乗り物
鉄道
2022/2/5 6:00

今や希少!国鉄形機関車がひく「石巻線」貨物列車&美景を旅する

【石巻線を巡る⑨】貨物列車は仙石線経由で石巻港まで走る

石巻線では主に紙製品を積んだコンテナ貨車を連ねた貨物列車が走っている。列車本数は6往復で、荷物が多いときには1往復の臨時便が増便される。

 

石巻線の貨物輸送がどのように行われているか、DE10の動きをメインに見ておこう。

 

DE10が牽引する列車は次のとおり。

 

◇下り1655列車:小牛田11時12分発 → 石巻11時50分着・12時50分発 → 石巻港13時1分着

◇上り654列車:石巻港13時57分発 → 石巻14時9分着・14時41分発 → 小牛田15時39分着

◇下り655列車:小牛田16時51分発 → 石巻17時38分着・17時57分発 → 石巻港18時8分着

◇上り1656列車:石巻港18時44分発 → 石巻18時57分着・19時29分発 → 小牛田20時8分着

 

この4本がDE10の牽引列車だ。655列車と1656列車は夕方発および夜間の列車なので、この季節に、追うことができる列車は1655列車と654列車のみと言って良いだろう。

↑石巻駅で発車を待つDD200牽引の貨物列車。同駅構内で機関車の機回しが行われる

 

石巻駅で下り・上り列車とも、発着にだいぶ時間をかけているのは、これは石巻駅構内で進行方向を変えるためで、機関車を機回しするために必要とする時間だ。小牛田駅から走ってきた下り列車は、石巻駅へ着いたら機回しして進行方向を変更する。次に仙石線を一駅区間のみ走り、陸前山下駅から貨物支線を走り石巻港(貨物駅)へ向かう。

↑陸前山下駅から分岐する貨物支線を走るDE10牽引列車。この支線沿線では東日本大震災時の津波の高さを示す表示が多く見られる

 

石巻港には日本製紙石巻工場が隣接する。積むのはほとんどが同工場で生産される紙製品だ。この地域も東日本大震災による津波の被害を受け、貨物列車の運転再開も1年半後の2012(平成24)年10月のこととなった。

 

貨物支線の沿線を訪れると、各所に「津波浸水深」という津波がこの高さまで来たことを示す表示が多く掲示されていた。住宅地のいたるところにこの表示があり、こんなところにまで津波が届いたのかと驚かされた。

 

【石巻線を巡る⑩】より貴重!映える国鉄色のDE10

石巻線の貨物列車は日曜日に運休となる。そのせいなのか土曜日に沿線を訪れる鉄道ファンの姿が目に付く。とはいっても、首都圏のように人気の列車が走ると多くの鉄道ファンが集まるようなことはなく、静かなものだ。

 

石巻線で鉄道ファンが目立つのは国鉄当時の塗装を残した「原色」塗装のDE10が走る時だ。DE10にはJR更新色と呼ばれる塗装と、古くからの「原色」塗装のままの車両がある。やはり国鉄色の方が人気が高いようだ。

↑JR貨物更新色と呼ばれる塗装のDE10-1120号機。同機は残念ながら昨年に引退となっている

 

石巻線を走るDE10の最新動向を見ると次のDE10が使われている。1539号機、1591号機、1729号機、3507号機、3510号機の5両だ。このうち1591号機、3507号機、3510号機が原色機だ。

 

筆者が訪れた時に出会ったのが3510号機だった。佳景山駅〜前谷地駅間の水田が広がるところで貨物列車の通過を待ち受けた。そして撮影したのが下の写真。国鉄形、しかも国鉄原色ということで、撮影後の充実感に久々に満たされた。国鉄形はやはり〝映える〟と思う。さらに原色機ならではのカッコ良さが感じられる。そんな余韻を胸に前谷地駅から帰りの列車に乗車したのだった。

↑石巻線を走る国鉄原色DE10は貴重になっている。コンテナ貨車を牽く姿は見映えが良いと感じた

 

 

  1. 1
  2. 2
  3. 3