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2020/8/2 18:30

乗れれば幸せ!? 車両数が少ないJRの「希少車」16選

【希少車に注目⑧】2編成のみ造られた北海道の希少な電車

◆JR北海道735系 計6両(札幌運転所)

↑ステンレス製の733系と連結して走るアルミニウム合金製の735系。両車両の外観はほぼ同じだが、735系は側面には色帯が付かない

 

ここからは各地を走るJRの希少車をとりあげよう。まずJR北海道から。札幌を中心に、多くの通勤形交流電車が走っている。721系、731系、そして車両数が多いのが733系である。733系とほぼ形は同じながら、側面に黄緑の帯が入らず、すっきりした姿の電車を時々見かけることがある。この帯が無い車両が735系電車だ。

 

この735系電車は2010年に3両×2編成のみ造られた。なぜ6両のみとなったのだろう?

 

735系はアルミニウム合金製の車体を持つ。アルミは軽量化、そして整備のコスト低減に結びつくことから、導入を図る鉄道会社も多い。そうした理由もありJR北海道でも735系の導入を図ったのだが、北海道は酷寒地である。アルミニウム合金製の電車が同じような環境で使われた先例がなかった。そのため6両を造ったものの短期間の試験で導入するのは、時期尚早という結論に至った。

 

JR北海道では735系の増備ではなく、2012年からは主力電車となる733系電車を新造という道をとった。733系のデザインは735系とほぼ同じだが、こちらはステンレス製である。すでに導入されていて充分に実績があった素材を使ったというわけである。

 

735系はわずか6両のみとなった。札幌近郊を走る電車の車両数は334両と多く、735系に出会う確率が少ない。それだけ出会えない電車となっている。

 

【希少車に注目⑨】電車との併結運転が可能な珍しい気動車

◆JR北海道キハ201系 計12両(苗穂運転所)

↑函館本線を走るキハ201系。走行性能に優れ、ニセコライナーといった優等列車にも利用されている

 

キハ201系は1996年に3両×4編成が誕生した。それまでのJR北海道の主力気動車といえば、キハ40系やキハ150形だった。函館本線の小樽よりも先は非電化区間となっている。この非電化区間から札幌方面へ気動車が直接に乗り入れることも多かった。ところが、既存の気動車は動きがやや鈍く、スピードも遅め。そのため他の電車の運行をさまたげる要因なってしまう。

 

そうした問題を解決するために開発されたのがキハ201系だった。キハ201系は最高運転速度120km/hと優秀な走行性能を誇る。さらにキハ201系は同時期に開発された731系電車と連結し、協調運転ができるように造られた。こうした電車と気動車が連結して協調運転を行う例は現在、北海道のみとなっている(他にJR東日本のSL銀河の例があるが、こちらは異例として見たい)。

 

非常に珍しいわけだ。ところが、最近は731系と協調運転されるケースが稀になっている。ニセコライナーが一番の“ハレ”の舞台となっているが、これも蘭越発、札幌駅行きが朝に1本、札幌を夕方に発車、倶知安駅行の列車が1本あるのみとなっている。札沼線の非電化区間が廃止されたこともあり、残る運用は函館本線内の電化区間を電車に混じって走るぐらいと、その性能が活かしきれていないのがちょっと残念だ。

 

【希少車に注目⑩】効率的な車両運用を行うJR東海で稀な例

◆JR東海キハ11形300番台 計4両(名古屋車両区)

↑名松線を走るキハ11形300番台。1両のみの運用が可能で、JR東海では珍しい全長18mと小型の車体となっている

 

JR東海では電車、そして気動車の形式を減らして集約化を図る傾向が強い。メンテナンス効率や、運用面といった利点を考えてのことなのだろう。そうした中で稀な存在なのがキハ11形だ。キハ11形はローカル線用に造られた気動車で、最初の車両の登場は1988年とJRになってすぐのころだった。

 

非電化区間の普通列車用に長らく使われてきたが、その後にキハ25系、キハ75系といった高性能な気動車が登場したことから、車両数が減少し、今では1999(平成11)年に増備されたステンレス車体のキハ11形300番台のみ4両が残る。運行はほぼ名松線と参宮線が主になっている。JR東海では4両のみと希少になっているが、ほかの鉄道会社に譲渡された車両もある。

 

JR東海の関連会社である東海交通事業城北線に2両が入線している。ちなみに300番台が導入された東海交通事業からはキハ11形200番台の2両が、茨城県を走る、ひたちなか海浜鉄道へ譲渡された。車両数が減りつつもキハ11形は、ローカル線を運行する鉄道会社にとって、利用しやすい車両なのだろう。

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