ベテラン自動車ライターの永福ランプとフリーエディターの安ドが、深いような浅いようなクルマ談義をするクルマ連載。今回は、ホンダが北米から導入した新型SUV、 ZR-Vを取り上げる。特徴的な顔つきはカッコ良いのか悪いのか!?
※こちらは「GetNavi」 2023年10.5月号に掲載された記事を再編集したものです。
【PROFILE】
永福ランプ(清水草一)
日本中の貧乏フェラーリオーナーから絶大な人気を誇る大乗フェラーリ教の開祖。様々な自動車専門誌や一般誌、ウェブなどで、クルマを一刀両断しまくっている。初老となり運転支援装置の必然性を実感、クルマを評論する際に重要視するように。
安ド
元ゲットナビ編集部員で、現在ではフリーエディター。妻子を抱えても愛車はMTにこだわる。
【今月のGODカー】
HONDA
ZR-V
SPEC【e:HEV Z AWD】●全長×全幅×全高:4570×1840×1620mm●車両重量:1630kg●パワーユニット:1993cc直列4気筒エンジン+電気モーター●エンジン最高出力:141PS(104kW)/6000rpm●エンジン最大トルク:182Nm/4500rpm●WLTCモード燃費:21.5km/L
293万2600円〜410万3000円
エンジンがものすごく気持ち良いe:HEV
安ド「殿! 今回はホンダのSUV、ZR-Vです!」
永福「うむ。実質的なCR-Vの後継モデルだな」
安ド「えっ、そうだったんですか。CR-Vよりはコンパクトで、ちょうど良いサイズですね」
永福「CR-Vは世界で5番目くらいに売れているホンダの大ヒットモデルだが、日本ではサイズが大きすぎて売れず、消滅してしまった。そこでCR-Vより少し小さいSUVを、新たに投入したというわけだ」
安ド「クルマって、どんどんサイズが大きくなってきていますけど、海外ではもっと大きくなってるんですね!」
永福「実はこのクルマ、ホンダのメイン市場たる北米では、HR-Vの名前で売られている」
安ド「えっ! 以前日本でも販売されていた、あの小さくてオシャレだったHR-Vが、こんなに大きくなっていたんですか!」
永福「うむ。海外向けの先代HR-Vは、日本の先代ヴェゼルだったが、現行のヴェゼルは、北米では売られていない」
安ド「……何がなんだかわかりません!」
永福「私もだ。ヴェゼルのような日本で売れ筋のモデルは、北米では小さすぎて売れないので、車名が複雑なことになっているのだ」
安ド「とにかくZR-Vは、日本では新型車ですよね!」
永福「うむ。ベースはシビック。シビックのSUVバージョンと思えば良い」
安ド「今回の試乗車はe:HEVというハイブリッドシステムを搭載していますが、これもシビックと同じですね」
永福「だな。私はe:HEVが大好きなのだ。ハイブリッドだが、エンジンがものすごく気持ち良い」
安ド「スポーツモードにすると、エンジンがパワフルで音もスポーティで、たしかに良い感じでした!」
永福「実はその時、エンジンは発電しているだけで、実際にはモーターが駆動しているのだが、ものすごく気持ち良いだろう」
安ド「ええーーーーっ! あの良い音がしてる時、エンジンは発電機なんですか!?」
永福「私も聞いてビックリした。まるでF1マシンのような良い音がするのに、実際には電気だけで走っているんだからな」
安ド「衝撃です!」
永福「衝撃だな」
安ド「もうひとつ衝撃だったのは、顔のおちょぼ口です!」
永福「言われてみればおちょぼ口だな」
安ド「当初はなんだこりゃと思っていたのですが、見ているうちにだんだんマセラティみたいに思えて、好きになってきました!」
永福「言われてみれば、マセラティもおちょぼ口でカッコ良いな」
安ド「昔の価値観だと絶対カッコ悪いんですけど、不思議です!」
永福「ひょっとこのようなおちょぼ口がカッコ良く思えてくるんだから、たしかに不思議だな」
