2020年、大きく販売台数を伸ばしたのがe-Bikeと呼ばれるスポーツタイプの電動アシスト自転車。満員電車を避ける通勤手段としての需要が高まったことが伸長の理由ですが、通常の電動アシスト自転車と比べると、高価なのがネックでもあります。
「ママチャリっぽくないデザインの電動アシスト自転車がほしいけれど、できれば予算は抑えたい」そんな人にオススメしたいのが、VOTANI(ヴォターニ)というブランド。ミニベロと呼ばれる小径タイヤを採用した街乗りに似合うスタイルですが、通常の電動アシスト自転車に少し足したくらいの予算で購入できるのがメリットです。以前に「H3」というモデルに試乗しましたが、好印象だったため、続いて上陸した「Q3」というモデルにも乗ってみることにしました。
BESVのノウハウを注入された設計
ヴォターニというブランド名を聞き慣れない人も多いと思いますが、アシストシステムや車体設計などを手掛けているのはe-Bike専業メーカーのBESV(ベスビー)。おしゃれなe-Bikeを数多くリリースしているだけに、このQ3にもそのエッセンスが感じられます。以前に紹介したH3との違いは、フレーム形状と後輪にサークル錠を装備していること。バッテリーやモーターなどのアシストユニットは共通です。
アシストは3段階に調整が可能で、ベスビーが得意とするペダルを踏む力に合わせて最適なアシストを提供するオートアシストモードも備えています。アシスト可能な走行距離はエコモードで約80km、ノーマルモードで約60km、パワーモードで約45km。日常使いでは十分なバッテリー容量といえるでしょう。
利便性を高める装備も多いのが魅力!
街乗りをメインターゲットに開発されているので、利便性を高める装備も多く盛り込まれています。前後タイヤにはフェンダーが装備され、フロントにはサスペンションも装備。ギアはシマノ NEXUS内装3段で、チェーンカバーも付いています。バッテリーから給電されるライトも標準装備されているので夜間の走行も安心です。
そして、日常の足として使う際に便利だったのが最初に述べたサークル錠。ちょっとした買い物に立ち寄った際など、ワンタッチでロックできるのはやはり便利です。e-Bikeだとこうした装備があるものは少ないので、ワイヤーロックを持ち歩かなければならないのですが、その必要がないので気軽に出掛けられます。
想像以上にキビキビ走れる走行性能
適応身長は144cm〜と、小柄な女性でも乗れる設計ですが、175cmの筆者がまたがっても違和感のないライディングポジションを実現しています。これなら、夫婦で共用することもできそう。サドルは柔らかめで座り心地が良く、ハンドルも握りやすい角度になっています。
実際にペダルを漕ぎ出してみると、ベスビーが手掛けたアシスト機構はさすがの完成度。アシスト感が自然で、ペダルを踏んだ際に車体が進み過ぎて怖い思いをするようなことがありません。ママチャリタイプの電動アシスト自転車とは一線を画するアシストフィーリングで、どちらかというとe-Bikeに近い感覚です。
U字型のフレームは、車体の剛性が落ちやすいので、強い力でペダルを踏むとフレームがヨレる感覚が伝わってくる自転車も少なくありませんが、Q3はその感覚がありません。乗りやすく、実用性も高い車体ですが、しっかり作られているので乗っていても気持ちが良く楽しい! ブレーキの効きも良く、フロントサスペンションがショックを吸収してくれるので安心して走れました。
筆者の家の近所には坂道が多いので、激坂も登ってみましたが、アシストのおかげでスイスイ登ることができました。前輪にモーターを搭載したタイプは、登り坂でフロントが滑りやすかったりしますが、その不安感もなし。坂の多い街での足には最高ですね。
街に似合うデザインとe-Bike並の走行性能、そして日常での使い勝手を両立しながら、価格は13万2000円(税別)。H3に乗った際にも感じましたが、結構お買い得ですし、こういうモデルを待っていたという人は少なくないと思います。前後のキャリアや両足スタンドといった利便性をさらに高めるオプションも用意されていますし、フロントに装着できるバスケットも開発中だとか。夫婦で共用もできますが、1台しかないと取り合いになっちゃいそうな魅力を持ったモデルです。
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