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2021/8/11 17:45

ドライバーの疲労軽減と安全性向上に貢献。UDトラックスが最新電子制御ステアリング世界初公開

UDトラックスは7月1日、自動運転にもつながる技術「UDアクティブステアリング」を同社の大型トラック『クオン(Quon)』に搭載したことを発表しました。このUDアクティブステアリングはドライバーの運転環境を改善することを最大の目的に開発され、CG後軸エアサス WB 7520mm車、GK WB 3200mm車にオプション設定されます。

↑UDアクティブステアリングを搭載したクオン

 

低速走行時には取り回しが軽く、積み荷や路面状況、横風などにも左右されない

このUDアクティブステアリングは、従来の油圧式ステアリングギアの上部に新たに搭載し、電気モーターを活用した運転支援機能として誕生しました。具体的には、電気モーターに付随する電子制御ユニット(ECU)が、1秒間に約2000回の頻度で様々なセンサーから運転環境を感知して走行方向とドライバーの意図を判断。あらゆる走行条件下において、ドライバーの運転操作をアクティブにサポートする機構となっています。

↑従来の油圧式ステアリングギアの上部に電気モーターを搭載し、あらゆる走行条件下において、ドライバーの運転操作をアクティブにサポートする

 

特徴的なのは、後退・右左折・旋回などの低速走行時には取り回しが軽く、速度が上がるにつれてステアリングの安定感が増していくことです。積み荷や路面状況、横風などにも左右されない安定したステアリングを実現できるため、これがドライバーにとって疲労軽減と安全に大きく貢献することにつながるというわけです。

 

その特徴は大きく以下の5つがあります。

1.低速走行時の軽いステアリング。重量物輸送時でも軽い力で操舵でき、疲労を大きく軽減。

2.高速走行時の直進安定性。スピードに応じて、ステアリングを適度な重さになるよう制御することで、直進走行時にドライバーの緊張感を軽減。

3.不整路走行時の路面状況の影響軽減。路面の凹凸から受ける影響を自動補正し、振動や意図しないステアリングの動きを軽減。

4.横風発生時の走行補正。横風の影響によるタイヤの微細な動きを素早く感知し、自動補正で直進走行をサポート。

5.後退・右左折時の自然なハンドル戻り。後退時や交差点の旋回時にステアリングは自動でニュートラル位置に戻る。

 

■UDアクティブステアリングがもたらす5つのポイント。

UDトラックスではこれらの効果を測る実証実験を行い、その結果、UDアクティブステアリング搭載車の方が運転時のストレスが低く、さらに過度な集中力を必要とせずに操作できることがわかったということです。また、搭載車では腕の力をより楽にして操作を行え、特に駐車時や路面の凹凸が激しい道路を走行する場合でも筋力を使わずにハンドル操作ができることもわかったそうです。

 

大型トラックにも関わらず、ステアリングを指1本でも回せることに驚き!

発表会後、実際にその効果のうち、「1」「3」「5」を体験する機会も提供されました。

 

まず「1」の体験として、スタートしてスラロームを低速で走ることにしました。ここでは指1本でもステアリングが回転する極めて軽いフィールを実感。大型トラックとは思えない驚くほどの軽さを体験しました。従来のトラックではこれら低速時のステアリング操作が重く、これがドライバーに大きな負担になっていたそうで、これだけでも運転環境は大幅な改善につながると思われます。

↑UDアクティブステアリングを体験すると、低速走行では本来なら感じる重さが指一本で回せるほどの軽さになっていた。これが高速走行になると重くなり安定性を増すという

 

「3」では、波状路を想定した凹凸を左側の車輪で連続して乗り越える体験。本来ならこうした凹凸を乗り越えると、その度にステアリングが影響を受けて方向が定まらなくなってしまい、ドライバーはその修正を余儀なくされます。が、UDアクティブステアリングではキャビンが大きく左右に振られても、ステアリングだけはまるで目標物があるかのように真っ直ぐ進んでいったのです。これは本当に見事なものでした。

↑波状路を想定した凹凸を左側の車輪で連続して乗り越える体験。UDアクティブステアリングではキャビンが大きく左右に振られても、ステアリングだけはまるで目標物があるかのように真っ直ぐ進んでいった

 

「5」は車庫入れでの体験です。「1」で体験したようにステアリング操作はとても軽く、左右への切り返しも楽に行えました。特に秀逸なのが手を離すとセンターポジションへステアリングが自然に戻っていくことです。今までトラックの操舵ではドライバーが元へ戻す必要がありました。トラックのドライバーは、荷物の積み卸し作業のためにドライバーは指定場所へバックで収めることが求められますが、ここまでステアリング操舵が軽ければ、かなり負担軽減につながるのではないでしょうか。

↑荷物の積み卸し作業では車庫入れが必須。低速で走行するため本来なら重くなるステアリング操作だが、UDアクティブステアリングでは驚くほど軽い。センターポジションには手放しでも戻る

 

UDアクティブステアリングが人材不足の解決につながることを期待

記者発表会に登壇したUDトラックス 代表取締役社長 酒巻孝光氏は、「ここ数年、ドライバーの有効求人倍率は全業種平均の約2倍と圧倒的に高く、その要因は少子高齢化、若者のクルマ離れ、給料、長時間労働や荷役作業のような体力的に過酷な労働環境など様々なことが考えられますが、UDトラックスができることはドライバーに常に寄り添ってその解決方法を常に考えること。我々は運ぶことをもっと楽に、そして豊かな気持ちで運んでもらえるよう、今後も技術力でサポートしていきたい」と語りました。

↑UDトラックス 代表取締役社長の酒巻孝光氏。「物流は社会の血流であり、UDトラックスは物流業界の課題解決にどのように貢献できるかということを常に考えている」とのこと

 

また、同社開発部門統括責任者 ダグラス・ナカノ氏は、「これは自動運転につながる技術。技術は人のために進化します。(UDアクティブステアリングは)ドライバーの疲労を軽減し、快適に運転できるトラックを提供することにつながり、それが人材の多様化やドライバー不足の貢献につながります」と、UDアクティブステアリングが運送業界の人材不足問題解消の一助になる可能性を挙げました。

↑同社 開発部門統括責任者のダグラス・ナカノ氏

 

↑発表会当日サプライズゲストとして登場した書道家の鈴木曉昇氏は、アクティブステアリングの技術を模して“技”を即興で書き上げた

 

このUDアクティブステアリングのオプション価格は46万円。乗用車ユーザーからすれば高く感じますが、そもそも大型トラックは2000万円ほどはする高額車両なので、それをベースにするとこの価格は決して高額とはなりません。むしろ、ドライバー不足に悩む物流業界にとっては、この出費で人材が確保できるようになれば安いものとなるでしょう。このオプションが物流業界の発展に寄与することを期待したいと思います。

↑発表会後は「物流業界の課題にトラックメーカーができること」と題したトークセッションも開催。日通総合研究所取締役の大島弘明氏(左から2人目)、ジャーナリストの橋本愛喜氏(同3人目)、交通コメンテーターの西村直人氏(同4人目)らが参加した

 

■UDアクティブステアリングの制御精度を示すデモンストレーション。クオンのトレーラーヘッドには筒状のホルダーを介して大型の筆が取り付けられ、正確さが求められる書道に挑んだ。

 

 

【フォトギャラリー(画像をタップすると閲覧できます)】

 

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