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2020/7/12 18:40

2022年開業に向けて準備が進む「芳賀・宇都宮LRT」――新路線に沿って歩いてみた

〜〜芳賀・宇都宮LRT整備事業(栃木県)〜〜

 

栃木県の中心、宇都宮市と東隣の芳賀町(はがまち)を結ぶLRT(ライトレールトランジット)路線の建設が進められている。橋りょう工事が進み、順次、車両の発注を進めるなど、より具体化し始めてきた。

 

既存の路面電車網を活かす街は全国にあるものの、線路を新たに敷き、電車を走らせる街は、全国で初めてのことになる。なぜ、宇都宮市はLRTの導入を進めたのか、現地で続く工事の進捗状況を含め、LRT事業計画の全容に注目した。

*LRTのイメージ写真とMAPは宇都宮市提供/現地取材・撮影は2020年4月5日に行いました。

 

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↑LRT路線完成後は、黄色ベースのおしゃれな車両が宇都宮市を走ることになる。同模型は商業施設「ベルモール」で見ることができる

 

【進むLRT事業①】芳賀・宇都宮LRTとはどのような事業か?

初めに、LRT計画の概要を見ておきたい。

 

事業の名称芳賀・宇都宮LRT整備事業
路線計画と距離JR宇都宮駅東口〜本田技研北門(停留場名はすべて仮称・以下同)、約14.6km 
*軌間1067mm、750V直流電化
開業予定2022年(将来はJR宇都宮駅西側へ路線の延伸計画も)
停留場数19か所(起終点を含む)

 

↑宇都宮駅の東西自由通路では芳賀・宇都宮LRTのポスターやディスプレイでPRが行われている。駅前の停留場は同自由通路と直結の予定

 

LRT新路線は「JR宇都宮駅東口」と、芳賀町の「本田技研北門」の間を結ぶ。途中、鬼怒川を渡って全線を約44分間で結ぶ。19か所の停留場を設置、すべての停留場付近に駐輪場を整備する。さらに19か所のうち5か所を「トランジットセンター」として、駐車場、駐輪場に加えて、バス停留所などの機能を想定している。

 

運転時間帯はJR宇都宮駅に発着する新幹線が運転される時刻に合わせ、朝6時から23時台となる。ピーク時は6分間隔で、オフピークは10分間隔で運転される。車両は低床の新型LRT電車(後述)で、定員は160人(座席数50席)。開業時は17編成が導入される予定だ。

 

【進むLRT事業②】20年以上前にLRT導入の夢が語られ始めた

栃木県宇都宮市と言えば、なかなかイメージが思い浮かばないという方も多いのではないだろうか。栃木県の県庁所在地、そして宇都宮餃子……。正直に言えば、筆者も知識といえば、似たようなものだった。宇都宮市がどうしてLRT事業に乗り出したのだろう。

 

国土交通省では、LRTの整備に対する導入支援を行っている。LRTとはライトレールトランジットを略した言葉で、日本語に訳したならば「軽量軌道交通」となる。古くから全国を路面電車が走り、現在も全国の都市内交通として使われている。LRTとは路面電車をより近代化したシステムで、車両は低床タイプが使われ、停留場などは完全バリアフリー化、高齢者、障がいを持つ人たちにもやさしい造りとなっている。

 

国土交通省でLRTの導入支援をしてきてはいるものの、新たに造られたLRT路線といえば、富山市を走る富山ライトレール(現・富山地方鉄道富山港線)ぐらいのものだった。同路線も、大半が既存のJR富山港線を生かしたもの。新しくレールを敷いた区間は、それほど多く無い。ほかにも新規導入の検討が行われた都市があったものの、実現までに至らず立ち消えとなった計画が多い。

↑宇都宮駅の東西を結ぶ自由通路。この東口(写真右)にLRTの新停留場ができる予定だ

 

宇都宮市では1993(平成5)年度に、宇都宮市街地開発組合が新交通システム研究会を設置させたことが始まりとなった。以降、県、市による検討が続けられ、2012(平成24)年度に「東西基幹公共交通の実現に向けた基本方針」の策定、さらに2013(平成25)年度には芳賀町から「LRT整備に関する要望書」が提出された。

 

2015(平成27)年度には運行事業者となる「宇都宮ライトレール株式会社」が設立された。2016(平成28)年度には「軌道運送高度化実施計画」の認定(特許取得)、2017(平成29)年度に「工事施行認可」の申請が県、および国に対して行われ、認可された。そして2018(平成30)年度にはLRT工事の着工、さらに車両デザインが決定された。

 

20年以上前に語り始められたLRT開業の夢が、ここ5年ほどで、事業化計画が加速し、花開くことになったのである。

【進むLRT事業③】なぜLRT導入が検討されたのか?

