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2021/8/17 10:45

熱きカワサキマニアが語る! バイクだけにとどまらない「カワサキ愛」の人生

いま、世界的に見ても二輪・四輪ともガソリン車廃止の動きが活発化しています。それを見越して、EVや電動モビリティが続々と登場していますが、バイク業界では若者の”バイク離れ”が。ニュースで販売台数は最盛期の10分の1になっている情報を見ても分かるように、絶滅危惧種になっていると言えるでしょう。そんな状況下の中でも、バイクを愛し、趣味の全てをバイクにかける人々が数多くいます。社会の流れとは逆行している行動でもありますが、だからこそロマンを感じる方も多いのではないかと思います。

 

日本の主要バイクメーカーであるホンダ・ヤマハ・スズキ・カワサキの中でも、特に硬派かつコアな人気を得ているメーカーがカワサキ。先日『GetNavi web』で公開された俳優・市原隼人さんのカワサキZ1にまつわるインタビューにもある通り、バイクファンの間では特別視されることが多いメーカーです。(カワサキZ1の記事はこちら)今回は35年以上、カワサキのバイクばかり30台近く乗り継ぎ、カワサキマシンで日本国内の草レースはもちろんアメリカのレースにも参戦した経験もある筋金入りの”カワサキマニア”岩下隆二さんに、ロマン溢れる世界について語っていただきました。

↑岩下隆二さん。バイク雑誌のカワサキ特集でたびたび取り上げられる熱心なカワサキファン。現在は別業種に就いていますが、一時はバイク業界に身を置いていたことも

 

36年前の「三ない運動」の影に隠れてバイク免許を取得

--岩下さんはバイク、カワサキとどのような出会い方をしたのでしょうか。

 

岩下隆二さん(以下、岩下):今から36年も前になりますけど、16歳の終わり頃に中型の免許を取ったんです。ただ、当時は「三ない運動」と言って「バイクの免許を取らせない」「バイクに乗せない」「バイクを買わせない」ということを言われた時代でした。当時、僕も高校生だったわけですが、こっそりと免許を取りに行きました(笑)。

 

そして、同じように学校に隠れてバイクの免許を取っていた友達ができました。後に彼とは一緒にアメリカで開催されたバイク登山レースに行くことにもなるのですが、まだ仲良くなって間もない頃に「今度は奥多摩まで走りに行くけど、一緒に行かない?」と誘ってくれて、彼の後ろに乗って連れていってもらったことがありました。その奥多摩以来、36年間「やっぱりバイク最高だな」と思って、ずっとバイク漬けです(笑)。

 

――この頃から、乗っていたバイクはカワサキですか?

 

岩下:いや、僕が一番最初に買ったのは当時最新モデルだったホンダの「CBR400F」です。そこから「Z400FX」というカワサキのバイクに乗り換えて以来は、ずっとカワサキを中心に乗ってきました。一応、バイクメーカー4社を乗りましたが、やっぱりカワサキが一番ですよ。

↑30年以上、カワサキにこだわってきた岩下さんの自宅。ファンが見れば垂涎モノのTシャツをベッドに並べました。枕にはやはりカワサキのタオルが

 

↑カワサキのKマークが施されたツナギ

 

↑自宅1階はガレージ兼サロンのようにリフォームされていました

 

↑ガレージの壁にはカワサキ関連のレア広告やポスターが飾られています

 

↑自身のレースの思い出の写真などもありました

 

↑趣味のミニカーやラジコンなどもズラリ!

 

主要バイクメーカー4社の中で「完成されきっていない」ところが魅力

――カワサキのどんなところが特別なのでしょうか?

 

岩下:これは個人的な意見ですが、多分、完成され切っていない部分があると思っているんです。例えば自分なりにカスタムすると自分好みの乗り味を楽しめたりカッコ良くなったりします。

 

対して、ホンダやヤマハは新車の完成度が高く、乗り手や自分が入り込める感じがないんです。ホンダは優等生的で、ヤマハは洗練された洒落たバイクが多い印象があります。そんなメーカーとは違うカワサキに惹かれて、自分にピッタリ合った感じですね。

↑現在、岩下さんが所有されているカワサキのバイクは2台。1台はアメリカ・カワサキ製造の「KZ1000LTD」。もう1台はタイ・カワサキの「MAX100」

 

↑KZ関連の貴重なエンブレムを複数所有しています

 

深すぎるカワサキマニアの生態系とは?

