31日にも石炭輸送列車が消えていた。太平洋石炭販売輸送という会社が運行していた臨港線の輸送である。臨港線は北海道釧路市内にある炭鉱・釧路コールマインで採炭された石炭を積みだし港まで運ぶ石炭輸送の専用線だった。

 

釧路の臨港線に続き、首都圏で続けられてきた石炭輸送列車が消えた。こうして130年以上にわたり続けられてきた石炭輸送の歴史が終焉を向かえた。「石炭輸送列車」は、沿線のわずかなファンに見守られ、静かにその使命を終えたのだった。

 

 

【鉄道貨物新時代②】合わせて秩父鉄道の石炭輸送も廃止に

廃止された石炭の輸送は、熊谷貨物ターミナル駅の先、秩父鉄道の貨物専用線・三ヶ尻線(みかじりせん)を通り、太平洋セメント熊谷工場まで運ばれていた。2月末までは熊谷貨物ターミナル駅〜三ヶ尻駅の間を日に3往復、石炭輸送列車が行き交った。

 

残念ながらこの列車も消滅している。甲高いモーター音を奏でる電気機関車に牽かれ走る勇壮な姿は、JR線内とはいっぷう異なり、なかなか見ごたえがあった。

↑秩父鉄道三ヶ尻線を走る石炭輸送列車。JR線の輸送が廃止された翌日に運行終了となった。なお同線の石灰石の輸送は今も続けられている

 

秩父鉄道の熊谷貨物ターミナル駅〜三ヶ尻駅間は、この石炭輸送のために保持されてきた線区だ。3月のダイヤ改正以降は、どのような輸送が行われるのだろうか。

 

貨物列車の新ダイヤを見ると同区間の輸送は日に1往復となった。編成内容は「その他」となり、しかも不定期の運行となった。

 

今後は、おもに秩父鉄道や東武鉄道の車両の輸送といったことに使われることになる。たとえば秩父鉄道の名物列車、SLパレオエクスプレスの牽引機、C58形蒸気機関車。JRの工場でメンテナンスが行われ、この三ヶ尻線を通して秩父鉄道の路線へ入る。ちなみに2020年、C58は長期にわたる全般検査が行われるためにSL列車の牽引はない。

 

ほか、同線は東武鉄道の新車の入線に使われる。こうした車両の入線用に使われる程度になりそうで、行き来する列車が極端に減ってしまうことになる。

【鉄道貨物新時代③】この春、新しい松山貨物駅が開設された

注目を浴びた石炭輸送列車の廃止だが、今年のダイヤ改正では他にどのような変化があったのだろうか。まずはJR貨物から発表された主な情報を確認しておこう。

 

1)松山貨物駅の移転・新設

四国内での貨物輸送は、瀬戸大橋線および予讃線で行われている。西は松山駅まで貨物列車が走り続けてきた。

 

この松山駅。旅客駅に隣接して貨物駅がありコンテナの積み下ろしが行われてきた。3月14日、この駅に代わり松山貨物駅と名付けられた新貨物駅がオープンした。新駅は松山駅から南西に5.9km離れた予讃線の北伊予駅〜伊予横田駅間に設けられた。同駅はコンテナ車を最大13両、取り扱い可能なコンテナホームを備えている。なお最寄りに旅客駅の南伊予駅も新設された。

 

貨物駅が廃止された松山駅は、今後、都市計画事業に伴い立体交差化に向けた工事が始まる。将来は駅と路線が高架上に移されるとともに、新設される駅西口方面へ伊予鉄道の路面電車線の延伸工事などが計画されている。

↑JR松山駅に隣接して設けられていた旧貨物駅。引込線が設けられ駅構内でコンテナの積み下ろしが行われていた

 

2)東京レールゲートの新設

東京を巡る貨物輸送の拠点、東京貨物ターミナル駅。この春、構内に「東京レールゲートWEST」が誕生した。この施設は、トラックに積まれてきた荷物を、JR貨物のコンテナに荷物を積み替える、もしくはJR貨物のコンテナに積まれて運ばれてきた荷物をトラックに積み替える「積替ステーション」として機能する。

 

かなりの大きさい施設だが、すでに東側にWESTの3倍規模という東京レールゲートEASTが着工された。こちらは2022年8月完成を目指している。貨物拠点駅の効率化を目指そうとする施設整備が着々と続けられているわけである。

