旅客車両を使っての架線検測も広まっている
通常の旅客車両を使って電気設備や架線検測を行うこともすでに多くの会社により始められている。
その中でも多くの会社に導入されている機器が、明電舎が製造する架線検測装置。「カテナリーアイ」という愛称が付けられている。すでに京浜急行電鉄600形や、京成電鉄3000形、山陽電気鉄道3000系などの多くの車両に搭載され、そのデータが生かされている。
私たちが何気なく乗車している車両にも、こうした検測装置が積まれている場合が多くなってきている。専用車両に頼ることなく日頃から頻繁に架線や線路のチェックを行う時代となりつつあるわけだ。
JR貨物HD300形式901号機ハイブリッド機関車
現在テスト中! 広大な貨物駅構内の検査に威力を発揮しそう
鉄道貨物輸送に欠かせないのが拠点となる貨物駅。広大な貨物駅構内では、貨物列車の発着や、貨車の入換え作業が頻繁に行われる。こうした貨物駅はとにかく敷地が広い、さらに貨物列車はかなりの重量があり、線路は長く使う間にゆがみが生じやすい。保線要員によるチェックでは限界があった。
そこで機関車に実際に「動的軌間・平面性測定装置」を搭載しての試験が始められた。鉄道総合技術研究所が同装置を開発、走る時にレーザー光を線路に照射し、カメラで撮影した軌間のレール形状を画像処理して検測などに活かす。テストに使われるのは入換機HD300形式901号機で、新装置が搭載されてテストが続けられている。この装置ならば、車両の荷重がかかった状態で検査することができ、レールのゆがみの程度(軌道変異)が、より正確な計測が可能になる。すでに2020年の2月初旬に新鶴見機関区構内での走行試験が行われた。今後、実用化に向けて精度を高め、耐久性試験が進められていく。
【保線用検測車両】
保線用の検測車両を最後に見ていこう。多くの鉄道会社では保線用の軌道検測車と架線検測車を導入し、活かしている。保線用車両は専用の検測車両とは異なり、列車が走らない深夜の時間帯に走って検測が行われる。高速で走る専用車両にくらべて低速なために、1日の検査区間は限られているが、出動の頻度を高めればカバーすることが可能となる。
鉄道路線では、こうして検測専用車両や、検測機器が付いた旅客車両、加えて保線用車両を使って線路や架線の保守点検を日々、行っているわけである。
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