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2018/5/24 19:00

ハワイ島の火山噴火で不足! でも市販の「マスク」は役に立たない?

ハワイ島で続いているキラウエア火山の噴火。20か所以上の亀裂から流れ出した溶岩は住宅地も飲み込みながら、現地時間5月19日には島南東部の海岸線まで到達しました。溶岩流が海に流れんでいることも確認されています。そんななか、ハワイ島の住民たちの間で心配されているのが、有毒ガスによる健康被害です。

 

噴火前からある、ハワイ島の「ヴォグ」とは?

ハワイで大気汚染やガスについて話題にするときに、必ず登場するのが「VOG(ヴォグ)」。VOGとは、火山を意味する「Volcano(ヴォルケーノ)」と、「Fog(フォグ=霧)」、「Smog(スモッグ)」をミックスした言葉で、ハワイではよく使われています。

 

ハワイ島のキラウエア火山は活火山であり、今回の噴火が起こる前でも、火山からはガスや煙が噴出されているのです。そのため、ハワイ島周辺がガスなどに覆われて、空がすっきりしない日もあります。また、天気や風向き次第では、ハワイ島から飛行機で約1時間離れた場所にあるオアフ島も霞がかることも。そんなときは、「今日はヴォグがひどいね」なんて言ったりするんです。

 

これに加え、現在の噴火で住民の間でもヴォグや火山灰に対する不安が増加。さらに、高温の溶岩が海水に流れこみ始め、有毒ガスが発生する危険性が高まっているのです。

 

15分で売り切れる店も! ハワイでマスク不足

そんななか、簡単にヴォグから守る手段として、住民たちが飛びついたのがマスクでした。ハワイ島のある店では、開店15分で店にあるマスクがすべて売り切れてしまい、マスクが不足していることが1週間ほど前に報道されました。

 

日本では、風邪を引いた人も健康な人もマスクを着用する習慣があり、ドラッグストアやスーパーなどでは年間を通してマスクが販売されています。しかしハワイでは、「マスク=伝染病など重症な病気を持っている人」というイメージを持つ方が多いようで、街中でマスクを着用している人を見かけることはほとんどありません。もともとマスク需要が低かったことも手伝って、今回の噴火によりマスクの品切れ状態が加速しているようなのです。

マスクメーカーが1万8000個のマスクを寄付するも……

そこで、ハワイ州がマスクの主要メーカーである3Mにマスクの寄付を依頼。3Mは1万8000個のマスクを寄付したのです。救助職員やアメリカ赤十字のスタッフ、ボランティアの人々などを通して、ヴォグや火山灰の危険が心配される地域の住民へマスクが無償で配られました。

 

ただし、今回寄付されたN-95/8511というカップ型防護マスク(市販)は、火山灰の粒子は予防できるものの(N-95マスクの粒子捕集効率は95.0%以上)、二酸化硫黄などのガスから体を守ることはできないとのこと。おそらく、有毒ガスを防御するためには、専用の防毒マスクが必要となるものと考えられます。

 

そのため、マスクはあくまでも建物から建物の間を移動するときなどに使用して、家のなかでは窓を閉めておくことが大切だと、ハワイ州では住民に呼びかけています(なお、ハワイでは、「東京防災」のような防災用ハンドブックは見つかりませんでした)。

 

避難している住民や、溶岩が流れこむ恐れのある地域の方などは、さまざまな不安を抱えていることでしょう。いまだ鎮火する気配がみられませんが、早いうちに収束することを祈るばかりです。しかし、キラウエア火山は活火山であり、噴火が初めてのことではないうえ、火山の女神ペレが関係していると考えている住民も少なくありません。治安が悪化しているわけでもなく、東日本大震災や熊本地震の際に見られた日本人のように、火山が噴火しても自然を恨まないという姿勢はハワイ島の住民にもあると思われます。

 

ちなみに、ハワイ州観光局では、「噴火が続いているハワイ島プナ南部地域以外は、ハワイ島の人気観光地であるヒロ、コナ、コハラコーストもいつも通り営業している」と発表しています(5月22日現在)。