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2022/2/14 11:30

パイオニアが新たに放つ“会話するドライブパートナー”「NP1」って何だ? 

カーナビゲーションもドライブレコーダーもすべてが音声で使える! そんな画期的なシステムがパイオニアから登場しました。それが“会話するドライブパートナー”「NP1」です。なにやらパイオニアが1990年に発売した日本初のカーナビゲーション「AVIC-1」を彷彿させるような名称ですね。3月発売予定のNP1とはいったいどんなシステムなのでしょうか?

↑音声によるインターフェースですべての機能を完結するパイオニア「NP1」。音声コマンドを認識すると右側のスピーカー部が横一に光る。サイズ:W118×H36×D93mm(本体のみ)、重量:300g(付属品含まず)

 

音声インターフェースでナビ機能など操作のすべてを完結

これまでのカーナビゲーションといえば、ディスプレイがあって、そこに地図を表示して音声と共にルートガイドするのが基本スタイル。しかし、それらの操作は高機能化が進むほど複雑化し、実はそれがドライバーにとって大きなストレスとなっていました。そのストレスを音声によって解決しようと誕生したのが、今回のNP1なのです。

 

本体は小さめの弁当箱サイズ。これをフロントウインドウの上部に取り付け、電源はシガーソケットから取るだけ。それ以外に接続するものは何もありません。本体には前後2つのカメラを備え、これがドライブレコーダーとしての役割を果たします。音声でやり取りするためのマイクやスピーカーも内蔵したことで、音声認識によるインターフェースを実現しているのです。

↑フロントガラス越しから見たNP1、右のカメラで進行方向の映像を撮影。左奥には操作スイッチがあり、そこで音声モニターのボリュームを調整する

 

ポイントはこれらの機能すべてに通信を使っていることにあります。入力された音声を、サーバーにある高性能な音声認識エンジンが即座に理解し、あいまいなコマンドにも最適な対応をします。さらにサーバーにある最新のデータをリアルタイムに取得したり、NP1で撮影したデータをアップロードも可能。専用アプリ「My NP1」を活用しながら、常にサーバーとつながることでその能力をどんどん拡張できるのがNP1最大の魅力です。

↑NP1とクラウド経由でつながるための専用アプリが「My NP1」。クラウドにアップされた映像を見たり、スマホによるナビ機能も備える

 

あいまいなコマンドもクラウド側の音声エンジンが即座に理解

ではカーナビ機能を例にNP1のメリットを紹介しましょう。まずはカーナビで定番の目的地設定から。ここでは行きたい場所を音声でNP1に伝えるだけです。「NP1、○○へ行きたい」と発すると、NP1からは「直線距離で○km先に○○が見つかりました。ここへ行きますか?」と返してきます。ここで「はい」と答えれば目的地までのルートが探索されて案内がスタートします。基本操作はこれだけです。今までのカーナビのようにメニューを開いて、ジャンルやエリアでの絞り込みをする必要はありません。

↑NP1を車内に取り付けたイメージ。一見してドライブレコーダーのようにも見えるが、奥行きがあってそれよりサイズはずっと大きい

 

目的地探しでは、複雑なコマンドにも音声で対応できます。「○○が食べたい」「○系ラーメン店を探して」と音声で発すると、その内容を理解して候補を即座にリストアップしてくれるのです。また、“Retty”を使った評判の良いお店を探せるのもこの機能のポイントです。さらに目的地設定後に追加すれば、自動的に立ち寄り地点として登録されるのも便利ですね。

↑目的地を設定した後で、さらに目的地を追加すると経由地として自動設定される

 

案内中も音声によるインターフェースが大活躍します。分岐点に近づくと、走行すべき車線を交差点ごとに3つ手前から案内するので、初めての道でも余裕を持って対応できます。案内中に分岐点を知りたかったら「次どこ曲がるの?」と聞くだけで曲がるポイントまでの距離と方向を案内してくれ、もし聞き逃しても聞き返せば何度でも答えてくれます。これまでのカーナビのように、メニュー画面からコマンドを入力するといった煩わしい操作なしに使えるのです。

↑ルート案内中は分岐点までの距離や進むべき方向などを音声で行う。ここでは「160m先、白山上交差点を直進です」「1.1km先、信号を右方向です」となる

 

↑分岐点に近づくと、My NP1上では徐々に地図を拡大していく。音声では「この信号を右です」と案内する

 

案内中のルートは最新の交通情報を基に、一番早く目的地に到着する「スーパールート探索」にも対応し、目的地付近の駐車場も空き状況をリアルタイムに考慮して音声で案内してくれます。この機能で何より嬉しいのは、走行中でも簡単に目的地が設定できること。音声を使っていることで、今までのように設定のため、わざわざクルマを停止する必要がないんです。これは実際に使ってみるとその便利さをすぐに実感できると思います。

 

突然のアクシデントにもクラウド保存で録り逃しなし!