↑東京貨物ターミナル駅の南西端に造られた東京レールゲートWEST。鉄道コンテナの積替え専用施設として使われる

 

3)新型機関車を新製

旧型の機関車との入換えをするために新型機関車の導入も活発に進められている。この春に増備されたのはEF210形式電気機関車が3両、HD300形式ハイブリット機関車が2両、DD200形式ディーゼル機関車が8両。

 

この車両の新製により、貨物用機関車のこれまでの運用が代わりつつある。鉄道好きにとって、最も気になるところ。春以降の動きを詳しく見ていきたい。

 

 

【鉄道貨物新時代④】東日本での運用が目立ち始めたEF66形式

ダイヤ改正と同じ日に毎年出版される「貨物時刻表」。同時刻表では、徐々に車両数が減りつつある国鉄時代に生まれた“国鉄形機関車”の気になる動きが見られた。

 

まずEF66形式直流電気機関車から。EF66は、寝台列車ブルートレインの牽引機としても使われた。優れた牽引性能および、使いやすさで重宝されてきた。1両のみ基本番台(27号機)が走り続け、鉄道ファンから最も注目を集める国鉄形機関車と言って良いだろう。ほかJR貨物が誕生した後に増備された100番台が33両、計34両が吹田機関区(大阪府吹田市)に配置されている。

↑国鉄当時の姿を残すことで人気の27号機。“ニーナ”という愛称を持つ。東京貨物ターミナル駅〜隅田川駅を結ぶシャトル便にも使われ始めた

 

東海道・山陽本線の主力機として長年、働いたEF66形式だが、昨年から山陽本線東福山駅までの運用に限られるようになっていた。一方、東日本での動きが活発になってきた。この春からは、東京貨物ターミナル駅〜隅田川駅間を結ぶ通称「シャトル便」の牽引を2往復担当するようになっている。

 

これまで西日本での活動が多かった27号機も、首都圏でその姿を見る機会ががぜん増えてきた。

 

 

【鉄道貨物新時代⑤】EF65で運用のシャトル便が2往復に減った

東日本に軸足を移す傾向が見られるEF66形式に対して、気になるのがEF65形式電気機関車の動きだ。

 

配置車両数は新鶴見機関区(神奈川県川崎市)に配置の37両で、車両数は昨年と変化がない(2020年2月1日現在)。全般検査で、JR更新色から元の国鉄原色に戻した姿が見られる。鉄道ファンにとってはうれしいところだ。

 

ところが、この春に運用変更が確認された。EF65のみが担当してきた“シャトル便”の半数(4往復→2往復に)がEF66に変更されたのである。今のところ四国、松山貨物駅への便などの牽引はそのまま残り、他の運用に大きな違いは見られないが、このシャトル便の減少は気になるところだ。

↑東京貨物ターミナル駅と隅田川駅間を走るEF65牽引の“シャトル便”。3月14日からは4往復中の2往復がEF66の牽引に変更された

 

まだまだ走り続けそうなEF65だが、最も新しい車両にしても造られてから40年以上の歳月がたつ。同じくEF66の27号機は47歳という古参機である。これらの国鉄形機関車(EF66の増備機も含め)は新型機関車と比べれば性能面で見劣りする。新製機関車が増備されるに従って徐々に減っていくことになりそうだ。

【鉄道貨物新時代⑥】運用の傾向があまり変わらなかったEF64

EF65やEF64とともに気になるのはEF64形式電気機関車の動きだろう。長年、山岳路線用の主力牽引機として活躍してきた。JR貨物の機関車はすべて1000番台と新しい車両が使われるものの、それでも40年近い車歴を持つ。

 

今年の車両数は35両と前年と変わりがない。また運用区間も配置される愛知機関区(愛知県稲沢市)がある東海道本線や、中央西線、伯備線(はくびせん)、また首都圏まで一部が走り、鹿島サッカースタジアム駅までの1往復も、これまでのどおり運用が続けられる。

 

EF64の今後は、おもな活躍の場となっている中央西線内で、新型機関車への変更が検討され始めた時が次の節目となりそうだ。

↑全般検査の際に国鉄原色に戻されたEF64。東海中部地方を中心に、西は伯備線、東は成田線など広域で働き続けている

 

 

【鉄道貨物新時代⑦】希少なDD51の運用はさらに減少気味に

今、最も消滅が危惧される機関車といえばDD51形式ディーゼル機関車と言って良いだろう。国鉄時代、全国の路線の無煙化にあたり大きな役割をした機関車でもある。筆者もこの3月で、どのぐらい運用が減るのか気になっていた。