宇都宮市でLRT導入が、なぜ検討されたのか。そこには日本の国全体が抱える問題と、宇都宮市特有の問題が上げられる。ポイントを見ておこう。

 

全国で進む問題とは「少子・超高齢化」。国内では人口減少問題が避けられない。宇都宮市も2018(平成30)年度の52万245人をピークに微減に転じつつある。このままいけば、30年後には45万人まで市内の人口が減るという調査もある。

 

さらに高齢者が運転することによる事故も問題視されている。運転免許の返納率が高まっているものの、一方で高齢者が不便さから出かけづらくなり、家への「引きこもり」をもたらす可能性も指摘されている。

↑宇都宮市も全国の主要都市と同じようにクルマの利用者が多い。写真はLRTが通る予定の鬼怒通り(県道64号線)の陽東3丁目交差点

 

次に宇都宮市と隣接の芳賀町が抱える問題を見ておこう。

 

宇都宮市は東北新幹線・東北本線の線路を境に、東側と西側では街の様子が大きく異なる。西側には東武宇都宮駅があり、JR宇都宮駅と東武駅の間、約1.8kmの間に繁華街が連なる。西側はバス便も多く便利だ。

 

一方、今回の路線が通る駅の東側は、公共交通機関といえば路線バスのみで、不便だ。しかもバスの本数が少ない。そのため、東側に住む人たちはマイカーに頼らざるをえない。栃木県の自動車保有率は、全国で群馬県に次ぎ、2位という数字があるほどで、クルマ社会そのものだ。

 

さらに宇都宮市の東側には清原工業団地、隣接する芳賀町には芳賀工業団地、芳賀・高根沢工業団地といった工場群がある。学校も点在している。現在、JR宇都宮駅から工業団地への足は、企業が朝夕に走らせている貸切の通勤バスに頼っている状況だ。本数が限られ、朝夕しかバスが走らないために不便だ。工業団地への行き来はマイカー頼みという通勤者も多くなっている。

 

LRTの開業は、まず、高齢化しつつある街の活力を維持させるという大きな意味がある。さらにLRTが走れば、新たな公共交通機関が生まれるわけで、かなり便利になることが予想される。マイカーの自粛にも結びつく。高齢者の移動もしやすくなる。利点はさまざまで、その効果も大きい。

 

平日の利用者は1万6318人と見込まれており、こうした人たちが住まいから駅へ向かう一方で、駅から郊外の工業団地へ多くの人たちが使うことが予想される。

 

今回の概算事業費は2022年に完成する区間のみ全体で458億円、宇都宮市区間は412億円と試算されている。ちなみに国土交通省の「LRTの整備等に対する支援」では施設の整備等に対しては2分の1の国費が交付金として地方公共団体等に支給される。

 

【進むLRT事業④】LRTの新路線が走るルートは?

事業は「公設型上下分離方式」で進められる。レールや停留場などの諸施設の整備は宇都宮市、芳賀町が行う。

 

レール上を走る車両の運行、管理は宇都宮ライトレール株式会社の手により行われる。宇都宮ライトレールは第三セクター方式で経営される。

 

レールが敷設される予定路線をざっと紹介しておこう。起点となる「JR宇都宮駅東口」停留場は、JR宇都宮駅の東口に位置する。駅の東西自由通路の東側にほぼ直結するために便利だ。電車は駅の東側にある鬼怒通り(一部は県道64号線)へ入り、道路上を東側へ向かう。

 

商業施設の「ベルモール前」停留場付近までは県道上を走る。この先で、県道を逸れて、LRV(LRT用の車両)の専用区間を走行する。国道4号の新バイパスをくぐり、東進。鬼怒川を越える。越えた先には宇都宮清陵高校や、作新大学、清原工業団地などがある。この清原地区で、北へ向きを変える。

 

清原地区内には栃木県グリーンスタジアムもある。全国規模の大会の開催も可能なサッカー・ラグビー場である。最寄り停留場は清原工業団地北だ。

 

さらに北進、野高谷町交差点で、右折。ゆいの杜と呼ばれる地区を東へ走る。芳賀町に入ると芳賀工業団地が広がり、中核となるのがホンダの工場がある。管理センター前を北へ走ると芳賀・高根沢工業団地の本田技研工業の北門付近までをLRTが走る予定だ。所要時間は宇都宮駅から約44分、快速に乗れば約38分で到着する(一部の停留場を通過)。運賃は大人150円〜400円の予定だ(詳細は国の認可等を得て決定)。

 

【進むLRT事業⑤】LRT導入のお手本とした都市とされたのは?

