日本食の世界的人気と流通のグローバル化のおかげで、カナダの大手スーパーの冷凍食品コーナーでは「讃岐うどん 」(※)がもはや定番になっています。一袋5玉で4~5ドルとお手ごろ価格。太めでこしがあり、のどごしもよく噛みごたえのある讃岐うどんが、なぜ海外で受け入れられているのでしょうか? 現地レポーターが探ってみます。
※:「讃岐うどん」というブランド名称について、全国生麺類公正取引協議会と公正取引委員会は、生めん類で名産、特産、本場、名物といった文言を表示しなければ自由に使用可能であるという見解を示しています。海外で流通しているものは韓国・中国系食品メーカーのものを含むため、すべて香川県内で作られたわけではありませんが、本稿では便宜上「讃岐うどん」と呼びます。
多様な民族、多様な食文化に対応
2013年12月、ユネスコ無形世界遺産に登録された和食は、世界的な健康食ブームも追い風になり、世界中で人気を博しています。最近では、寿司やテリヤキに続いてラーメンが和食ブームをけん引(過去記事リンク「【海外進出する日本食チェーン店】ニューヨークで成功した秘訣は?」)。しかし、海外のスーパーでは冷凍の讃岐うどんが定番になりつつあります。
うどんとラーメンは似て非なるものですが、では一体どんな人が買っていくのでしょうか? カナダの事例で見てみましょう。
まずはうどん風の麺を日常的に食べる習慣がある人たち、つまり、中国・モンゴル・韓国などを中心とするアジア系住民があげられます。カナダ政府の人口調査によると、1971年にはアジア系はたったの5%でしたが、2016年度にはなんと48%までに急増。その内訳を見てみると、1位がフィリピンの15.6%、2位はインドで12.1%、3位の中国は10.6%となっており、アジア系住民の増加で需要が拡大し、売り上げも安定してきたことがあげられます。
また、食べ方がわからなくてもインターネットでレシピが簡単に見つけられるうえ、Youtubeなどの動画で気軽に調理法が公開されていることも人気の理由のひとつ。日本では焼きそばや焼きうどんはソースや醤油で味わうことが多いですが、海外ではテリヤキ風味、韓国系やインド系ならスパイシーなものと、日本とは違った味付けになっています。
多少ゆですぎても煮くずれしにくく、こしのある食感、また炒め物としても型くずれしにくい讃岐うどんは、料理が苦手な人にも頼もしい存在でしょう。だしつゆで食べるもよし、炒めて焼きうどん風にと、バラエティな楽しみ方が受けているようです。
また、豚骨や鶏ガラなどのスープで楽しむラーメンと比べ、うどんは肉類抜きで、だしつゆと食べたり、野菜と一緒に炒めてもおいしいということで、ベジタリアンやビーガンなどの菜食主義者などのライフスタイルにもフィットし、支持を集めています。