そして、その機能はカーナビだけにとどまりません。ドライブレコーダー機能では走行中の映像を前後2つのカメラで、前方はフロントガラス越しに、後方は車内越しに撮影してくれます。

↑車内側から真正面で見たNP1。左部分は車内から後方を撮影するカメラで、夜間でも鮮明に映し出せる(モノクロになる)よう赤外線機能も備える

 

アクシデントに遭遇して衝撃を検知すると、その映像は自動的に指定のスマホやクラウドにアップロード。慌てふためいているときでも確実にその映像を残しておけるのです。もちろん、一般的なドラレコと同じように気に入ったシーンを動画や静止画で残すこともできます。その時は音声で「動画を撮って」「写真撮って」と告げるだけ。後からいつでもスマホ側から見られるようになるのです。

 

ドラレコ機能に通信が伴ったことで便利! と感じるのが駐車監視です。今まではクルマに戻ってからアクシデントに気付いていましたが、NP1では衝撃を検知すると指定したスマホに映像と共に通知されます。これならトラブルへの解決も迅速に対応できるというわけです。

↑NP1が衝撃を受けて撮影したイベント映像や、任意に撮影した映像はサーバーにアップロードして保存。保存後はいつでもスマホからアクセスできる

 

ドライブがもっと楽しくなるプラスαの機能も備えています。初めての場所へ行ったとき、周辺に名所スポットがあることにはなかなか気付きにくいですよね。NP1はそんな時も「ドライブトピック」という機能で適宜案内してくれます。その収録件数は全国で約7600か所。時間や位置、地図を組み合わせて、その時々に最適な情報を案内してくれるので、出掛け先で気付くこともきっと多くなるでしょう。筆者的にはわかり切った自宅付近の道は、あえて案内しない配慮付きというのが気に入りました。

 

また、友人宅を訪ねる時などに役立ちそうなのが専用アプリMy NP1上で使う「ドライブコール」です。あらかじめ互いの連絡先を登録しておくことで、アプリ上から連絡すると相手に着信。相手のスマホには自車の位置やNP1で撮影した映像が映し出され、それを使いながら道案内をしてくれるのです。映像はリアルタイムの動画で送られるので、「もっと先、そこを右……」といった案内を聞きながら目的地にたどり着くことができるんですね。今までありそうでなかった機能、NP1ならこれが実現できてしまうんです。

↑「ドライブコール」を使うと、コンタクトした相手のスマホには車両の位置を示す地図とNP1で撮影している動画映像がリアルタイムで表示される

 

最初のアップデートでAmazonアレクサにも対応

これらを実現する通信機能は、1年分の通信料が本体価格に含まれています(3年分の通信料が含まれているプランもあり)。2年目以降の通信費更新料は1万5840円/年となりますが、これだけの機能が使えるなら更新しても損はしないはず。というか、NP1は通信機能が使えなければ、ほぼ“単なる箱”となってしまいます。NP1を存分に楽しむためにも更新は必須ですね。

 

NP1では「docomo in Car Connect」にも標準で対応していることも見逃せません。車内にNTTドコモのLTE回線のWi-Fi環境をもたらし、接続したスマホやゲーム機などは車内で使い放題となるのですから。NP1なら新たに機材を購入せずともこのサービスに対応できます。これもNP1の大きなメリットと言えるしょう。

 

そのほか、NP1は4月にはリリースされるアップデートにより、Amazon アレクサへの対応を果たす予定です。この対応によって、NP1はニュースや天気予報、音楽再生などにも対応できるようになります。特に音楽はBluetooth経由でカーオーディオに接続すれば、迫力あるサウンドが楽しめるのです。もちろん、アレクサを使った自宅の照明やエアコンのON/OFFも可能。これもぜひ試してみたいですね。

 

パイオニアによればNP1のアップデートは今後も随時予定していくとのこと。つまり、時期を追うごとにNP1は魅力的な機能を備えていくことになるんですね。その意味でもNP1はまさにドライブに役立つ“魔法の小箱”そのもの。ドライブがますます楽しくなることは間違いなし。NP1が発売される3月が今から待ち遠しいですね。気になる価格は、バリュープラン(通信+サービス利用料3年分付)9万3500円(税込)、ベーシックプラン(通信+サービス利用料1年分付)6万5780円(税込)です。

 

 

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