LRT事業は、計画化するにあたって、LRTを上手く活かしている都市をお手本とした。そのお手本とされたのは、富山市などだ。

 

ここで若干、寄り道となるがLRTを活かしている富山市の例を見てみよう。富山市の人口は41万4705人(令和2年6月末現在)と、宇都宮市よりも少ない。同市内には、既存の路面電車網がすでにあった。富山地方鉄道の軌道線(市内電車)である。歴史は古い。創始は1913(大正2)年のことだった。

 

富山市内の路面電車は一時期、自動車の増加で、路線の廃止など、衰退を余儀なくされたが、近年になって路線の延伸を図るなど、路線網の充実が図られた。さらにJR富山駅の高架化工事に合わせ、駅の地上部分を南北に電車が通過できるように手直し。駅の北側を走っていた富山ライトレールの路線と軌道線の線路を結びつけた。今年の2月22日には富山地方鉄道が富山ライトレールを吸収合併、3月21日からは富山地方鉄道の電車と元富山ライトレールの電車が南北相互に乗り入れを行い、走りだしている。より便利になり富山市民にとってLRTは、日々欠かせない足となっている。

 

富山市では市が取りまとめ役となって整備が進められた。老舗民鉄に電車の運行を任せてしまうという、思いきった策を取り入れるなど、それこそ全国のLRT路線のお手本と言って良いかもしれない。

↑富山城趾を背景に走る富山地方鉄道富山都心線の電車。車両は9000形でセントラムという愛称が付く。2009年に導入された

 

福井市の例も興味深い。市内には福井鉄道の併用軌道線が走っている。その路線をたどると、南は専用軌道が越前市まで延びる。近年、低床の新型電車を導入した。2016年には福井駅停留場まで路線を延長、さらに北の田原町駅でえちぜん鉄道と接続、相互に電車の乗り入れを行う。えちぜん鉄道も併用軌道用の車両を開発するといったように、積極的なLRT化政策を進めている。

↑福井鉄道のF1000形FUKURAM(フクラム)。2013年からの導入でえちぜん鉄道の三国芦原線への相互乗入れにも使われている

 

北陸地方ではJR氷見線といった既存の鉄道路線のLRT化が取り沙汰されている。それだけLRTは利点が大きいということなのだろう。

 

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【進むLRT事業⑥】どのような車両が導入されるのか?

新LRT路線にはどのような車両が走るのだろう。車両の特徴を見ておこう。

 

デザインは黄色をメインカラーに、正面と側面にダークグレーで車体のイメージを引き締めた。芳賀・宇都宮は「雷」が多いので「雷都」とも呼ばれる。雷には雨を降らせ、穀物などを育てる恵みとなる一面も。そんな恵みの “雷の稲光”をイメージさせる「黄色」がメインカラーとなった。

 

車両は4輪ボギー連接電動客車で、1編成3両。カーブを走行する際にスムーズで、乗り心地にすぐれた構造を採用した。

 

将来、宇都宮駅西側への延伸も考慮し、勾配67‰(1000分の67)の最急勾配も走行可能とした。運転最高速度は70km/hの車両性能を持つが、軌道運転規則に基づき40km/hでの運行が行われる。

↑3両1編成の車両が走る。黄色をメインカラーに採用、正面と側面がダークグレーとなる。乗降口は片側に4つ設けられる

 

↑座席の左右幅は一般の鉄道車両とほぼ同じ。ガラス窓も広々。全乗降口にはICカードリーダーが設置される

 

定員数は国内の低床式車両では最多の定員160人。座席は広い座席幅を確保した上で、可能な限り座れるよう50席が確保された。座席は基本、クロスシート仕様。優先席のみ窓を背にした方向に配置される。座席の後ろには荷物の置きスペースも設けられる。

 

