【変貌する西九州⑩】新長崎駅ビルが誕生すればさらに賑やかに
長崎駅の周辺の再開発も進みつつある。かもめ口(東口)に加えて、いなさ口(西口)が整備された。いなさ口の駅前にはバス・タクシーの乗り場も設けられたが、人の姿もまばらで、これからといった印象だった。
新駅と以前の駅があった、その中間部の開発も急ピッチで進む。駅の東隣には「新長崎駅ビル」が建てられている。こちらは2023年秋に開業予定で、1〜3階は商業施設が入居、さらに上部は高級ホテルやオフィスが入居する予定となっている。
連なるように既存の駅ビル「アミュプラザ長崎」が建っている。こちらには1階から5階まで全国の有名店などの商業施設や、映画施設が入っている。新駅ビルの誕生で、ますます駅周辺は華やかになっていきそうだ。
【変貌する西九州の⑪】長崎本線の肥前浜〜諌早間が非電化に
西九州新幹線の開業にあわせて、取り巻く在来線もかなり変わりつつある。
まず長崎本線と佐世保線が分岐していた肥前山口駅(ひぜんやまぐちえき)が江北駅(こうほくえき)と名を改めた。地元・江北町(こうほくまち)の要望による変更で、駅名改名の関連費用も町のお金でまかなわれた。
佐世保線は「リレーかもめ」が走ることにより、より幹線として列車本数が増えることになった。一方で、従来の長崎本線の江北駅〜長崎駅間が大きく変わることになった。
これまで全線が電化されていたが(喜々津駅〜浦上間の長与支線を除く)、肥前浜駅〜長崎駅間は非電化となり、走る車両が電車から気動車へ変更された。江北駅〜肥前浜駅間のみ電化区間として残され、博多駅(一部は門司港駅発)〜肥前鹿島駅間を結ぶ特急「かささぎ」が1日7往復することになった。肥前鹿島駅はこれまで30分〜1時間間隔で走る特急「かもめ」の停車駅として便利だっただけに、新幹線の開業でやや不便になった。
西九州新幹線開業後の大村線の変更点も触れておこう。新大村駅が誕生したことにより、大村線沿線は大きく変わりつつある。大村市内には、新大村駅の先、2つめに大村車両基地駅という新駅が誕生した。駅名通り、西九州新幹線の大村車両基地に併設された在来線の新駅だ。
大村線は長崎市と長崎県第二の都市・佐世保市を結ぶ路線として機能してきた。ローカル線ながら、乗車率も高い。その路線が西九州新幹線と接続したことで、新たな利用者も増えていきそうだ。さらに観光要素も見逃せない。新大村駅から4つめの千綿駅(ちわたえき)は、ホームの目の前に大村湾が迫る駅で、〝映える駅〟として知られてきた。その駅へのアクセスが便利になった。この千綿駅に停車する観光列車も新たに誕生した。
【変貌する西九州⑫】早くも人気に!沿線を走る新たなD&S列車
西九州新幹線の開業と合わせて9月23日から走り始めた新たな観光列車が、「ふたつ星4047(ふたつぼしよんまるよんなな)」である。
「ふたつ星4047」はキハ40形、キハ140形を改造したJR九州のD&S(デザイン&ストーリー)列車の1本として誕生したもので、デザインは西九州新幹線N700Sも制作した水戸岡鋭治氏が担当した。外装は光るパールメタリックで、ゴールドのロゴとラインがあしらわれる。1号車と3号車は普通車指定席で、中間車はビュッフェ・ラウンジ車。こちらは物販用のカウンターなどが設けられた。
運行ルートは、西九州新幹線の周囲を走る長崎本線と大村線、佐世保線をぐるりとめぐる行程で、主に金曜日〜月曜日と祝日などに運行される。午前便と午後便があり、午前便は武雄温泉駅から江北駅へ、さらに長崎本線の肥前浜駅、多良駅、諌早駅を巡り長崎駅へ至る。
午後便は、長崎駅から諌早駅へ。そこから大村線へ入り、新大村駅、千綿駅、ハウステンボス駅、早岐駅(はいきえき)と走り、武雄温泉駅へ至る。長崎本線、大村線とも海景色が楽しめる路線で人気列車となりそうだ。
西九州新幹線の開業でその途中駅だけでなく、街や沿線も変わりつつある姿が見て取れた。また新しい観光列車の運行により、新たな魅力も加わった。あくまで暫定開業という一面もあるが、せっかくの新線開業で変わる沿線の魅力を満喫したいものである。