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2020/8/23 18:30

今も各地を走り続ける東急「譲渡車両」を追う〈東日本版〉

【注目の譲渡車両④】上田電鉄では1000系2タイプが走る

◆長野県 上田電鉄1000系(元東急1000系)

↑上田電鉄の1000系。写真は1003編成で「自然と友だち2号」と名付けられた。同鉄道の1000系はみなデザインが異なっている

 

長野県上田市内を走る上田電鉄。昨年秋の台風19号の影響で千曲川橋梁が倒壊、現在は上田駅〜城下駅間がバスによる代行輸送となり、電車の運行は城下駅〜別所温泉駅間のみとなっている。

 

そんな上田電鉄の主力車両が1000系、元東急の1000系である。1000系は2両×4編成が走り、皆デザインが異なる。1001編成は元東急の1000系のままの赤帯電車、1002編成は自然と友だち1号、1003編成は自然と友だち2号と名付けられたラッピング電車。1004編成は丸窓電車として人気だった車両デザインを踏襲した「まるまどりーむ号Mimaki」で、上田電鉄の伝統色、紺と白に塗装されている。

 

上田電鉄は東急の系列会社であり、1986(昭和61)年の1500V昇圧後以降は元東急電車のみを使用している。昇圧後当初は5000系、5200系、さらに7200系を利用してきた。7200系は2018年5月まで走っていただけに、懐かしく思われる方も多いのではないだろうか。

 

かつて利用した東急電車の中で、5200系1両のみ保存されている。元東急5200系は、“青ガエル”の愛称で親しまれた5000系のセミステンレス車両版である。1958(昭和33)年から4両のみ造られた車両で、日本初のステンレス鋼を用いて造られた。通常は下之郷駅の車両基地内でシートをかぶされ保管されている。

 

この元東急電車の記念碑的な車両が、9月27日までの期間限定で、城下駅の下りホームに展示されている。通常は、なかなかお目にかかれない車両なので、この機会にぜひとも訪れておきたいところだ。

 

◆長野県 上田電鉄6000系(元東急1000系)

↑上田電鉄6000系は現在2両のみ。さなだどりーむ号という愛称が付く。戦国時代に上田城を拠点とした真田家にちなむ装いで走る

 

上田電鉄には2015年3月に東急から譲渡された6000系も走っている。この車両は1000系の中間車を改造した電車で、新たに運転台を設けた。そのため、既存の上田電鉄1000系とは正面の形が大きく異なっている。

 

前述した福島交通の1000系とほぼ形は同じだが、真田藩の元城下町、上田らしく「さなだどりーむ号」の名前が付く。車体は戦国武将、真田幸村の赤備えにあわせ、赤が基調、車体には真田家の家紋・六文銭があしらわれている。

 

ちなみに、前述したように台風災害で一部区間が不通となっている。2021年春ごろを目指して復旧工事が進められている。

 

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【注目の譲渡車両⑤】元東急8500系がほぼ同じ姿で信州を走る

◆長野県 長野電鉄8500系(元東急8500系)

↑先頭に赤い帯が入る長野電鉄8500系。元東急8500系と同じ姿のままで、後ろに山景色がなければまるで首都圏を走っているかのようだ

 

長野県内の長野駅と湯田中駅を結ぶ長野電鉄長野線。普通列車に使われるのが元東急8500系である。長野にやってきても8500系を名乗る。正面に赤い帯が入る東急当時とほぼ同じスタイルで、田園都市線でも同じ姿の電車が走っている。写真を見る限り、後ろに志賀などの山々が見えなければ、首都圏で撮ったように錯覚してしまうほどだ。

 

長野電鉄へやってきたのは2005(平成17)年。3両×6編成が信濃路を走る。姿はほぼ元東急のままだが、細いところでは、例えば、雪の多い長野の風土に合わせて、凍結防止用にドアレールヒーター、耐雪ブレーキが装着されるなど、改造が施されている。

 

ちなみに急勾配用のブレーキを装着していないため、長野駅〜信州中野駅間のみの運行となっている。

 

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