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2020/5/20 21:00

新型「ハスラー」で快適に車中泊する方法

緊急事態宣言が多くの県で解除されましたが、まだまだ積極的な外出は控えたいところ。でも、コロナ騒ぎが終わったら、車中泊に出かけたいと思っている人も少なくないはず。電車で移動して宿に泊まる旅行に比べると、車中泊は接触する人の数が圧倒的に少なくて済みますからね。最近は軽自動車でも車中泊ができるモデルが増えてきました。そんな中から今回はスズキの新型「ハスラー」を紹介したいと思います。

 

モデルチェンジで車中泊がさらに快適に

新型の「ハスラー」が発売されたのは2020年の1月。先代モデルも軽自動車としてはサスストロークの長いSUV的なルックスで人気でしたが、そのコンセプトはキープしたまま各部をブラッシュアップしています。特に車中泊をする上で注目したいのは、ボディサイズは先代と同様ながら、車内空間が広くなっていること。先代モデルは車体の上部がやや絞り込まれた形状になっていましたが、新型は壁面が切り立った形状になり、よりスクエアなシルエットになっています。

↑丸目のライトを基調とし、やや車高の高いデザインはひと目で「ハスラー」と分かるものですが、シルエットがより角張った感じに

 

↑正面から見ると左右の壁面が垂直に切り立った形状になっていることが分かります

 

↑テールゲートも垂直な形状になったことで、車内空間が広がっています

 

↑ホイールベースも35mm伸ばされており、それによって後席の足元も広くなっています

 

筆者は先代の「ハスラー」で車中泊をしたことがありますが、快適に眠れたものの、やはり軽自動車の狭さを感じたのも事実。新型になっても床面積は変わっていませんが、どのくらい広く感じるようになっているか、興味のあるところです。

 

車中泊向けのシートアレンジは2パターン

車中泊をする際は、シートを倒してフラットなスペースを作る必要があります。「ハスラー」にはそのスペースの作り方が2パターン。1つは後席を後ろにずらしてリクライニングさせ、前席はヘッドレストを外してフラットになるまで後ろに倒すというパターン。この方法ですとクッションの効いたシートの座面に寝ることができるので、マットなどを用意しなくても寝ることができます。ホイールベースが伸びて前席と後席の間隔が少し大きくなったことで、寝られるスペースも少し広がった印象です。

↑前後のシートの座面をつなげてそこに寝るようなパターン。クッションは効いていますが、座面の凹凸が少し気になる人もいるかもしれません

 

↑このパターンだと、身長175cmの筆者の場合、後席のシートバックに少し頭が当たって持ち上がる感じに。枕がわりになるので、あまり気になりませんでしたが

 

↑体を車体に対して斜めにすれば、体を伸ばして寝ることもできますが、そのときに気になるのが前席の左右シートの間にやや隙間ができていること

 

もう1つは、前席は同様の形でフラットになるまで倒し、後席は前に倒すというパターン。こちらの方法ですと、筆者の身長でも完全に体を伸ばして寝ることができますが、後席部分はシート背面の固い部分になるので、キャンプ用のマットなどを用意したほうがいいでしょう。

↑フロントシートを後ろに、リアシートは前に倒すかたちで広くフラットなスペースをつくり出すことができます

 

↑このパターンは、シート背面とラゲッジスペースの固い部分に寝ることになるため、キャンプ用のマットと寝袋を使用しました

 

↑写真のように筆者の身長でも体を真っ直ぐにして寝ることができます。今回はこのパターンで車中泊をしてみます

 

実は「ハスラー」には、もう1つフラットなスペースを作る方法があります。それは、後席に加えて助手席に前方に倒すというパターン。元はサーフボードなどの長尺物を積載するためのシートアレンジですが、この方法でも1人分は横になるスペースを確保できます。

↑助手席の座面を前に起こして、シートバックも前に倒すことができます

 

↑後席も前に倒すと、だいたい同じ高さになるように設計されているので、ここに寝ることもできそう

 