前後にある運転席付近に車椅子スペースが用意される。またベビーカー等にも対応可能なフリースペースを中間車に備えた。将来的には自転車のフリースペースへの持ち込みも検討しているとされる。

 

興味深いのは全乗車口にICカードリーダーが設置されること。日本で初めての仕組みとなる。どこのドアからでも乗車が可能となって便利となり、また一部スペースに偏らず分散乗車が可能となる。それこそ密を防ぐ工夫となりそうだ。なお現金での乗車の場合は先頭の扉からのみの乗車となる。

 

今年度から本格的に車両製造を進め、年度末には、1編成目の車両が車両基地に納入予定で、それを皮切りに順次、完成車両の納入が開始される。新型車両の導入も、わずか先に迫っているわけだ。

 

【進むLRT事業⑦】走る予定の路線を実際に歩いてみた

どのようなルートをLRTが走ることになるのか。宇都宮市内の一部を歩いてみた。

 

まずはJR宇都宮駅の東口へ。自由通路の東端に下り口がある。ここに新停留場ができる。現在は広い空き地となっているが、停留場の建設に合わせて開発も進んでいる。空き地を横に見て、東へ歩道を進む。間もなくT字交差点へ。この先、ほぼ直線路で片側2〜3車線道路がのびる。鬼怒通りと名付けられた駅前通りで、途中から県道64号線となる。

 

通りの左右に商業ビルやホテルが連なる。とはいうものの、宇都宮駅の西口に比べると人通りが少ない。このあたり、やはり東西差がこの街はあるのだと実感した。写真を中心にLRT路線が通る街並みを巡ってみよう。

↑JR宇都宮駅の東西自由通路を遠望する。この右下に新停留場が造られ、手前側に線路が延びてくると思われる

 

↑駅前から歩道を歩くと鬼怒通りの起点となるT字路へ。この先、東側へ鬼怒通りの直線路が延びている。この中間部をLRVが走る予定だ

 

↑鬼怒通りは国道4号を立体交差で越える。LRVは軽量なため、このあたり新たな立体交差路を造らなくとも線路の敷設が可能となる

 

ひたすら鬼怒通りを進む。店舗、民家が点在する道を歩く。2.7kmほどで商業施設ベルモールが右手に広がる。イトーヨーカド—ほか、レストランなどが入るショッピングモールで、1階にはLRT事業の紹介を行う「交通未来都市うつのみやオープンスクエア」がある。帰りに寄ろうと思い、先を急ぐ。

 

ベルモールのちょうど裏手、陽東8丁目付近まで、鬼怒通りの上を走る併用軌道区間となる予定だ。その先で、路線は鬼怒通りをまたぎ、LRVのみが走行する区間へ入っていく。ちなみに同路線の自動車との併用区間は約9.4km、LRVのみが走行する区間は約5.1kmとなる予定だ。

↑鬼怒通りを駅から約3.5km進んだ陽東8丁目付近。このあたりから、路線は、写真の左手へ方向を変えて、専用区間へ入っていく

【進むLRT事業⑧】宇都宮市の郊外に出るとLRV専用区間へ入る

駅から約3.5km。急に左右に水田が広がるようになる。LRTの路線はこのあたりから鬼怒通りを遠ざかり南へ。そして専用区間を走る。

 

この先、国道4号の新バイパス道沿いには車両基地が造られる予定だ。水田を左右に見ながら爽やかな気分でLRTの予定線を歩く。このあたりになると、重機が使われる工事箇所に出会うようになった。

↑水田が広がる郊外。道沿いには菜の花が咲いていた。この付近には平出町という停留場が生まれる。開業後は大きく変わりそうな一帯だ

 

↑国道4号の新バイパス道が左に見えるあたり。この付近にLRTの車両基地が造られる。新型車両もこの車両基地への搬入となりそうだ

 

↑平出町からさらに東へ。下平出町の水田には赤い印がつけられていた。この印あたりに新路線が敷かれることを示す目印なのだろう

 

国道4号のバイパス路を越えると、さらに郊外の趣が増していく。とともに見渡すかぎり水田、そして点在する農家といった光景が広がる。まもなく、南北に連なる土手が見えてきた。

 

 

