〜〜2021年 鉄道のさまざまな話題を網羅〜〜
新しい年の訪れで期待が高まる2021年の鉄道。新特急や新型車両が登場する一方で、今年もコロナ禍は鉄道に大きな影響を与え続けそうだ。気になる新特急、新車情報、そして注目される鉄道の話題を追ってみよう。
【注目! 2021年①】コロナ禍で終電時間繰上げの動きが強まる
2021年、最初に触れておかなければいけないのは、やはり新型感染症の話題だろう。年初ぐらいは明るい話題をと考えたものの、避けることができない現実が伴う。
すでにほとんどの方がご存知かと思われるが、全国規模で進められそうなのが終電時間の繰上げ。こうした話題の時に例としてあげられることが多いのが山手線だが、同線の繰上げ時間は16〜19分程度となる。内回りの電車だと、上野駅、東京駅、品川駅では0時30分前後の発車と今とほぼ変わりないが、池袋駅、新宿駅、渋谷駅に到着する時間が20分ほど繰り上がる。
山手線はそれなりに遅くまで走っているとはいえ、春のダイヤ改正後には都市部を走る電車は大概が0時から0時30分前後が最終となると考えたほうが良さそうだ。
JR東日本のプレスリリースの巻頭には、終電車の繰上げとは明記せずに「ご利用状況に合わせた輸送体系の見直し」となっている。このあたり、鉄道会社の苦悩を表しているかのようだ。次に終電車の繰上げ以外に、3月13日(土曜日)に全国いっせいに行われるJRグループの春のダイヤ改正で、注目されるポイントを見ておこう。
【注目! 2020年②】春のダイヤ改正で注目のポイントは?
この春のJRグループのダイヤ改正では、新特急の運転開始も発表されている。
◆JR東日本の新特急「湘南」が運転開始! 特急「踊り子」はE257系に
これまで東海道本線の朝夕の通勤用快速列車といえば、「湘南ライナー」「おはようライナー新宿」「ホームライナー」という列車名で運行されていた。この「ライナー」列車が消えて、代わりに同時間帯に特急「湘南」が運転される。平日の朝通勤時間帯に上り列車が10本、夕夜間帯に下り11本という運転本数だ。
「着席サービスの導入で“着席ニーズ”にお応えします」とある。とはいえ利用者として気になるのは利用金額が変わることだろう。現在の「ライナー」は快速列車の扱い。料金は520円均一だ。座席は指定席ではないものの座席定員制のため、座ることができる。
新しい特急「湘南」は特急列車。東京駅〜小田原駅間の特急料金を見ると、事前料金は1020円、車内料金は1280円となる。えきねっとチケットレスサービスを利用すれば920円と割安となる。とはいえ現行の520円と比べると、割高となるわけだ。
東海道本線では普通列車にもグリーン車が連結されている。このグリーン車に乗車すれば東京駅〜小田原駅間で平日の事前料金は1000円(ホリデー価格は800円)、車内料金は1260円(ホリデー価格は1060円)と似た金額となる。えきねっとチケットレスサービスを利用すれば、より割安になるわけだ。ふだんグリーン車を利用する乗客を意識した新特急ということができそうだ。
ちなみに特急「湘南」に使われるのはE257系2000番台・2500番台が使われる。「ライナー」や特急「踊り子」に、これまでは主に185系が使われてきたが、特急「湘南」、特急「踊り子」はすべてE257系に統一されることになる。
◆東北・上越新幹線の所要時間が1分短縮! わずか1分短縮ではあるのだが
東北新幹線、上越新幹線の列車に乗車したことがある方はご存知のように、東京駅〜大宮駅間は、普通の電車並みのスピードで走っている。この区間は最高時速が110kmに抑えられている。
東北新幹線の工事区間でも路線新設にあたって反対運動が高まりをみせた。そのためにルート設定に難航し、通勤新線(現在の埼京線)を平行して開業させるなどの譲歩案を経て工事が始められた。さらに同区間では新幹線の路線としては異例な曲線半径600m〜2000mの急カーブが設けられている。こうした経緯もあり、大宮以北よりも、上野駅〜大宮駅間は3年ほど遅れた1985(昭和60)年に開業している。
いわば“新幹線らしくない”ルートがスピードアップを阻んできた。JR東日本では少しでもスピードアップをと、まず設備面ではデジタルATCを導入した。この設備の導入により、より細かい速度制御が可能となった。さらに埼京線と平行して走る区間各所で、吸音板を設置、また一部で防音壁のかさ上げ工事を行った。この工事に2年の歳月をかけている。こうした積み重ねの結果、荒川橋りょう以北の区間で最高時速130kmへの引き上げが可能となった。
現在、上野駅〜大宮駅の所要時間約19分、東京駅〜大宮駅間約25分かかる。この所要時間がそれぞれ1分、短縮されることになる。新幹線の所要時間の短縮は、意外に大変なことなのである。たかが1分、されど1分なのだ。
◆JR四国の特急「南風」「しまんと」が全列車2700系に
JR四国の2700系は2019年8月に走り始めた特急形気動車である。古くなりつつあった2000系の置き換え用に増産が進められた。JR四国では2700系を新造するまでに2600系を製作し、高徳線を走らせた。しかしカーブの多い四国の路線には合わないことが分かった。そのため制御付き自然振子装置を装着した2700系を新たに開発し、量産化を図ったのだった。
走り始めてまだ1年とちょっとなのだが、優れた性能が改めて確認された。鉄道友の会が選択する第60回のローレル賞も受賞している。技術面で認められたわけである。
すでに複数の特急列車に導入されているが、この春のダイヤ改正からは特急「南風」と特急「しまんと」の全列車に2700系が導入されることが発表された。高知駅から先を走る特急「あしずり」にも追加投入される。高知県内の路線は2700系一色で染まりそうである。