ベテラン自動車ライターの永福ランプとフリーエディターの安ドが、深いような浅いようなクルマ談義をする「クルマの神は細部に宿る。」。今回はGetNavi本誌連載200回目を記念して、この企画のタイトルに忠実な、懐かしのモデル(の現行型)をピックアップする!
※こちらは「GetNavi」 2022年9月号に掲載された記事を再編集したものです。
【レビュアーPROFILE】
永福ランプ(清水草一)
日本中の貧乏フェラーリオーナーから絶大な人気を誇る大乗フェラーリ教の開祖。様々な自動車専門誌や一般誌、ウェブなどで、クルマを一刀両断しまくっている。初老となり運転支援装置の必然性を実感、クルマを評論する際に重要視するように。
安ド
元GetNavi編集部員で、現在ではフリーエディター。妻子を抱えても愛車はMTにこだわる。
【今月のGODカー】レクサス/IS
SPEC【IS300“F SPORT”】●全長×全幅×全高:4710×1840×1435mm●車両重量:1570kg●パワーユニット:2.0L直列4気筒ターボエンジン●最高出力:245PS(180kW)/5200〜5800rpm●最大トルク:35.7kg-m(350Nm)/1650〜4400rpm●WLTCモード燃費:12.2km
480万〜650万円(税込)
ドイツ御三家にも勝る走りの質感を実現
安ド「殿! 今回は記念すべき、連載第200回です!」
永福「なんと第200回とな」
安ド「月刊誌で200回ということは、16年以上ってことです!」
永福「そんなに続けさせていただけるとは、感謝しかないのう」
安ド「連載第1回のクルマは何だったか覚えてますか?」
永福「まったく覚えておらぬ」
安ド「ホンダのシビックハイブリッドでした!」
永福「そうか。ちょうどいまのシビックにもハイブリッドが出たな」
安ド「はい。せっかくなので第200回を新型シビックハイブリッドでやりたかったんですが、ちょっと間に合わなくて(笑)。第3回で取り上げたレクサスISの現行型を借りてきました!」
永福「第3回か……。若干中途半端な気もするが、まあいい」
安ド「現行型のレクサスISが発表されたのは、もう9年も前ですが、2年前に大きなマイナーチェンジを受けてます!」
永福「うむ。新型と言っても良いくらいの、大掛かりなマイナーチェンジだった」
安ド「16年半前、殿は初代ISを、『目立たない細部の作りや仕上げにこだわりまくった、謙譲精神の高級車。つまり“神は細部に宿る”を地で行った、この連載のために作られたようなクルマだ』と書かれていますが、現行型もまさにそんな気がします!」
永福「謙譲精神がついに花開き、素晴らしいクルマになったぞ」
安ド「レクサスISのライバルはBMWの3シリーズやメルセデス・ベンツのCクラスですが、それらと比べても、なんだかデザインがワイド&ローに見えます!」
永福「2年前のビッグマイナーチェンジで、ボディが幅広く見えるデザインを採用したからな」
安ド「スピンドルグリルはともかくとして、全体のプロポーションでスポーティさを演出しててカッコ良いです!」
永福「スピンドルグリルもカッコ良いではないか」
安ド「僕はちょっと苦手でして……」
永福「ブランド統一デザインであるスピンドルグリルの採用によって、レクサスのイメージはグッと強力になった。アイコンとして大成功しておる」
安ド「走りもとても良くなっていてビックリしました!」
永福「とにかくシャーシが素晴らしい。走りの質感は、BMWやメルセデスにも勝っている」
安ド「ええっ! BMWオーナーの殿がそこまで評価するとは!」
永福「ついにレクサスがドイツ御三家に勝ったのだ! 日本人として誇らしいぞ」
安ド「第200回が日本人としておめでたい内容になって良かったです! しかしマイチェンとは思えない変更点の多さのなかで、内装のエアコン吹き出し口の形まで変えていたのは驚きました」
永福「まさに“神は細部に宿る”だな」
【GOD PARTS 1】リアスポイラー
薄くて小さくても空気をコントロール
今回の取材車両には、ISでは珍しいリアスポイラーが付いていましたが、とても薄くて小さくてかわいかったです。なお、トランク部分の厚みのある弧の形状を実現するために、“寄絞り工法”という世界初の技術が使われているそうです。
【GOD PARTS 2】エアコン
指を上下させて感覚的に温度を調節
エアコンまわりのデザインは現行型が登場したころから特に変化はありませんが、左右のバーに指を触れて上下させることで温度設定を変更します。この感覚的な操作方法はいまでも新鮮で、他社に普及しないのが不思議なくらいです。
【GOD PARTS 3】ディスプレイ
細かな変更点もレクサス流のおもてなし
インパネのディスプレイは大型化がトレンドですが、ISもマイチェンで大型化……と思いきや、従来と同じサイズ(10.3インチ)なんだとか。ただしタッチパネル化にともない、取り付け位置を手前側に移動させていると。芸が細かい!
【GOD PARTS 4】サイドミラー
大人しいイメージを払拭する色使い
ミラーは黒/シルバー/赤の3色に彩られていてイエメンの国旗みたいです。黒とシルバーは基本で、下側が車体色という設定になっているようですが、地味になりがちなセダンタイプでも、ちょっとした色使いで華やかになる好例です。
【GOD PARTS 5】プレミアムサラウンドシステム
静かな室内で映える高級オーディオ
その筋では有名な「マークレビンソン」社のオーディオシステムが搭載されています。元々レクサス車は車内が静かなので、音の素晴らしさもより深く体感できます。あとリアシート後方のスピーカーがデカくてビックリしました。
【GOD PARTS 6】サイドライン
ボディラインもしっかり強調
マイチェンとは思えないくらい、ボディ全体に変化が見られる最新型ISですが、リアタイヤ前方の斜めのラインも強調されています。初期モデルではちょこんと申し訳なさそうだった持ち上がりが、ビシッとリアドアにまで踏み込んでいます。
【GOD PARTS 7】スピンドルグリル
顔を埋め尽くしそうなほどの大きさ
グリルとは車体前面の黒い部分の空気吸入口のことで、レクサス車では糸巻き型をしているのが特徴になっています。2020年のマイナーチェンジでISのグリルの面積は拡大されていて、もはや地面とつながりそうな勢いです。
【GOD PARTS 8】パワーユニット
心臓部を好みで選べるという贅沢
さほど台数が出なくなったいまでも、パワーユニットは3種類ラインナップされています。今回のIS300は2.0L直4ターボ、IS350は3.5LV6のブルジョア仕様。IS300hは2.5L直4エンジン+モーターのハイブリッドで、時代に合わせた仕様です。
【GOD PARTS 9】フロント&リアランプ
ナイフみたいに尖った形状
左がフロント、右がリアのランプですが、どちらも非常に鋭利な形状です。手で持ったらナイフのように武器として使えそうなほど鋭いです。内部のLEDランプは、しっかりレクサスの「L」字型になっていて、アピール力がスゴイですね。
【これぞ感動の細部だ!】足まわり
数々の改良で高められた走りの質感
実際に乗ってみるとため息が出るほど素晴らしい走りを味わえますが、それを実現するために細かな改良が加えられています。たとえばアルミホイールは、ボルト締め方式のハブを使うことで集結力強化&質量低減を実現していますし、サスペンションは微小な動きに対しても減衰力を発揮する「スウィングバルブショックアブソーバー」を搭載。ブレーキフィーリングまで見直されています。
撮影/我妻慶一
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