 

2020年2月1日現在、配置は愛知機関区のみで、7両が在籍する。昨年と比べると5両が減ってしまった。さらに最新の運用状況を確認すると857号機、1028号機、1801号機、1802号機の4両のみと心細い状況になっている。

 

ダイヤ改正後の運用は、関西本線の稲沢駅〜四日市駅間の3往復のみという状態となっている。その運用も、後継のDF200形式ディーゼル機関車の増備で微妙な状態になりつつある。

↑稼働している車両のうち唯一の三桁ナンバーの857号機。名古屋貨物ターミナル駅〜稲沢駅間の運用も日に1往復のみ残っている

 

↑国の重要文化財に指定される四日市港の末広橋梁(可動橋)。現在通る列車はすべてDD51からDF200の牽引に代わっている

 

愛知機関区のDF200の増備が順調に進んでいることもあり、JR貨物のDD51の引退は秒読みに入ったといって良さそうだ。間違いなく今のうちに見ておきたい、撮っておきたい車両となった。

 

 

【鉄道貨物新時代⑧】EF210-300番台の活動範囲が広がる

徐々に活動範囲が狭まる国鉄形機関車に対して、新製機関車の活動範囲が広がっている。最も顕著なのがEF210形式300番台直流電気機関車であろう。

 

この車両は、山陽本線の急勾配区間、瀬野駅〜八本松駅間(通称セノハチ)で、列車の後ろに連結する補助機関車(補機)として新製された。増備され、2月1日現在、計15両が吹田機関区に配置される。本来のセノハチ区間がある広島貨物ターミナル駅〜西条駅間で、後部に連結されるだけでなく、すでに山陽本線を中心に貨物列車の牽引にも活躍してきた。

 

この春のダイヤ改正からは新鶴見信号場までの入線が確認されている。最新の貨物時刻表の「機関車運用表」では大阪地区までの入線となっているものの、どうやら吹田機関区の他のEF210と共通運用されているようである。黄色いラインがEF210-300番台の特徴だが、首都圏でもごく普通に見られる時代が訪れたようだ。

 

ちなみにこの春からEF210、愛称“エコパワー桃太郎”にもキャラクターイラストが貼られるようになった。これまでEH500形式のみ金太郎のイラストが付けられていたが、EF210には桃太郎のイラストが付いてなかった。そこで新たに桃太郎のイラストを付けることがJR貨物から発表された。すでに1両、最新の316号機のみ、イラスト入りで吹田機関区に配置された(3月19日現在、316号機はまだ運用に付いていない)。今後、EF210は検査時のお色直しに伴い、桃太郎のイラストが貼られる。子どもたちに人気の貨物用機関車。また新たな人気者となりそうである。

↑FE210-300番台は山陽本線の運用のみに限定されず、東海道本線でもその姿を見かけるようになってきた

 

EF210-300番台の活躍に対して、気になるのがEF67形式直流電気機関車の存在だ。EF67は、広島貨物ターミナル駅〜西条駅間の後押し用の補助機関車として長年活躍してきた。

 

現在残るEF67は101号機、102号機、105号機の3両のみだ。深夜から早朝を走る上り貨物列車の後押しを行っている。その活動はこの春以降も続けられている。とはいえ3両のみの少所帯となったこともあり、次回の検査時に引退ということになる可能性も高い。

↑広島貨物ターミナル駅から西条駅まで上り列車の後押し役を果たしてきたEF67。3両のみとなり、その行く末が案じられる

 

【鉄道貨物新時代⑨】複数の路線でDD200の利用が始まる

この春に最も顕著な動きはDE10形式ディーゼル機関車から、DD200形式ディーゼル機関車への切り換えが目立ったことだろう。

 

JR貨物が発表した車両ごとの新製車両数を見ても、DD200は8両とダントツに多い。DD200は2017年に量産先行車の901号車が造られた。新製車両の中でHD300形式ハイブリット機関車が、貨物駅構内の貨車の入換えのみに使われているのに対して、DD200は駅構内の入換えだけでなく、本線の短距離区間での列車牽引が可能な車両として造られた。両機能を持っていたDE10の後継機と言って良いだろう。

 

