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2023/4/30 5:45

トヨタのマルチプレイヤー「シエンタ」が愛される理由とは?

「NEW VEHICLE REPORT」はコンパクトミニバンの人気モデル、トヨタ「シエンタ」の新型をピックアップ。日本の環境にマッチした万能性に注目だ。

 

※こちらは「GetNavi」 2023年3.5月号に掲載された記事を再編集したものです

 

ミニバンの機能を凝縮したマルチプレイヤーぶりが魅力!

【ミニバン】

トヨタ

シエンタ

SPEC【ハイブリッドZ (7人乗り 2WD)】●全長×全幅×全高:4260×1695×1695mm●車両重量:1370kg●総排気量:1490cc●パワーユニット:直列3気筒DOHC+電気モーター●最高出力:91[80]PS/5500rpm●最大トルク:12.2[14.4]kg-m/3800〜4800rpm●WLTCモード燃費:28.2km/L

●[ ]内はモーターの数値

 

ハイブリッドとガソリンとで走りの味付けを差別化

最大で7人が乗れる3列シートのミニバンでは、もっともコンパクトなシエンタが生まれ変わった。従来とはガラリと変わり、四角くて丸い造形となったのはご覧の通り。各部の黒い部分は見た目のアクセントとなっているだけでなく、ぶつけやすい部分のキズを目立たなくする効果もある。

 

コンパクトならではの取り回しの良さはシエンタの強み。このサイズが良いというユーザーの声に応え、車体形状はスクエアになりながらも全長と全幅に変更はなく、全高だけ20mm高くなった。

 

これによりスライドドア開口部の天地高が増して乗り降りしやすくなったほか、室内高も拡大して頭まわりの余裕が増していることが、特に2列目に乗るとよくわかる。ソファのような生地のシートの座り心地も申し分ない。

 

ボディ後部の車内空間が極めて合理的な作りとなっているのは従来通り。3列目シートは小さくて簡素なものだが、成人男性もそれほど苦もなく座れ、いざというときには助かる。もちろん不要なときは2列目床下に格納でき、荷室を広く確保することもできる。

 

その走りは、新世代プラットフォームであるTNGAを導入したことも効いて、見た目からイメージするほど重心の高そうな感覚はない。正確でしっかりとした手応えのあるステアリングフィールを実現し、走りの質も高まった。

 

ハイブリッドは出足のレスポンスが良く、力強くて乗りやすい。3気筒ながら各部に施された対策により音や振動が小さく抑えられているので、走行中も車内でストレスなく会話できる。また、ライド感はしっとりとしていて、特に新たに後輪をモーター駆動するE-Fourとなった4WDの上質感は、非降雪地に住むユーザーにも積極的に勧めたいほどだ。

 

一方のガソリン車は軽快なドライブフィールに加え、エンジンの吹け上がりをより楽しめるような味付け。キャラクターはかなり異なるが、どちらも燃費が非常に良い点は共通している。

 

トヨタの最新モデルらしくインフォテインメントや先進運転支援装備も充実。このクラスでこれ以上マルチなクルマはない。

 

[Point 1]ボディは5ナンバーサイズをキープ

「シカクマル」がデザインテーマという新型のボディは、全高こそ拡大されたが日本の5ナンバーサイズをキープ。随所に先代の面影を残しつつ、ミニバンらしい合理性を感じさせる仕立てになった。

 

[Point 2]親しみやすさと実用性がハイレベルで調和した作りに

デザイン性の高さも感じさせるドアポケットなど、随所に設けられた収納スペースは実用性の追求だけにとどまらない作り。背の高いミニバンということで、後席へ送風する天井サーキュレーターを装備できる点も日本のミニバンらしい。

 

[Point 3]細部に至る使い勝手の良さはニッポンのミニバンならでは

絶対的な広さに加え、2列目シート(スライド機構付き)の使い勝手に配慮した1列目シートバックの仕立てなど、細部に至る配慮は日本生まれのミニバンらしい。サイズを考えれば3列目も納得の広さだ。

 

[Point 4]ユーティリティの高さは外観のイメージ通り

ウッドデッキ風のフロアボードを用意する荷室は、もちろん絶対的な広さも十分。7人乗りの3列目シートは、2列目下にコンパクトに格納可能だ。5人乗りと同等の使い勝手を実現している。

 

[Point 5]2本立てとなるパワートレイン

パワートレインは1.5Lハイブリッド(写真)と1.5Lガソリンの2本立て。先に登場したヤリス クロスなどと同じ構成だ。

 

[Point 6]最新世代のTNGA採用で基本性能を底上げ

最新のTNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)採用で、クルマとしての性能も全方位的に底上げ。その走りは、先代より質感が向上していることも実感できる。

 

[ラインナップ]

 

【フォトギャラリー(画像をタップすると拡大表示されます)】

 

文/岡本幸一郎 撮影/市 健治、篠原晃一