昨年、道路交通法の改正によって生まれた新しい乗り物のカテゴリーが特定小型原動機付自転車(以下、特定小型原付)。電動キックボードを想定したカテゴリーですが、実は車体のかたちは規定にないので、様々なデザインの特定小型原付が登場しています。その中の1つが、WO BIKES(ダブルオーバイクス)がリリースする「WONKEY(ウォンキー)」。バイクとも自転車ともちょっと違う新感覚の乗り物に仕上がっていました。
極太タイヤを装着したコンパクトな車体
WO BIKESはe-Bike(スポーツタイプの電動アシスト自転車)をリリースしてきたeモビリティブランド。特定小型原付は「WONKEY」が一号機となります。コンセプトとしてイメージされているのはオーストラリアに生息するウォンバットで、小さく愛らしいルックスながら素早く動く機動性を実現しているとのこと。車体はコンパクトですが、特定小型原付の上限である時速20kmで走行することができます。
WONKEYのデザイン上のポイントとなっているのが16×4インチの極太タイヤです。4インチ幅のタイヤは、同ブランドのe-Bike「M2X」でも採用されているもので、見た目のインパクトだけでなく快適な乗り心地にも貢献しています。
動力源となっているのは、リアホイールに一体化したモーター。出力は250Wでe-Bikeとだいたい同等です。バッテリーはシートの下に配置されていて、容量は36V/10.4Ah(約374Wh)。走行可能な距離は20〜50kmで、乗り手の体重や走行する道路状況により変わります。
シート高は56cmと低く、小柄な人でも乗りやすくなっています。ハンドル形状はBMXっぽいアップタイプで、上体が起きた乗車姿勢を実現。ステップはコンパクトですが、足を置くのに不自由は感じませんでした。
装備されているライトやウインカーなどの保安部品は、特定小型原付の法規に沿ったものです。WONKYは”特例”特定小型原付の条件も満たしているので、時速6km以下の走行モードを選べば、走行の許された歩道も走ることができます。ブレーキは前後とも機械式のディスクで、制動力も確保されています。
小回りが効いて街乗りが楽しい
実際に乗ってみると、車体のコンパクトさが際立ちます。シートに座って、ステップに足を乗せるとアウトドア用の椅子に腰掛けているような、ほかの乗り物ではあまりないようなポジション。ただ、身長175cmの筆者が乗っても窮屈さを感じるほどではありませんでした。
アクセルは右手側のレバーで操作します。モーター駆動らしく出だしの加速は鋭いですが、そこから速度上限である時速20kmまで達するには少し時間がかかる印象。登り坂に差し掛かると速度も落ちます。
車体がコンパクトなので、小回りはかなり効きます。狭い路地でもUターンができてしまうほどだ。幹線道路などを走るより、こうした街中の路地を走るのが楽しい。走行距離が限られることもありますが、遠出を楽しむというより、近所の足という位置づけの乗り物といえそうです。
バイクと自転車の中間的な乗り物とされる特定小型原付ですが、WONKEYはまさにそんな使い方が似合いそう。バイクほどスピードは出ませんし、遠距離ツーリングなどもできませんが、乗って面白いマシンには仕上がっているので、これで移動したら普段暮らしている街も違って見えてくるでしょう。免許不要で乗れることもあって、こうした乗り物に興味がある人たちへの入口になることも期待されます。
WO BIKESでは東京の目黒に旗艦店をオープンしていて、今回紹介しているWONKEYやe-Bikeなどを体験することができます。興味のある方は、一度訪れてみてはいかがでしょうか。
撮影/松川 忍
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