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2020/1/6 18:30

年間4万トンのごみ削減! ドイツで愛用者が増加中の「テイクアウト用カップ」とは

クルマや自転車、ファッションなど、さまざまな分野にシェアリングサービスが広がっていますよね。ドイツではそんなシェアリングの1つとしてコーヒーのテイクアウト用コップ「RECUP」が登場。エコなこのカップが注目を浴びています。

ドイツでは「Caffee to go」と呼ばれるテイクアウトのコーヒー。世界的なコーヒーチェーンはもちろん、カフェやベーカリー、ガソリンスタンドなど利用できる場所は多く、朝の出勤途中や休憩時間など、ドイツ人は手軽に一杯のコーヒーを楽しんでいます。近年はKIOSKもコーヒーに力を入れており、コーヒースポットとしても人気を集めているんです。

 

しかし、テイクアウトコーヒーの人気が高まるにつれ、ある課題が浮上しました。それは大量の紙コップです。環境保護のNGO団体、Deutsche Umwelthilfe(ドイツ環境支援協会、DUH)によると、ドイツで消費されるコーヒーのテイクアウト用紙コップは、毎時間32万個、年間にして30億個にも上るそう。ドイツの全人口が約8300万人なので、単純計算で1人当たり年間30カップ以上を消費していることに。さらにDUHはごみ問題だけでなく、紙コップの製造で用いられる原油量や排出される二酸化炭素ガス量の多さも問題視しています。

 

そんな紙コップ問題を解決する方法として生まれたのが、再利用可能なカップを活用する「RECUP」プロジェクトです。ドイツ南部に位置する小都市、ローゼンハイムで2016年秋にパイロット版が立ち上がり、翌年には運営企業としてのreCUP GmbHが誕生しました。

このRECUPで採用された手法は、ドイツに定着している容器リサイクルのシステム「Pfand」と呼ばれるもの。Pfandとはデポジット(預り金)のことで、通常は水やビール、ヨーグルトなどを入れる容器にかけられています。消費者はこれらの購入時に8~25セント(約10~30円)の容器代金をデポジットとして支払い、使用後に容器を返却するとデポジットが払い戻されるという仕組み。

 

RECUPでは、提携店でコーヒーを購入する際にデポジットの1ユーロを支払い、紙コップの代わりにRECUPにコーヒーを入れてもらいます。飲み終わったカップは購入した店に返却すれば、デポジットが払い戻されますが、別の提携店に返却してもデポジットを受け取ることが可能。提携店は他店から出たカップであっても、返却を受理するよう求められているんです。

 

エスプレッソからカプチーノ、ラテマキアートなど、コーヒーのボリュームに応じた大きさのカップが揃うRECUP。カップの材質には耐熱性があり、少なくとも500回以上の使用に耐えうるとされるポリプロピレンを用いています。ほかの材質と比べると、製造過程のCO2排出量が少なく、使用済みになったものはリサイクルできるという点もRECUPの材質に選ばれた理由。

 

reCUP GmbHによれば、使い捨ての紙コップの代わりに再利用可能なカップを使うと、年間で4万トンのごみを削減し、15億リットルの水や4万3000本の樹木、3億2000kwの電気などをセーブすることができるのだとか。この省エネ効果の高さがRECUPの最大の持ち味でしょう。

 

環境保全を目的としているとはいえ、RECUPはビジネスでもあるので、提携店には月々25~45ユーロ(約3000~5400円)の利用料が発生します。さらに使用済みカップの受け入れや洗浄など、ある程度の行動基準に従う必要も。

しかしその一方で、店側はRECUPを用いることで環境問題に積極的に取り組んでいる姿勢を示すことができ、イメージアップにつながるというメリットがあります。また、ユーザーが提携店を検索できるRECUP専用アプリも用意されており、店のプロモーションにもなるでしょう。

 

消費者にとっての利点は、一度使っただけの紙コップを捨てる後ろめたさを感じることなく、テイクアウトできること。デポジットの1ユーロを払ったお店で使用済みコップを返却すれば、お金が戻ってくるので損をすることはありません。

 

こうしたRECUPのシステムが、環境問題やトレンドに敏感なドイツの人々に受け入れられています。カフェやベーカリーなどを中心に全国各地に拡大中で、その数は3000軒以上。人々の環境問題への意識が高まるなか、RECUPの需要が増加することも想像に難くありません。

たとえ一杯のコーヒーでも、意識的に行動、選択すれば未来を変えられるかもしれないし、変えなければならない――。RECUPはそんな現代の世の中を象徴するアイテムだと言えるでしょう。

 

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