↑運転席は前に倒すことができないので、このパターンの全体像はこんな感じ。長さのある物を積むためのシートアレンジです

 

このパターンでも横になってみたのですが、助手席の背面にあるドリンクホルダーの部分が結構固くて寝るにはちょっと気になる感じです。厚さのあるマットを敷けばいけそうな気もしますが、この形で寝るよりは2つめのパターンのほうが快適そう。そのため、今回は2つめのパターンで泊まってみることにしました。

↑この助手席背面のテーブル兼ドリンクホルダーが、結構高さもあり固いので、寝るときには邪魔になります

 

軽自動車とは思えない快適な寝心地

2つめのパターンで、キャンプ用の寝袋とマットを使用し、実際に一晩泊まってみました。まだ3月の初頭で、雨も降っていたため結構寒かったのですが、体を真っ直ぐにして寝られたので、寝心地は結構快適でした。カタログなどで「フルフラットにできる」と書いてあっても、実際は少し角度が付いていたり、細かい凹凸があったりして一晩寝ると途中で目が覚めてしまう車種も少なくないのですが、新型「ハスラー」はほぼフラットな空間になるため、一晩泊まっても次の日に体が痛かったりすることもありませんでした。

↑まだ肌寒い時期だったので、寝袋を使いましたが一夜熟睡することができました

 

↑足をしっかり伸ばして横になれるので、寝心地は軽自動車とは思えないくらい快適

 

このパターンだと、フラットなスペース自体は先代モデルと変わらないので、寝るスペースは広くなっていませんが、後席側を頭にして寝たので頭上の空間が広がっていて、閉塞感なく泊まることができました。朝、起き上がって座った際にもヘッドスペースに余裕があるので、車内で過ごしやすい感じ。特に大人2人で寝たりすると、この車内空間が広がっているのはありがたく感じそうです。

↑壁面が垂直に近くなったことで、このスペースが広がっています。寝るときに頭上の空間が広くなっているのが実感できました

 

もう1つ「ハスラー」が車中泊に向いている点は、収納スペースが多いこと。軽自動車は車内の空間が限られていますが、車中泊をする際にもいろいろと荷物はあるものなので、そうした荷物を収納できるのはありがたいのです。

↑軽自動車で車中泊する際に意外と困るのが脱いだ靴の置き場所。「ハスラー」は助手席のシート下に収納できます

 

↑車体後部のラゲッジスペースの下にも大きめのアンダーボックスが。防汚加工されていて取り外しも可能なので、洗うのも簡単です

 

↑グローブボックスの蓋が小さなテーブルにもなる構造なので、車中泊後の朝食を摂る際にも便利でした

 

↑車中泊していると夜中に喉が渇くことも多いのですが、そんなときに役立つのが後席のドリンクホルダー。起き上がることなく水分補給ができます

 

最後になりますが、新型「ハスラー」を運転した際の印象についても触れておきます。乗ってみて一番に感じたのは先代モデルに比べて乗り心地の高級感がアップしていること。先代モデルは、サスストロークが長いことから路面のうねりなどを越えた際にサスの挙動が収まるのに時間がかかったり、コーナーリングで不安定になったりする場面もあったのですが、新型ではそうした挙動が一切なく、サスの動きがしっとりしていてグレードが上がったように感じました。

 

それ以外にも、内装の質感も向上するなど車格が1つ上がったような印象を受けた新型「ハスラー」。軽自動車ですが、大人2人が車中泊できるスペースは確保されているので、アウトドアに出かけて車中泊した後アクティビティを楽しむような使い方も十分にできそうです。

↑インテリアの雰囲気もずいぶん変わりました。遊び心が感じられますが、細部の質感は上質です

 

↑ナビゲーションはスズキ初の9インチにサイズアップ。左右で異なる画面を表示でき、Apple CarPlayやAndroid Auto、SmartDeviceLinkにも対応

 

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