最近、自転車通勤ニーズの高まりから、販売台数が急増しているe-Bikeと呼ばれるスポーツタイプの電動アシスト自転車。なかでも人気を集めているブランドがBESV(ベスビー)です。街乗り向けのモデルが充実しているのが人気の理由ですが、価格的にはややプレミアムなものが主流でした。
そんなBESVが展開する新ブランドがVOTANI(ヴォターニ)。日本の街にフィットし、コストパフォーマンスも高いことで期待を集めるVOTANIの日本上陸第1号モデル「H3」に試乗し、その性能や使い勝手を体感してみました。
使い勝手とコスパの高さが特徴
VOTANIは2014年にオランダで生まれたe-Bikeブランド。モーターなどのアシスト機構とフレームデザインなどはBESVの技術が受け継がれています。自転車が”生活の足”として根付いているオランダらしく、街乗りでの使い勝手を重視しているのがH3を見ても感じられます。
街乗りがしやすい前後20インチの小径ホイールを採用。前後ともにフェンダーが装備されているので、水たまりを走っても服が汚れることがありません。バッテリーから給電されるライトも装備されています。そして、注目すべきは車体中央にビジネスバッグを収納できるサイズのバスケットを装備していること。オシャレな見た目ながら、通勤などの使い勝手にも配慮が感じられます。
アシスト機構には定評のあるBESVの技術が活かされています。モーターは前輪の車軸部分に搭載。バッテリーはフレームに内蔵され、スマートなルックスを実現しています。アシストレベルは3段階に調整可能で、BESVが得意とするオートアシストモードも搭載。これは、ペダルを踏む強さに応じてアシスト力を自動で切り替えてくれるもので、平坦な道ではバッテリー消費を抑え、登り坂などで強めにペダルを踏めば強力なアシストが得られるシステムです。
そして、もう1つ注目すべきなのは価格。14万5200円(税込)とママチャリタイプの電動アシスト自転車と大差ないプライス設定とされています。BESVブランドのe-Bikeは20万円以上するものがほとんどだったのに比べると、買いやすい価格となっています。この値段であれば、通勤用に検討したいと感じる人も多いのではないでしょうか。
近距離通勤に適した走行性能
スッキリしたデザインと使い勝手、それにコストパフォーマンスを兼ね備えたVOTANI H3ですが、実際の走行性能はどうなのか? 1週間ほど街乗りを中心に乗り回してみました。アシスト機構はBESVが手掛けているだけあって、e-Bikeらしい自然なフィーリング。ママチャリタイプの電動アシスト自転車には、ペダルを踏むと思ったより加速してしまうようなモデルも少なくありませんが、そうした怖さを感じさせることはありません。特にBESV独自のオートアシストモードはできが良く、モードを切り替えなくても最適なアシストを提供してくれます。
ミニベロと呼ばれる小径タイヤの自転車は、スピードを出すと安定感に難があるものもありますが、H3ではそうした不安を感じる場面は皆無でした。ちょっと大きめの段差を乗り越えるような場面でも、フロントのサスペンションが衝撃を吸収してくれるので車体は安定しています。このジャンルを得意とするBESVによる設計の良さが感じられます。
センターバスケットの使い勝手もなかなか。フロントにカゴが付くと、途端に野暮ったい見た目になってしまいますが、この位置ならスマートに荷物を収納できます。実際にバッグを入れて走ってみましたが、走行中にバッグが不安定になってしまうこともありませんでした。ママチャリのカゴほどの容量はありませんが、コンビニで買ったものなどを入れておくこともできて便利です。
車体のサイズ感も、街中で取り回しやすいもの。あまり長距離を走るのには向きませんが、片道5kmくらいまでの自転車通勤なら快適にこなせそうです。アシスト走行が可能な距離は最もパワフルなモードで45km(パワー)、中間のモードでは60km(ノーマル)なので、オートアシストモードで走れば1週間に1度充電するくらいで十分でしょう。初めてのe-Bikeを購入する人、街乗りメインで通勤にも使いたいという人には購入のハードルも低く、最適なモデルと言えそうです。
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