乗り物
クルマ
2023/2/8 20:30

ホンダ新しいタイプのSUV「ZR-V」試乗。高い静粛性と気持ちの良い走りは感動もの

エンジンONがほぼわからない驚きの静粛性

ZR-Vは走りも素晴らしいものでした。ZR-Vの「e:HEV」は、2.0L・4気筒エンジンとホンダ独自の2モーターシステムを搭載したハイブリッド車となっています。これはシビックに採用されている「スポーツe:HEV」をZR-V向けに仕様変更したもので、充電用と駆動用のモーター2基を電気式CVT内に搭載。状況に応じてエンジンとモーターそれぞれの駆動を切り替えて使う独自の方式となっています。

↑ZR-Vのe:HEVに搭載された2.0L・4気筒エンジンとホンダ独自の2モーターシステムのハイブリッドシステム

 

具体的には、発進時や市街地での低速走行などではモーターのみのEVモードで走行し、加速時やある程度速度域が上がるとエンジンの動力で発電しながらハイブリッド走行します。さらに高速道路で高い速度で巡航するシーンになるとクラッチでエンジンと直結し、100%エンジンの力で走行するモードに切り替わるのです。いわば、シリーズ式ハイブリッド走行とエンジン走行のいいとこ取りをしたハイブリッドエンジンといえるでしょう。

 

この日の試乗コースは、会場となった羽田空港近くのホテルから首都高速~一般道を経由するルートです。

 

走り出して真っ先に気付いたのが高い静粛性でした。モーターで走行している時が静かなのは当然としても、エンジンがかかってもそれがほとんどわからないほど静かなのです。1.5Lエンジンを組み合わせるe:HEVを搭載した「ヴェゼル」では、アクセルを踏み込んだ際にエンジン音がハッキリと聞こえていましたが、それとは静粛性のレベルがまるで違います。高速道路の合流でもアクセルを踏み込んでもその傾向は変わらず、ロードノイズも十分抑えられていました。

↑市街地走行から都市高速に至る日常使いで優れたパフォーマンスを発揮したZR-V

 

都市高速のきつめのカーブにもしっかりと踏ん張る

足回りはしっかりと踏ん張ってコーナーを曲がっていく印象です。都市高速のきつめのコーナーを曲がった時でも車体がリニアに反応してスムーズに向きを変え、思い通りのラインを確実にトレースしていくのです。シビックを八ヶ岳で走らせた時、そのトレース能力に驚いたものですが、少なくともそれに匹敵する素晴らしさ。

 

ドライブモードは各走行シーンに応じた4つのモードから最適な設定に変えられ、e:HEV車にはパドルシフトを使って、回生ブレーキの強さを4段階で調節することができます。これを上手に使えば、峠道などで減速度を上げながら楽に走行することができるはずです。

 

一方で乗り心地は若干堅めでした。都市高速の継ぎ目などは確実に伝えてくるのです。しかし、不快さは感じないレベル。むしろ道路の状況が伝えられてくるリニア感が好ましく感じたほどです。乗り心地も良好で、後席に座った人からも不満は出ませんでした。

 

試乗を終えて実感したのは、ZR-Vはコンセプトの“都会的なスタイルとセダンのような走り”を確実に達成しているということです。特にe-HEVと組み合わせた走りは感動もののレベルで、「スムーズさ」と「静粛性」、そして「動力性能の高さ」の3本柱をしっかりと発揮していたのには驚きました。ホンダの新しい上級SUVとして、ぜひ試乗してみることをおすすめしたいです。

↑SUVらしく収納スペースも十分な容積を誇る。テールゲートはハンズフリーアクセス機能付パワーゲートが備わる

 

SPEC【e:HEV Z(4WD)】●全長×全幅×全高:4570×1840×1620㎜●車両重量:1630㎏●モーター:1993cc直列4気筒直噴エンジン+デュアルモーター●最高出力:エンジン141PS/6000rpm(モーター184PS/5000〜6000rpm)●最大トルク:エンジン182Nm/4500rpm(モーター315Nm/0〜2000rpm)●WLTCモード燃費:21.5km/L

 

写真/松川 忍

 

 

【フォトギャラリー(画像をタップすると閲覧できます)】

  1. 1
  2. 2