【進むLRT事業⑨】鬼怒川橋りょうの工事は渇水期に限定される

この土手は宇都宮市の郊外を南北に流れる鬼怒川の堤防だ。この鬼怒川を長さ643mの橋りょうで渡る。同LRT事業でもっとも手間がかかる工事地域となる。さらに厄介なのは、鬼怒川での工事が渇水期(11月〜翌5月)しか進められないこと。増水期の工事は危険なため、認められていないのだ。

 

訪れた日は、渇水期で、流れは細く穏やかなものだった。ところが荒れるとこの川は怖い。それこそ鬼が怒る川になる。鬼怒川は明治後期に行われた改修前までは、毎年のように洪水に襲われていた。それほど水の増減に差がある。2015年9月に下流の常総市で大規模な洪水が起ったことは記憶に新しい。

 

鬼怒川橋りょうの工事は2018年7月2日に始められた。同工事は路線内でもっとも時間がかかる。とはいえ2021年8月には完了となる予定だ。

 

これが鬼怒川にかかる橋となるのか、と納得。頑丈な造りで、かなり雨でも電車の運転に支障がなさそうだなと納得させられたのだった。

↑鬼怒川橋りょうへと上るアクセス路も工事されていた。写真は宇都宮駅側の工事の模様。堤防上の遊歩道をまたぎ橋りょうとつながる

 

↑LRT路線の鬼怒川橋りょうの様子。工事の中でもっとも大規模な造成物となる。2018年7月に起工、3年間の工事期間が見込まれている

 

今回は、歩いて回ったこともあり、鬼怒川の堤防にて“現地視察”を終了にした。次回に行く時は、もう新線ができあがったころかなと思いつつ、来た道を戻った。

 

工事は現在、見てきたように橋りょう工事のほか、道路改良工事や擁壁などの高架構造物の工事を主体に進められている。今後は、レールの敷設、停留場の整備などの工事を進める予定とされている。

 

【進むLRT事業⑩】ペーパークラフト&シールを頂きました!

駅へ戻る途中、ひと休みがてら商業施設「ベルモール」に立ち寄る。この1階にはLRT事業の全容を紹介する「交通未来都市うつのみやオープンスクエア」が開設されている。

 

コーナー内では、パネルや映像でLRT事業を紹介。LRTの模型車両が走るジオラマがあり、VR(バーチャルリアルティ)によるLRTの疑似体験が楽しめる。開館時間は10〜19時、無休だ。興味のある方はぜひとも立ち寄ってみたい。

↑「ベルモール」のオープンスクエアではLRT事業をわかりやすく展示している。鉄道ジオラマではLRV車両が走る様子(左上)が楽しめる

 

↑「ベルモール」のオープンスクエアに用意されたPR素材。車両のイラスト入りのファイルに特製シール、ペーパークラフトを無料配布

 

さて帰ろうとしたら。こちらをどうぞ、と“お土産”をいただいた。中には車両が描かれたファイル、そして170分の1のペーパークラフト、さらにシール! みなおしゃれで、実用性があり、とてもトクした気持ちになったのだった。

 

 

【進むLRT事業⑪】将来は宇都宮駅西側への延伸を目指す

JR宇都宮駅に戻ってきたら、夕方になっていた。念のため駅の東口から西口にまわってみる。やはり西口は賑やかな印象だ。

 

2022年に開業するのは東口から芳賀町までだが、将来は、JR線を越えて西側方面へ路線を延伸する計画がある。路線は東武宇都宮駅に近い池上町の交差点、さらに西の「桜通り十文字付近(国道119号)」を含め、先への延伸を図る。

 

今のところ「桜通り十文字付近」「護国神社付近」「宇都宮環状線付近」「東北自動車道付近」「大谷観光地付近」の5つの案について整備区間の検討が行われている。本年度中には「LRTの整備区間」について決定される予定だとされる。

↑JR宇都宮駅の西口。東口に比べて賑やかだ。この先、東武宇都宮駅までの間には繁華街なども多くつらなる

 

 

最後に今回のLRTがなぜ1067mmという線路幅を採用しているのだろうか。

 

既存の鉄道路線と同一軌間としたことで、将来的には、鉄道路線への乗り入れも模索しているのだという。西へ路線を延長していくことは将来、東武宇都宮線や、JR日光線への乗り入れも可能ならば、というわけだ。

 

すでに福井県では併用軌道区間のある福井鉄道と、えちぜん鉄道間の相互乗り入れが実現している。宇都宮の新しいLRT計画も、今後は、同じように大きく羽ばたく“夢”を秘めていたのである。