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2019/7/22 19:00

今度は魚じゃない魚? 食糧問題の解決策として注目される「人工魚肉」とは?

アメリカで数年前から話題に上がっていたのが、「インポッシブルバーガー」といわれるハンバーガー。これは肉で作られたパテそっくりの、植物由来の肉を使ったバーガーのことで、ベジタリアンだけでなくダイエットや健康志向の方にも大きなムーブメントを巻き起こしてきました。

 

そして、同じように現在開発が進められているのが、本物の魚そっくりの「人工魚肉」です。“魚っぽいのに魚じゃない”とは一体どういうことなのでしょうか?

 

本物っぽいけど……

「Fishless Fish(魚じゃない魚)」などと表現される人工魚肉の開発を行っているのは、サンフランシスコにある「Wild Type」という食品企業。脂がのったサーモンのような切り身が、彼らが作っている人工魚肉です(画像上)。

 

サーモンは日本人が好きなスシネタで上位にあげられますが、アメリカでもかなり人気の魚。アメリカで2017年に消費された魚介類のなかでサーモンは2位にランクインしており、前年より11%も消費量が上がったそう。この急激に上昇している人気と需要にあわせて、魚の乱獲や供給不足の問題も懸念されているのです。さらに、サーモンの産地として有名なノルウェーやスコットランド、チリなどで近年、寄生虫や藻の繁殖によって、サーモンが死んでしまう事態も起こっているそうで、安定してサーモンを供給できる手段が求められているようです。

 

細胞農業で作られた人工魚肉

そこで「Wild Type」が取り組んだのが、「細胞農業」の技術でサーモンを作ること。細胞農業とは細胞を培養して食品を作りだす技術で、そうして生まれたのが、オレンジ色の切り身状になった人工魚肉のサーモンなんです。

 

米ブルームバーグの記者は、この人工魚肉を試食する場に招待されたそうで、アボカドなどと一緒に盛り付けられた人工サーモンを食しました。人工魚肉を食べた感想は「不愉快でも馴染みがないものでもなかった」。「美味しい」というポジティブな感想ではなかったですが、否定する味でもなかったということなのでしょう。

 

今回提供されたスパイシーサーモンロールは200ドル近くかかったそうですが、将来的にはこの人工サーモンを小売価格で1ポンドあたり7~8ドルに抑えたいと考えているそう。さらに、現時点では100度以上に加熱するとフレーク状になってしまうのですが、加熱してもそうならないタイプも開発していくとのこと。

 

人工魚肉を開発している企業は、Wild Type以外にもあり、今後はインポッシブルバーガーと同じように人工魚肉が広まっていく可能性も高いでしょう。人工的な食べ物というと、それだけで嫌悪感を抱く方がいるかもしれませんが、人口増加や食料不足が世界中で問題視されている状況を考えれば、こういった技術も必要なのだと理解しなければならないのかもしれませんね。

 

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