今回の「NEW VEHICLE REPORT」は中国から上陸したBYDのアットスリーをピックアップ。ピュアEVとなるアットスリーで、最新の電気駆動モデルらしさを存分に堪能する。
※こちらは「GetNavi」 2023年4月号に掲載された記事を再編集したものです
新興勢力のクルマとは思えない完成度!
【EV】
BYD
アットスリー
SPEC●全長×全幅×全高:4455×1875×1615㎜●車両重量:1750㎏●パワーユニット:電気モーター●バッテリー総電力量:58.56kWh●最高出力:204PS/5000〜80
00rpm●最大トルク:31.6㎏-m/0〜4620rpm●一充電最大航続距離(WLTCモード):485㎞
最新のピュアEVとしてソツのない仕立てが魅力
本国の中国では、9年連続で電気駆動モデルの販売がトップというBYD。日本でも昨年に上陸が発表され、本年から販売がスタートしているが、第1弾となったアットスリーはミドル級SUVのピュアEVという位置付けになる。
その外観はご覧のとおり、プレーンなデザインでさりげなく電気駆動モデルらしさを演出しつつもSUVとしてソツのない仕上がり。細部の質感も既存メーカーの最新モデルと比較しても遜色なく、新興メーカーのクルマにありがちな一種の危うさとは無縁だ。
一方、インテリアには随所に斬新な手法が取り入れられているのが興味深い。インパネ中央にあるタブレット風ディスプレイは縦横どちらでも使えるようになっているほか、ドアポケットの伸縮性コードでは音が奏でられるなど、その発想には既存メーカーにはない独自の持ち味がある。
ルーツがバッテリーメーカーというBYDだけに、ピュアEVとしての出来映えも最新モデルに相応しい水準だ。フロントに搭載する電気モーターは204PSと31・6㎏-mを発揮するが、動力性能は1・7t半ばの車重に対して不足のないレベル。アクセル操作に対する反応の自然な味付けとあって、特に日常域では快適なライド感が楽しめる。装備品が充実していることまで考慮に入れれば、440万円という価格はかなりコスパ高だ。
[Point 1]モチーフはフィットネスジム&音楽
フィットネスジム&音楽がモチーフだというインテリアは外観以上に個性的。インパネ中央のタブレット風ディスプレイはスイッチひとつで縦横どちらでも使用できる。
[Point 2]ミドル級SUVとして余裕の容量を確保
荷室容量は、後席を使用する通常時でも440Lを確保。ミドル級SUVとしての使い勝手は、内燃機関のモデルと比較しても遜色がない。
[Point 3]スポーティな風情も演出する作り
前後席の絶対的な広さは、サイズ相応で実用上の不満を感じることはない。前席はスポーティな形状を採用しているが、たっぷりとしたサイズで座り心地も良好だ。
[Point 4]日常域での扱いやすさが好印象
日本仕様は前輪を駆動する2WDのモノグレードとシンプル。運転支援システムは最新レベルで、価格は440万円とコスパの高さも光る。走りは日常域の扱いやすさが魅力。
[Point 5]動力性能は必要にして十分
BYD独自のリン酸鉄リチウムイオン電池と組み合わせる電気モーターはフロントに搭載。自然なアクセルレスポンスが印象的だ。
【フォトギャラリー(画像をタップすると拡大表示されます)】
構成・文/小野泰治 撮影/神村 聖