ロシアの配車アプリ「Yandex Taxi」がハッキングされ、数十台のタクシーが同じ場所に呼び出されて大渋滞を引き起こす事態となりました。この攻撃は9月1日に発生し、ふだんから交通量が多い大通りで立ち往生する車の列が世界の注目を集めました。
モスクワは道路が混んでいることで知られており、昨年は世界で最も渋滞する都市として第2位にランクインしていました。しかし、今回の渋滞はそんな日常のパターンとは関係なく、何者かが意図的に起こしたものです。
南西からモスクワ中心部に向かう大通りクトゥゾフスキー・プロスペクトは普段から混雑していますが、1日の朝には同じ目的地に向かおうとするタクシーが列をなすことに。その様子は大手掲示板Reddit等でも拡散され、動画を共有するツイートは記事執筆時点で7300件以上もリツイートされています。
Someone hacked #YandexTaxi and ordered all available taxis to Kutuzov Prospect in Moscow
Now there is a huge traffic jam with taxis.
It‘s like James Bond movie. pic.twitter.com/IatuAEtA2i
— Russian Market (@runews) September 1, 2022
ロシアのインターネット大手でもあるYandexは、テックメディア Vergeに対して声明を出しています。それによれば、この妨害は1時間未満で終わっており「こうした攻撃を検知・防止するアルゴリズムは、今後同様の事故を防ぐためにすでに改善されている」と付け加えています。
Yandex側は攻撃した犯人に言及していませんが、ハクティビスト集団のアノニマスはツイッターで「ウクライナのIT軍と協力して実行した」と主張しています。
ハクティビストとは社会的・政治的な主張のためにハッキング活動を行う人たちのこと。そしてアノニマスはロシアによるウクライナ侵攻が始まった直後に、報道規制が敷かれるロシアの国営放送などをハッキングして、ウクライナでの戦闘の映像を流したと発表していました。
Yandexは「ロシアのグーグル」ともいわれるハイテク大手であり、実際に現地のモバイル検索エンジン市場ではグーグルを超えています。非常に技術力も高いはずであり、それだけの企業のアプリがハッキングされたとなれば、国内の配車やその他のアプリも守りを固めた方がよさそうです。