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2022/10/13 20:45

シトロエン「C5 X」はステキなフランス車。しかし走りには“シトロエンらしさ”を感じられなかった

エンジンは常に脇役で、ある意味、普通に走ればそれでいい

試乗したのは、ガソリンエンジンの1.6Lターボ仕様。もはやPSAグループの超定番エンジンで、可もなく不可もなく加速する。私が乗っていたC5と基本的には同じエンジンで、パワーは156psから180psに強化されているものの、加速感にほとんど差はなく、「ごく普通に走る」と言うしかない。シトロエンにとってエンジンは常に脇役で、ある意味、普通に走ればそれでいいのである。

 

それより重要なのは乗り心地だ。シトロエンと言えば、オイルとガスを使って魔法のじゅうたんのような乗り心地を実現していた「ハイドロニューマチックサスペンション」の伝統がある。先代型C5は、その最後のハイドロシトロエンだったが、コストが合わなくなり絶滅。このC5 Xには、その伝統を受け継ぐ形で「プログレッシブ・ハイドローリック・クッション(PHC)」なるダンパーシステムが搭載されている。

 

その乗り心地はというと、まだ新車で機械的なアタリが付いていないのか、あまりフンワリ感はなく、ごく普通のサスペンションという印象だった。どちらかというとスポーティで引き締まった印象で、コーナリングが得意。シトロエンらしさは感じられない。むしろ私のプジョー508のほうが、フワッと当たりがソフトなくらいだ。

↑リアコンビネーションランプはサイドまで回り込むような大胆なV字型デザインで、その存在を鮮烈に印象づける。SHINE PACKには、スライディングガラスサンルーフを装備

 

↑車速やナビゲーションのルート、ドライバーアシスト機能の作動状況など、運転に必要な情報をメーター上部のフロントウィンドウに投影する

 

ちなみにだが、C5 Xのリアサスはトーションビーム方式なのに対して、508はより高価なマルチリンク方式+電子制御ダンパーを採用している。兄弟車とはいっても、サスペンション的には微妙に508のほうが上位なのだ(軽い勝利感)。

 

ただ、同じPHCを積んだSUVのシトロエン「C5エアクロスSUV」は、フワッフワの綿アメのような乗り心地だったので、C5 Xも、車体の走行距離が延びれば、もうちょっとフワフワしてくる可能性もあるだろう。それに期待したい。

 

クラウン クロスオーバーが話題の今、そのソックリさんとも言うべきシトロエンC5 Xは、「似てるけど違うんだぜ」と主張できる、実にステキなフランス車だ。これに乗れば、周囲のクルマ好きから一目置かれることは間違いない。

 

SPEC【SHINE PACK】●全長×全幅×全高:4805×1865×1490㎜●車両重量:1520㎏●パワーユニット:1598㏄直列4気筒ターボエンジン●最高出力:180PS/5500rpm●最大トルク:250Nm/1650rpm●WLTCモード燃費:─㎞/L

 

 

撮影/池之平昌信

 

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