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2019/10/21 19:00

消化しにくい研究結果が……。「肉」と「健康」の意外と謎だらけな関係

「肉食よりも、魚や野菜を中心とした食事のほうが健康的」と考える人は多く、実際にWHO(世界保健機関)でも「赤身肉の食事が大腸ガンに関連があるとされる」とウェブサイトに明記しています。しかし最近、「赤身肉=不健康」という従来の考えを否定し、赤身肉の食事を減らす必要はないと結論づけた研究結果が発表されました。赤身肉は食べてもいいのか、それとも減らすべきなのか、どちらなのでしょうか?

この研究結果を発表したのは、カナダのマックマスター大学とダルハウジー大学の研究者を含めた、7か国14名から構成される研究チームです。彼らは赤身肉や加工肉の消費と、心血管系の疾患やガンとの関連について調べるため、5つの体系的な調査を実施しました。

 

例えば、赤身肉や加工肉の食事を1週間に3回減らした人を調査した結果では、心疾患や糖尿病、ガンのリスクの関連性は判明しませんでした。また、赤身肉や加工肉を食べる人の食習慣や健康への考え方を考察する調査では、赤身肉を食べる人はそれらが健康的であると考え、また味が好みであるから食べており食事を変えることを嫌がっているということも明らかとなりました。

 

そして、これらの体系的な調査結果をもとに、「多くの成人において赤身肉や加工肉の食事を減らしても、健康への影響がほとんどない」と結論づけたのです。

 

これまで広く認知されていた「赤身肉は減らすべき」という考え方を真っ向から否定する、今回の研究発表に対して、反論する声も大きくあります。世界ガン研究基金はこの研究結果が明らかとなるとすぐに、「赤身肉と加工肉には依然としてガンのリスクがある」と発表。「混乱を招くような解釈を行い、赤身肉と加工肉を減らす必要はないと推奨しているが、ガンの専門家は赤身肉や加工肉の食べすぎは大腸ガンのリスクを上げることに同意している」と述べています。

では、日本人の場合は赤身肉や加工肉とガンのリスクについて、どのように考えられているのでしょうか? 世界的に見ると、日本人は赤身肉や加工肉の摂取量は1日あたり63gと低い国に当てはまります。

 

国立ガン研究センターでは、45~74歳の男女約8万人の日本人に行った研究結果を2011年に発表。その結果によると、毎日赤身肉を80g食べるグループでは結腸ガンのリスクが高くなり、鶏肉も含めて肉の摂取量が最も多い男性のグループでは結腸ガンのリスクの上昇が見られました。しかし、赤肉と加工肉による大腸ガンの発生については、日本人の平均的な摂取量の範囲ならば、リスクに与える影響はほとんどなく、あったとしても小さいと発表しています。

 

赤身肉や加工肉の食事はガンと関連があると断言するのは現時点で難しい様子。しかし多くの人たちの経験則から、赤身肉や加工肉の過剰な摂取は健康になんらかの影響を与えると考えておいたほうが身体にはいいかもしれません。こういった話題をきっかけに、自分の食生活について考えてみてはいかがでしょうか?

 

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