コンパクトモデルから大型SUVまでEVが選べるようになったいま、プロが魅力を感じる珠玉の4モデルを紹介。EVならではの加速力はもちろん、バッテリー性能など、それぞれのモデルが有する特徴はEVならではのものだ。
※こちらは「GetNavi」 2020年12月号に掲載された記事を再編集したものです。
【Model.1】清水草一さん(モータージャーナリスト)
家庭用電源として使えて耐久性も高い!
ホンダ
Honda e
451万円〜495万円
ホンダ初の量産EV。EVの大きなボディや航続距離の短さを改善して「街乗り」に特化した。ラインナップは154PSのアドバンスと136PSの標準モデルの2種。いずれも駆動方式はRRで最大航続距離は250km以上を誇る。
SPEC【Advance】●全長×全幅×全高:3895×1750×1510mm ●車両重量:1540kg ●最高出力:154PS(114kW)/3497〜1万rpm ●最大トルク:315Nm(32.1kg-m)/0〜2000rpm ●一充電走行距離(WLTCモード):259km
都市型コミューター&家庭用蓄電池にはベスト
私の場合、自宅でソーラー発電をしていて、電力の固定価格買取がそろそろ終わる。なので災害対策も兼ねて蓄電池の導入を考えているのだが、実は蓄電池としてはEVが一番コスパが高い! ただし、V2H(ビークル・ツー・ホーム)ができるのは国産EVのみ。つまりリーフとHonda eのみだが、Honda eのバッテリーは水冷式で、おそらくバッテリーの寿命がずっと長い。だから中古価格も下がりづらい(はず)。航続距離は実質せいぜい200㎞だけど、都市型コミューターとしては十分。しかもいま買える世界中のEVの中で一番シンプルでカッコいいと思う。以上の理由で私はHonda eを選択する!
【Model.2】会田 肇さん(カーITジャーナリスト)
高揚感を呼ぶ先進性とトレーシング性の高さは圧巻
アウディ
e-tron Sportback
1327万円〜1346万円
スタイリッシュなクーペ風のシルエットが印象的な、日本初上陸となるアウディのEV。駆動方式はアウディ伝統のクワトロ(4WD)だが、通常は主にリアのモーターのみを駆動させてエネルギー消費を抑える。2.5tを超える車重ながら、0〜100km/h加速は5.7秒という優れたトルク性能を誇る。
SPEC【55 quattro 1st edition】●全長×全幅×全高:4900×1935×1615mm ●車両重量:2560kg ●最高出力:407PS(300kW)●最大トルク:664Nm(67.7kg-m)●一充電走行距離(WLTCモード):405km
先進性が高いメカニズムと高い操挓感が魅力のEV
アウディQ3をベースに先進技術を盛り込んだ、日本初導入となるアウディのEV。象徴的な装備が、ドアミラー代わりの「バーチャルエクステリアミラー」で、カメラで捉えた後方映像をインテリア側の有機ELモニターに表示する。解像度が高く、光学ミラーと比べても遜色がない。
コックピットのデザインも近未来的で高揚感を昂らせるのに十分。走ればライントレース性が高く、とても2.5t近くの重量車とは思えないほど楽に操れる。充電効率も極めて高く、航続距離もそれほど心配なさそう。この先進性と走りの良さを見事に両立させるe-tronSportsbackで、EVの真価を試したいのだ。
【Model.3】川端由美さん(自動車・環境ジャーナリスト)
電動モビリティの牽引役が誇る凛としたスタイルのEVが日本上陸!
プジョー
e-208
389万9000円〜423万円
208が完全EVをラインナップに加えて8年ぶりにモデルチェンジ。FFホットハッチのイメージ通り、フロントにモーターを配して重量物のバッテリーは床面に置くなど低重心化し、走行性能を高めている。立体的な視覚効果が特徴である「3D i-Cockpit」など印象的な内装も特徴だ。
SPEC【GT Line】●全長×全幅×全高:4095×1745×1465mm ●車両重量:1500kg ●最高出力:136PS(100kW)/5500rpm ●最大トルク:260Nm(26.5kg-m)/300〜3674rpm ●一充電走行距離(JC08モード):403km
プジョーらしい凛としたスタイルに目が奪われる
プジョーといえば、“フランス製のおしゃれなクルマ”というイメージが強い。しかしプジョーの親会社であるPSAグループは電動モビリティの牽引役であり、最先端技術を続々と開発している。
e-208と出会ったのは、昨年3月のスイス・ジュネーブでのこと。コンパクトなボディサイズながら、凛としたスタイリングに目を奪われた。中身に目を向ければ、新開発の「e-CMP」なる電動プラットフォームを内包する。
こんなクルマで郊外に向けてハンドルを切れば、プジョーらしい猫足でひたひたと走り抜けるんだろうなあ、と想像をかき立てられる。早く乗りたい! の一言に尽きるEVである。
【Model.4】岡本幸一郎さん(モータージャーナリスト)
最大走行距離560kmと0-100km/h加速3.4秒は驚異的!
テスラ
テスラ モデル3
511万円〜717万3000円
世界中が注視するEVに特化した新興勢力のテスラ。これまでは高価な車種が多かったところ、昨年日本上陸を果たした普及版のモデル3は現実的な価格帯に。日本仕様は標準+αの性能の後輪駆動仕様と、デュアルモーターAWDの高性能版、および走行距離重視仕様の3タイプ。
SPEC【スタンダードレンジ プラス】●全長×全幅×全高:4694×1933×1443mm ●車両重量:1612kg ●最高出力:286PS(211kW)●最大トルク:350Nm(35.6kg-m)●一充電走行距離(WLTPモード):409km
現実的な価格帯ながら秘められた実力は驚異的
全幅こそそれなりに大きいものの、テスラに共通する流麗なフォルムを持つボディは、日本でもあまりもて余すことなく使えそうなサイズ感。先進的な装備の数々を搭載した室内は、全面をガラスで覆ったルーフにより極めて開放的なのもうれしい。
走りの実力もかなりのもので、最速で0-100km/h加速がわずか3.4秒という瞬発力は、この価格帯のクルマでは類を見ない。最大で約560kmという長い走行距離も強みだ。さらには世界に先駆けて半自動運転を実現したオートパイロットや、定期的にクルマが新しくなるワイヤレスソフトウェアアップデートなど、テスラならではの魅力を凝縮している。