【鉄道好きには②】さらに叡山電車とのコラボルームも用意
京都市内、出町柳駅から八瀬比叡山口(やせひえいざんぐち)・鞍馬方面を結ぶ叡山電鉄。鞍馬や比叡山への観光の足として利用されている。
この“えいでん”または“叡山電車”として市民から親しまれる叡山電鉄とのコラボ企画が3月16日から始まった。その名もずばり「叡山電車トレインルーム」。「京阪電車トレインルーム8011号」に負けず劣らず、とても鉄道色が濃い部屋なのだ。
ドアを開けると、まさに“えいでん”一色。叡山電車といえば、紅葉が大人気の路線だが、そうした紅葉に包まれて走る叡山電車900系展望列車「きらら」の名シーンがいっぱい。さらに鮮やかなモミジ色、「EIDEN」の名入りベッドスローが目に入ってくる。
反対側の壁には1990年ごろまで多くの車両で使われたホーロー製の行先方向板や、側面に掲示された方向幕が掲げられる。当時の叡山電車の行先方向板は、やや小さめだったことがわかる。方向幕の中には「留置車」や「回送」という表示も。これは鉄道ファンにとって垂涎の品物でしょう、きっと。
さらに、さらに……。
◆触れてみたい!旧車両のマスターコントローラー
実際に使われていたマスターコントローラーとブレーキハンドルが部屋に装備されたのである。通称、「マスコン」または「マスコンハンドル」と呼ばれる機器は、いわずもがな、電車の速度制御に必要な機器だ。
同部屋に装備されたマスターコントローラーは、デオ600形という電車の運転台に実際に設置されていたもの。デオ600形は1979(昭和54)年から翌年にかけて6両が製造された形式で、2008年11月に廃車されている。今回、この部屋を飾る重要なアイテムとして10数年ぶりに公開されたわけだ。
これはじっくり感触を味わいたい装備だ。それこそ、この部屋に泊ることができた宿泊者の特権でもあるのだから。
ほかにも部屋の入口に900系展望列車「きらら」のNゲージ模型の「盆ラマ」が飾られる。ちなみに「盆ラマ」とは、盆栽ふうの小ジオラマのことだ。赤や黄色に色づく木々に包まれて走る「きらら」が絵になる。さらに、八瀬比叡山口駅で使われていたカットレール(本物のレールをカットした)の置物や、鞍馬線で使われたバラスト、また記念撮影用の「きらら」のパネルが用意される。部屋では運転席展望映像DVD「紅葉の叡山電鉄」を楽しむこともできる。
さらに、宿泊100組までは叡山電車「きらら」にちなんだオリジナルグッズがプレゼントされるというからうれしい。
○期間:2022年3月15日(火)まで
○利用:各日限定1室 ツインルーム(1〜2名まで利用可能)
○宿泊料金:9500円〜/2名1室利用1名様料金(消費税・サービス料込み、宿泊税は別途)
※料金は宿泊日・人数で変動あり
ちなみに、叡山電鉄の鞍馬線は2020年7月に起きた豪雨災害による土砂崩れで、市原駅〜鞍馬駅間の運転休止が続いている。ちょうど3月12日には、「2021年秋までを目処に運転を再開する見通し」ということが発表された。この秋には名物の「もみじのトンネル(市原駅〜二ノ瀬駅間)」のもみじが、鮮やかに染まる光景を、展望列車「きらら」の車内から楽しめることができそうである。