イタリア・ピアッジオ社が生産するスクーター・ベスパが、今年の2021年に生誕75周年を迎えました。デザインの美しさと独特の機構で手堅い支持を得ているスクーターの歴史は前編で取り上げましたが、この後編ではベスパの最新モデルである「ベスパ・プリマベーラ」「ベスパ・GTS」の2台を試乗インプレッション。いずれも、75周年記念カラーの出荷を控えたものです。(前編のベスパの歴史を聞いた記事はこちら)
古くからのバイクファンにとってベスパと言えば、ハンドチェンジなど、伝統的な機構をイメージしますが、最新モデルはより乗りやすく快適になっているとのこと。ピアッジオグループ・ジャパンPR 河野僚太さんにお話を聞きながら試乗していきます。
ベスパ最新モデルは大きく分けてスモールとラージの2タイプ
--1996年以降、CVTのトランスミッションの4サイクルエンジンになり現在まで続いているベスパですが、現在のラインナップのカテゴリーを教えてください。
河野僚太さん(以下、河野):まず、大きく分けて「スモールボディ」「ラージボディ」に大別できます。今回試乗していただくプリマベーラは、スモールボディのカテゴリーでコンパクトかつ俊敏性がある124ccのモデルです。スタイリングもどこかかわいらしく、女性でも気軽に乗っていただけるスクーターだと思います。
そして、同じく試乗いただく「GTS」は、ラージボディのカテゴリーで「街から街の移動に使える」という意味合いを持つグランツーリスモの278ccのモデルです。
――いずれも旧式のベスパに比べれば、かなりスタイリッッシュな映りですが、ベスパの伝統的なモノコックフレーム、フロントタイヤの肩持ち、エンジンとリアタイヤのユニットなどは継承されていますね。
河野:はい。この点こそピアッジオが考える「変わり続けるべきもの」「変えてはならないもの」のバランスを取りながら進化が行き着いたものだと思います。本当に乗りやすいので、是非試乗してみてください。
プリマベーラ(124cc・スモールボディ)の細部をチェック!
まずはスモールボディの「プリマベーラ」の細部をチェックしていきましょう。
低速の安定感に優れ、短距離移動に最適のプリマベーラ
ということで、早速「プリマベーラ」を試乗していきましょう。
スロットルをひねった際のレスポンスの良さが申し分なく、河野さんの話にもあった「俊敏性」とはまさにこのこと。エンジンの振動は極めて低い反面、トルクも十分で安定した乗り味も感じることができました。
前後のサスペンションが路面からの衝撃を吸収してくれるため、低速での安定感は抜群。「プリマベーラ」はストップ・アンド・ゴーを繰り返すような短距離での移動や、気軽に乗るために最適のモデルだと感じました。バイクに乗り慣れていない女性でもすぐに扱える点は、従来のベスパのコンセプト通りでもあり、なかなかの好印象です。
GTS(278cc・ラージボディ)の細部をチェック!
続いて、ラージボディの「GTS」の細部をチェックしていきます。基本的な構造(エンジン、足回りなど)は「プリマベーラ」と同じなので、重複する点は割愛し、GTSならでの機構を注目していきます。
乗り手は選ぶが、ハマればベスパの新しい魅力を味わえる
「GTS」は278ccのラージボディですので、先ほど試乗した「プリマベーラ」に比べれば、やや重い印象を持ちましたが、スロットルを上げると安定感を見せ、キビキビした走りを見せてくれます。サスペンションも固めで、今までのベスパでは考えられないほどスポーティな乗り心地。
ベスパの中では高排気量に位置するモデルでもあるため、一定以上のバイクの知識・経験があるユーザーでも十分に満足できる走りが体感できると思いました。
プリマベーラ・GTSとも75周年記念特別仕様車も
――「プリマベーラ」「GTS」いずれのモデルも特徴がわかりやすく、それぞれの良さがありました。
河野:「プリマベーラ」「GTS」いずれのモデルも、これまでのベスパのテクノロジーが全て反映されており、最新の走りを楽しむことができると思います。また、「プリマベーラ」「GTS」ともに、75周年記念の特別仕様車を用意しています。限定販売ですので是非こちらにもご注目していただきたいです。
――すでにイタリア本国では電動ベスパも登場しているようですが、75周年以降のベスパの動向にも期待ですね。
河野:これからもベスパの伝統を重んじながら、時代に合わせたモデルをご提供させていただければと思っています。
気になる最新モデルの価格は、プリマベーラが59万4000円(税込)、GTSが85万8000円(税込)。国産同クラスのスクーターに比べれば少々高めですが、その分、他では味わうことができない乗り心地を体験できます。購入を視野に入れる場合は、是非販売店などで試乗し比べてみてはいかがでしょうか。
撮影/我妻慶一
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