――そんなカワサキマニアの中でも様々なタイプがあるそうですね。

 

岩下:僕みたいに走りを楽しむために、カスタムする人、旧車を骨董的に楽しむ人、最新モデルばかり追い掛ける人。大きくタイプは3つに分けられます。それぞれの楽しみ方があって良いと思いますが、高速道路のパーキングエリアで自分のバイクを停めておくと、たまにケチつけられることがあります(笑)。「この配線がオリジナルじゃないからダメだ」「フレームの車体番号が何桁か」とか。こういう会話でも分かるように、同じカワサキファンの間でも重んじる部分が違うんですよ。

 

――走りを楽しむという点では、速さを追求するのか、それともツーリングで純粋にバイク乗りを楽しむ。岩下さんは、どっち派ですか?

 

岩下:草レースに参戦していた頃は、参戦できる楽しさ、うれしさに加えて、速さを求めるところはありました。ただ、最近は飛ばさずに60キロくらいで十分楽しめています。バイクって運転技術が必要なのですが、年齢を重ねていくと、どんどん腕が衰えていくこともあるんですよ。だから、その技術が衰えないように、のんびりした走りを楽しむようにしています。あとは、他のバイク乗りや車に迷惑かけないよう走ることを心がけています。

↑岩下さんのレアコレクションの逸品・カワサキの水。14年ほど前にイベントで入手したものだそう

 

↑ボードにカワサキのZがプリントされた70年代のスケボー

 

↑カワサキ関連のステッカーやワッペン。川崎重工の船舶部が独立した川崎汽船の“K”LINEトラックのミニカーも

 

バイクファンがストリートで出会って、そのまま仲間になっていく

――運転中に見知らぬバイク乗りと「どっちが速いか」みたいな争いってあったりするんですか?

 

岩下:昔はそういう挑発に乗ることもありましたね(笑)。

 

昔、たまたま幹線道路で一緒になったヤマハの「XJ750」に乗っていた人と、少し競う感じになったことがありました。そしたら、ある信号待ちで止まった際に「おめぇ、うまいな。気に入った」といきなり声を掛けられて(笑)。その流れのまま知らないバイク屋に連れて行かれて、みんなで缶コーヒーを飲んだりすることもありましたね。こういうのは、バイク乗りの中では結構ある話ですよ。いま、僕のバイク仲間もだいたいそうやって出会った人たちです。

 

――今は、SNSで出会うことが多いかもしれませんが、岩下さんはストリートで出会っていたんですね。

 

岩下:カッチョ良く言うとそんな感じですね(笑)。バイク乗り仲間は道端で出会ってそのまま仲良くなることが多い印象があります。

↑30台近く乗り継いだという岩下さんのカワサキバイクの一つ「Z1000J」

 

↑草レースに参加し入賞したというKSR最終型のブルーサンダース・フルチューン

 

↑1977年リリースのレアモデル「KM90」

 

バイクが一番面白かった時代を過ごせた世代

――今はバイクも車もガソリン車廃止の方向に進んでいます。その傾向に関しては、どう感じていますか?

 

岩下:ガソリン車がなくなったらバイクは乗らなくなると思います。電動バイクに乗るくらいなら、カワサキが出した電動自転車に乗りますよ。改めて思うことは、バイク乗りとして本当に良い時代に生まれて、良い時代に死んでいくということ。

 

というのも、バイクが一番面白かったのは70年代〜80年代。90年代の始めくらいまでは良いバイクが沢山ありました。だけど、それ以降は似たり寄ったりなものばかりで、個性的なバイクが無くなってしまいました。その意味で僕らはバイクが一番面白かった時代を体験できたと改めて感じます。

 

――仮にガソリン車がどんどん下火になってもカワサキ愛は変わらないですか?

 

岩下:それは変わらないと思います。今もバイク以外で興味があるのは明石海峡大橋や、浅草のアサヒビールの金の雲。というのも、明石海峡大橋を作ったのも、浅草のアサヒビールの金の雲を作ったのも川崎重工なんです。さすがですよ、カワサキは(笑)。バイク以外でも良いものをいっぱい作ってくれているカワサキへのこだわりだけは、ずっと変わらないですよ。

↑カワサキの魅力についてたっぷり語ってくださった岩下さん

 

岩下さんが、教えてくれたカワサキの深い世界。ガソリン車の問題点が叫ばれる今ですが、カワサキを含めたバイクが様々な人々に楽しさや喜びを与えた功績は評価されるべきだと個人的に思います。未来の二輪モビリティが、どう変わっていくべきか――。バイクファンの声を取り入れながら進化してほしい。

 

【フォトギャラリー(画像をタップすると閲覧できます)】

 

撮影:中田 悟

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