【GOD PARTS 神】パワーユニット
ハイブリッドでも速くて気持ち良い
ハイブリッドモデルは、2.0L直噴エンジンに2モーター内蔵電気式CVTを組み合わせた「スポーツe:HEV」を搭載。ドライブモードを「SPORTモード」にすれば、まるで自然吸気式レーシングエンジンのような力強い加速を味わえます。「ECONモード」にしても、街中であれば走りにまったく不満は感じません。1.5L VTECターボエンジン仕様もあります。
【GOD PARTS 1】フロントグリル
顔の中央に位置する枠なし個性派デザイン
水平に並んだヘッドライトの間にはグリルが配置されています。グリル自体には枠がなく、内部は11本の縦ラインで仕切られています。フロントまわりの中央に位置していて、なんだかひょっとこ顔ですが、インパクトはかなり強いです。
【GOD PARTS 2】ボディカラー
艶っぽさが感じられる上質なボディ色
取材車両のボディカラーは、新色の「プレミアムクリスタルガーネット・メタリック」でした。言葉で表現するのが難しいカラーで、赤かと思いきや紫だったり、マルーンのようにも見えたり、光の状態では茶色っぽくも見えます。ZR-Vらしい艶っぽさが感じられますね。
【GOD PARTS 3】ドアハンドル
ムキムキイメージを共通化
顔も個性的ですが、インテリアでも個性を発揮しています。直線的でシンプルだったヴェゼルと比べて、抑揚のある筋肉質な雰囲気です。ドア内側の握る部分も、このようにムキムキな感じで、後述するセンターコンソールと共通イメージになっています。
【GOD PARTS 4】車名
スタンダード派か個性派か?
かつてホンダのSUVといえば、1990年代にヒットした「CR-V」でした。その後、HR-Vやエレメント、MDXなど個性的SUVを経て、ヴェゼルが大人気に。このZR-VのZには「究極の」といった意味があるそうで、ホンダのSUVここに極まれりという感じでしょうか。
【GOD PARTS 5】ハイデッキセンターコンソール
上質さと使い勝手の良さを兼ね備えたインテリアはマッチョ系
筋肉質で立体的な造形となったセンターコンソールは、デッキが2層になっていて、下段のトレイには小物を入れることができます。さらに下段の両サイドには、USB端子(Type-AとType-C)を備え、スマホの充電がしやすかったです。
【GOD PARTS 6】ラゲッジルーム
必要にして十分な荷室スペース
ミドルクラスのシビックがベースということで、ボディサイズに合わせて荷室もかなり使えるサイズ。リアシートを畳めば床面はほぼフラットになりますし、床下アンダーボックスもあります。荷室内にスポット照明も複数設けられていて便利です。
【GOD PARTS 7】シフトセレクター
ホンダの新しいスタンダード?
ボタン式のシフトセレクターが採用されています。クルマのATシフトは、時代ごと、メーカーごとにさまざまに形を変えてきましたが、ホンダはこのボタン式をスタンダードにしていこうと考えているのかもしれません。
【GOD PARTS 8】パワーテールゲート
上級車の装備も全モデル標準搭載
荷室のトビラはボタンひとつで開閉できますが、この電動式トビラがZR-Vでは全モデル標準装備になっています。高級車やラージサイズのモデルに多いパワーテールゲートですが、ZR-Vも高ランクのクルマということですね。
【GOD PARTS 9】ステアリングヒーター
押しやすいところに配置されたボタン
寒い日に重宝するステアリングヒーターは、パワーテールゲート同様、高級車によく搭載される装備です。ZR-Vでは、ステアリングの手前側、目立つところに設置されていて、すぐにステアリングの持つところを温かくできます。
【フォトギャラリー(画像をタップすると拡大表示されます)】