【進むLRT事業⑥】どのような車両が導入されるのか?
新LRT路線にはどのような車両が走るのだろう。車両の特徴を見ておこう。
デザインは黄色をメインカラーに、正面と側面にダークグレーで車体のイメージを引き締めた。芳賀・宇都宮は「雷」が多いので「雷都」とも呼ばれる。雷には雨を降らせ、穀物などを育てる恵みとなる一面も。そんな恵みの “雷の稲光”をイメージさせる「黄色」がメインカラーとなった。
車両は4輪ボギー連接電動客車で、1編成3両。カーブを走行する際にスムーズで、乗り心地にすぐれた構造を採用した。
将来、宇都宮駅西側への延伸も考慮し、勾配67‰(1000分の67)の最急勾配も走行可能とした。運転最高速度は70km/hの車両性能を持つが、軌道運転規則に基づき40km/hでの運行が行われる。
定員数は国内の低床式車両では最多の定員160人。座席は広い座席幅を確保した上で、可能な限り座れるよう50席が確保された。座席は基本、クロスシート仕様。優先席のみ窓を背にした方向に配置される。座席の後ろには荷物の置きスペースも設けられる。
前後にある運転席付近に車椅子スペースが用意される。またベビーカー等にも対応可能なフリースペースを中間車に備えた。将来的には自転車のフリースペースへの持ち込みも検討しているとされる。
興味深いのは全乗車口にICカードリーダーが設置されること。日本で初めての仕組みとなる。どこのドアからでも乗車が可能となって便利となり、また一部スペースに偏らず分散乗車が可能となる。それこそ密を防ぐ工夫となりそうだ。なお現金での乗車の場合は先頭の扉からのみの乗車となる。
今年度から本格的に車両製造を進め、年度末には、1編成目の車両が車両基地に納入予定で、それを皮切りに順次、完成車両の納入が開始される。新型車両の導入も、わずか先に迫っているわけだ。
【進むLRT事業⑦】走る予定の路線を実際に歩いてみた
どのようなルートをLRTが走ることになるのか。宇都宮市内の一部を歩いてみた。
まずはJR宇都宮駅の東口へ。自由通路の東端に下り口がある。ここに新停留場ができる。現在は広い空き地となっているが、停留場の建設に合わせて開発も進んでいる。空き地を横に見て、東へ歩道を進む。間もなくT字交差点へ。この先、ほぼ直線路で片側2〜3車線道路がのびる。鬼怒通りと名付けられた駅前通りで、途中から県道64号線となる。
通りの左右に商業ビルやホテルが連なる。とはいうものの、宇都宮駅の西口に比べると人通りが少ない。このあたり、やはり東西差がこの街はあるのだと実感した。写真を中心にLRT路線が通る街並みを巡ってみよう。
ひたすら鬼怒通りを進む。店舗、民家が点在する道を歩く。2.7kmほどで商業施設ベルモールが右手に広がる。イトーヨーカド—ほか、レストランなどが入るショッピングモールで、1階にはLRT事業の紹介を行う「交通未来都市うつのみやオープンスクエア」がある。帰りに寄ろうと思い、先を急ぐ。
ベルモールのちょうど裏手、陽東8丁目付近まで、鬼怒通りの上を走る併用軌道区間となる予定だ。その先で、路線は鬼怒通りをまたぎ、LRVのみが走行する区間へ入っていく。ちなみに同路線の自動車との併用区間は約9.4km、LRVのみが走行する区間は約5.1kmとなる予定だ。