今月初め、テスラのEV(電気自動車)「Model 3」で自動運転技術のFSD(Full Self-Driving)を使い、路上に置いた子どもの背丈のマネキンにぶつかるかどうか試したところ、3回のテストで3回とも衝突した上に、そのまま加速した動画が衝撃を呼んでいました。ほか、子どもを模したダミーを紐で引っ張り道路を横断するシチュエーションを再現したところ、こちらも減速も回避もせずはね飛ばす結果となっています。
これらの検証結果に対して、テスラ車のFSDは安全だと主張する人物が、自分の子どもをクルマの前に立たせてテストした動画を公開したところ、YouTubeが削除することになったと報じられています。
テスラに投資しているタッド・パーク氏(資産管理会社Volt EquityのCEO)は、自分の子どもをクルマの前に立たせてFSDベータ版による自動運転をテストした「テスラのFDSベータは本当に子どもを轢くのか?」と題された動画をYouTubeに公開しました。どれだけFDSが素晴らしいか、それを鮮やかに示す方法と思われたようです。
しかしYouTubeは「未成年が危険な活動に参加する様子を映したコンテンツや、未成年に危険な活動を促すコンテンツ」「危険なスタント、挑戦、イタズラなど、怪我につながる可能性がある有害な状況に未成年を置く」ことを許可しないと強調し、動画を取り下げたしだいです。
米CNBCの取材に対して、パーク氏はモデル3を時速8マイル(約13km)で走らせて「クルマが子どもを認識した」と述べています。さらにWhole Mars CatalogのYouTubeチャンネルでは、「だから子どもを検知してくれる自信はあるし、ハンドルも握っているからいつでもブレーキをかけられる」とも語っています。
8月14日に投稿されたパーク氏の動画は、削除される前に6万回も再生されることになりました。またツイッターへの投稿は一部残っており、まだ見ることができます。
Does Tesla Full Self-Driving Beta really run over kids?
Thanks to @MinimalDuck and @_tadpark for your help on this! @elonmusk @RealDanODowdhttps://t.co/A1Pq1LkDyQ pic.twitter.com/bR19cVkWcL
— Whole Mars Catalog (@WholeMarsBlog) August 14, 2022
この件に関しては、米国家道路交通安全局(NHTSA)もクルマのテストに子どもを巻き込まないように警告を発しています。「誰も自分や他人の命を危険にさらして、自動車技術の性能を試してはいけません」「消費者は独自のテストシナリオを作ろうとしたり、実際の人間、特に子供を自動車技術の性能テストに使ったりしてはならない」とも付け加えています。
テスラの自動運転技術は危険すぎるとして反対運動が起きており、子どもサイズのダミーを轢くという広告も出ていることから、テスラ車を愛する人やテスラに投資している人々がそれにブレーキを掛けようとしている面もあるようです。そうした大人の利害のために、子どもの命を危険に晒さないよう願いたいところです。
Our new safety test of @ElonMusk’s Full Self-Driving Teslas discovered that they will indiscriminately mow down children.
Today @RealDawnProject launches a nationwide TV ad campaign demanding @NHTSAgov ban Full Self-Driving until @ElonMusk proves it won’t mow down children. pic.twitter.com/i5Jtb38GjH
— Dan O’Dowd (@RealDanODowd) August 9, 2022
Source:CNBC