クレジットカードや電子マネー、スマホ決済アプリなど、キャッシュレス決済がどんどん進んでいます。そんなキャッシュレス決済の究極ともいえるのが、Amazonで開発中の手のひらをかざす支払い方法。現金はもちろん、クレジットカードもスマホも持ち歩かなくても、手をスキャンするだけで支払いが済むというのです。
手のひらをかざすだけ
ニューヨーク・ポスト紙の9月3日付の記事によると、米Amazonが生体認証技術を活用したハンドスキャナーを開発中とのこと(Amazonの広報は同紙の取材に対して「コメントできない」と回答)。この“手のひらペイ”は、ユーザーが支払いをするときに自分の手のひらをかざすだけで済むという便利なサービスなのです。これを使うとき、ほかに必要なものはありません。
スマートフォンに搭載されている指紋認証のように、手のひらでスキャナーに触れる必要もなく、手のひらの形や大きさを読み取って個人認証を行うそう。これで、あらかじめAmazon Primeに登録してあったクレジットカードに買い物で使った金額が請求されるという仕組みです。
手のひらをスキャンする時間はわずか0.3秒。クレジットカードの読み取りには3~4秒が必要となるので、このサービスが利用されればレジでの支払いが格段にスピードアップするというのです。
Amazonのエンジニアたちはその精度を高めるのに苦労しているようですが、この技術は傘下のホールフーズの店舗でPrime会員を対象に、2020年始めまでに試験導入される予定。その後は全米のホールフーズでの展開を目指しているそうです。
日本でもAmazonと同じように、手のひらをかざして支払いができる技術の開発が進んでいます。それが、イオングループのイオンクレジットサービスが開発を進めている「手のひら静脈認証」技術。この技術はアマゾンで使われているものとは違い、手にある静脈を読み取り、個人を特定する方法です。手のひらには数多くの血管が複雑な配置にあり、さらに外的影響を受けにくいという特徴があるため、本人特定に役立ち、しかも偽造も難しいのだとか。この技術を使ってミニストップの一部店舗で実証実験が2018年9月より実施されています。
便利な反面、難しくなる個人情報の管理
ただし、Amazonとイオングループのどちらの技術にしても、個人を特定可能な手のひらという個人情報を提供することへの懸念はやはり忘れてはいけないところ。技術倫理の専門家によれば、Amazonなどに手のひらのデータを登録して、もしもAmazonがハッキングされてしまった場合、その盗まれた生態認証データの影響がなくなるまでに6年以上かかるのだとか。
何も持たなくても買い物ができる未来は目の前にやってきているけれど、新しい技術の登場とともに、私たちの個人情報の管理も難しくなっていくのかもしれません。