配置は全車が愛知機関区となった。愛知機関区への配置ながら、興味深いことに、運用は北陸、新潟、東北、九州と広域にわたる。

↑2017年に登場したDD200形式ディーゼル機関車。写真の901号機は量産先行車で試運転が2年にわたり続けられた

 

まず北陸地方では富山貨物駅〜高山本線・速星駅(はやぼしえき)間と、富山貨物駅〜氷見線・高岡貨物駅間(こちらは臨時列車として運行)。新潟では、新潟貨物ターミナル駅〜信越貨物支線・焼島駅(やけじまえき/貨物専用駅)。東北地方では仙台貨物ターミナル駅から東北本線・小牛田駅を経て石巻線の石巻駅までの行程。さらに九州の北九州貨物ターミナル駅では入換えに利用されている。機関区こそ愛知機関区のみの配置だが、興味深いことに地元で使われることはなく、他の地方で広く使われるという例も珍しい。

↑石巻線を走るDE10牽引の貨物列車。この春からは6往復(臨時列車を除く)中、4往復がDD200の牽引列車に変更されている

 

一方、新製のDD200に一部切り替えられたDE10の現状はどうなったのだろうか。2月1日現在の車両数は45両で、国鉄時代に誕生した機関車の中では、今も最多を誇る。とはいえ、2010年4月1日時点でのJR貨物の保有台数が120両だったのに対して10年間でほぼ3分の1まで減ってしまった。前述したDD200が走り始めた路線以外の運用が続けられるももの、DD200とHD300の増備により、DE10、さらに増備車のDE11と共に徐々に減っていくことになりそうだ。

 

 

【鉄道貨物新時代⑩】九州のEF81のED76は変化もあまりなく

国鉄形機関車の引退が目立っているが、一方で変化が少なかったのが九州地区の機関車の動きだろう。

 

関門海峡を越える幡生駅(はたぶえき/山口県下関市)〜北九州貨物ターミナル駅の連絡こそ、EH500形式交直流電気機関車の独壇場ながら、ほかの区間には、国鉄形機関車のEF81形式交直流電気機関車、ED76形式交流電気機関車が、変わらず活かされている。門司機関区(福岡県北九州市)に配置される車両数こそEF81の基本番台に1両のみ減ったものの、機関車の運用に大きな変化はない。

↑長年、走り続けたEF81-303号機。EF81では唯一のステンレス仕様で、“銀窯”として人気が高い車両だ

 

↑ED76-81号機はJR貨物に残る基本番台2両のうち1両。ほか1000番台も含め10両が今も元気に活躍している

 

JR貨物で使われるED76は新しい車両が多いものの、それでも40年以上稼働している。EF81の中で人気が高い“銀窯”303号機は46年に至る。そろそろ後継機関車が取り沙汰されてもおかしくない状況になっている。

 

とはいえ鹿児島本線の福岡貨物ターミナル駅以東をのぞき、輸送量がそれほど多くない九州管内。ほかJR貨物の交直流機関車となると、日本海側の路線で活躍するEF510ぐらいしか見当たらないのが現状で、まだまだEF81やED76の活躍を見ることができそうだ。

 

 

【鉄道貨物新時代⑪】災害時に大きな強みとなりそうな常磐線

今年の旅客各社のダイヤ改正の中で、最も注目を浴びたのが常磐線の全線復旧の話題だったのではないだろうか。東日本大震災による津波による被害、さらに福島第一原子力発電所の事故により、帰還困難区域内に同線があったことから長期間にわたり列車の運行が途絶えていた。

 

東日本大震災が起る前までは、常磐線も東北本線のバイパスルートとして貨物列車が複数走っていた。

 

今回の全線復旧時には旅客列車の復活のみで、貨物列車の復活はなかった。とはいえ、JR貨物は常磐線の三河島駅(東京都荒川区)〜岩沼駅(宮城県岩沼市)間の第二種鉄道事業者として、貨物列車を走らせる許可を受けている。

↑現在、常磐線で最も長い距離を走る通称・安中貨物。泉駅(福島県)と安中駅(群馬県)の間を結ぶ名物列車だ

 

昨年の秋に豪雨で平行する東北本線が不通になるなど、貨物輸送にも支障が起きた。近年の災害の多い列島の状況を考えると、東北本線以外に常磐線という貨物列車が運行可能な路線という新たな選択肢を持てたことは大きい。この春に貨物列車の復活はなかったものの、今後は、貨物列車の復活という可能性も常磐線の復旧は秘めている。

 

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