眠気に誘われてウトウトとまどろむ午後ほど、気持ちがいいものはありません。しかも最近では、数十分程度の短時間の昼寝を取り入れると午後のパフォーマンスが上がるなどと言われ、昼寝を肯定的に捉えられてきているようです。さらに最近発表された調査で、昼寝の頻度が心血管系の病気と関連がみられることがわかってきました。
昼寝の頻度と心血管系疾患との関連性に着目し調査を行ったのは、スイスのローザンヌ大学病院の研究者です。心血管系の病歴がない、35~75歳の男女3462人に対して、5年以上にわたり、昼寝の頻度や健康状態を調査。すると、致死的ではないものと致死的であったものをあわせて155件の心血管疾患が発生していましたが、被験者たちの昼寝の頻度を分析した結果、週に1~2回昼寝をする人のグループが最も心血管疾患が起きる割合が少なく、まったく昼寝をしない人のグループに比べて、心臓発作や心不全などのリスクが48%低いことがわかったのです。
まだ謎だらけの昼寝と心臓病の関係
今回の調査では、週に6~7日昼寝をしている人のグループは、心血管疾患が起きる割合が高い結果となりました。しかしこのグループの人は高齢の男性が多く、BMIが高く肥満傾向にあったうえ、多くは喫煙者。ライフスタイルや心疾患系のリスクファクターを考慮し、今回の研究では、昼寝の頻度が多いことが心血管系の病気と関連が高いとは言い切れないと述べられています。また今回の研究では、昼寝の長さと心血管疾患との間には関連が見られませんでした。
以前から人の睡眠パターンはさまざまな病気に関連されていることが報告されており、今回の調査結果は驚くべきことではないのかもしれません。心臓発作などの予防のために週に1~2回昼寝をするというよりも、喫煙や運動、食事などの生活習慣を大切にすることも忘れてはいけないのでしょう。